コラムの窓 ・・・2020があぶない!

【ワーカーズ】十月一日号より転載

 

 9月初め新潟でオンブズマンの全国大会があり、その分科会で「共謀罪と公安警察‐ 市民の自由と社会秩序のあり方を考える 」ことになりました。2020東京五輪をゴールとしたマイナンバーカードと顔認証、そして監視カメラという総監視システムが稼働しようとしています。

 清水勉弁護士はフリージャーナリスト常岡浩介さんの違法ガサ入れ国賠訴訟事件を担当していますが、これはISに拘束され公開処刑された湯川遙菜さんに関連して〝私戦予備・陰謀罪〟容疑で取材機材も含めすべてを押収された事件です。常岡さんがIS支配地域に行けなかったので湯川さんが殺害されても、公安警察はそのことには無関心。公安は送検できるかなど考えないで、捜査押収を目的にしており、かつての特別高等警察に近づいているのです。

 私戦予備及び陰謀罪とは、外国に対して私的に戦闘行為をする目的で、その準備や陰謀をする罪。刑法第93条が禁じ、3ヶ月以上5年以下の禁錮に処せられる。ただし、自首した者は刑が免除される。という何か亡霊のような罪状で、公安は何でもありを証明するものです。当然、今後は共謀罪が脅威となるでしょう。

 元北海道警察・警視長の原田宏二さんは2004年、北海道警の裏金を告発し、今は「明るい警察を実現する全国ネットワーク」で活躍されています。まず、警察の任務(警察法第2条)は①個人の生命、身体及び財産の保護、②公共の安全と秩序の維持(公安警察の任務)。形は都道府県警察となっているが、実態は国家警察(ヒト・モノ・カネを警察庁が握っている)と。

 そして、公安警察は「公共の安全と秩序の維持のために、現体制を暴力的に破壊しようとする勢力及びその行為から民主主義を擁護する機能を果たす」ことを任務としており、その実態は闇(公安・外事部門で7~8000人、機動隊を含め1万人)、マスコミの取材対象外となっています。

 法的根拠のない捜査、やりたい放題している(共謀罪はその根拠を与える)。防犯カメラ・Nシステム・ビデオカメラ・三次元顔画像検索システム・GPS(位置捜査)・DNA(究極の個人情報)。チェック(公安員会・議会・裁判所・マスコミ)がなくなっている。さらに問題なのは人々の意識、無関心だ、と原田さんは怒っています。

 その具体例を示したのが、近藤ゆり子さん(大垣警察市民監視違憲訴訟の勝利をめざす「もの言う」自由を守る会)でした。シーテック社(中部電力子会社)による巨大風車建設計画をめぐって、岐阜県警大垣署が市民監視を行い、その情報を業者に流していたことが「朝日新聞」(2014年7月24日)によって報じられました。近藤さんは徳山ダム建設中止訴訟を起こした張本人として、〝危険人物〟視されていました。近藤さんは大垣警察市民監視違憲訴訟の原告として、公安警察による市民監視を許さないと協調しました。

 なお、国会における警察庁警備局長発言は、「管内における・・・各種事業・・・風力発電事業・・・とか道路工事の事業とか様々な事業・・・等に伴い生じ得るトラブルの可能性について、公共の安全と秩序の維持の観点から関心を有し・・・必要に応じて関係事業者と意見交換を行っております。そういうことが通常行っている警察の業務の一環だということでございます」となっています。

 そういえば8月に中国に行ったおり、上海・浦東空港の入国手続きで、10指の指紋を取られてしまいました。悔しいしできることなら避けたかったけど、いやなら関空に逆戻り。国境って何であるのか、軽やかに乗り越えられたらどんなにか楽しいだろう。もひとつそういえば、関空税関が没収した神戸朝鮮高級学校生徒のお土産は返還されたようです。愚か者たちのたくらみがひとつ破れました。懲りない彼らは〝お土産没収事件〟を繰り返しています。恥の上塗りをしたいとは、全く困った人たちです。 (晴)