愛媛文書は決定的証拠

【東京新聞】2018416

 

 加計学園問題に関する愛媛文書。愛媛県と今治市、加計学園幹部が二〇一五年四月に首相官邸で当時の首相秘書官・柳瀬唯夫氏らと面談し、県職員が備忘録として書き残した。

 

 <本件は、首相案件となっており、内閣府藤原次長の公式のヒアリングを受けるという形で進めていただきたい>

 

 そんな書き出しであるから、立派な柳瀬氏の指導、助言、あるいは指示である。「国家戦略特区の方が勢いがある」とのご沙汰も。実際、この面会から二カ月後、県と市は国家戦略特区での獣医学部開設を内閣府に申請。提案書は助言に沿った内容ばかりである。

 

 ところが、柳瀬氏は「自分の記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方に会ったことはない」と述べる。記憶が飛んだか、うそか。同じ文書は農林水産省からも見つかった。しかも、愛媛側の来訪が官邸側から文部科学省に伝えられていたことが判明した。県庁職員が架空の話を書くはずもなく、実際に加計学園の計画は実現した。備忘録の真実性は高い。同時に証拠能力としても極めて高い。

 

 そこに書かれている重要なことはまだある。首相と加計学園理事長が会食したときに、既に獣医学部の新設が話題になっていたことだ。首相の国会答弁で学部開設を知ったのは「一七年一月二十日」と述べている。もはや愛媛文書は、これを覆す決定的な証拠ではないのか。 (桐山桂一)

 
【毎日新聞】4/16
 

「加計」愛媛県文書 農水省が提出求める 柳瀬氏面会情報を把握

【東京新聞】2018416日 朝刊

 

 学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部開設を巡り、農林水産省で見つかった愛媛県職員作成による柳瀬唯夫首相秘書官(当時)らとの面会を記した文書は、県が農水省の要請で、二〇一五年四月の面会直後に同省へ提出したものだったことが政府関係者への取材で分かった。柳瀬氏らと面会する情報をつかんだ農水省から「どんなやり取りがあったのかを至急確認したい」と連絡があったという。

 農水省は当時、獣医学部の開設に慎重で、政府関係者は「農水省が県に面会記録の提出を求めたのは、学部開設を進めようとする官邸側や学園などの動向を探るためだった」と証言している。県の担当者が国への提出文書に虚偽を書く可能性は考えにくく、内容の信ぴょう性が高まった。

 柳瀬氏は「記憶の限りでは会っていない」と面会を否定している。