なんでも紹介  スカイカー時代の到来と垂直離着陸機(VTOL機、ヴィトール機)

未来の自動車スカイカーの登場。

 今日、自動車は動力部に電気モーターを使い自動運転が行われるような時代に入りつつあるが、空飛ぶ車「PALーVリバティ」がジュネーブモーターショーで公開され市販化される。

 
動画は↓↓

https://youtu.be/ow6ybXBF9AU

 



オランダのパルヴィインターナショナルの空飛ぶ車「PALーVリバティ」は2004年より開発が始まった陸空両用の乗り物であり、ヘリコプターに変形する機構を備えて、2012年にプロトタイプによる初飛行に成功、ドライブモードとフライトモードの2つが存在し、ドライブモード起動時はローターブレードは折りたたまれ、ルーフに格納され、地上走行時の最高速度は160km/hで、フライトモード起動時は最高高度が3500m、最高速度は180km/h、そして最大飛行距離は500kmとなっています。

 2017年2月より一部限定で市販モデル「PALーVリバティ」の受注を開始され、価格はフライトレッスンなどのオプションを含む90台限定の「パイオニアエディション」が59万9000ドル(約6500万円)、廉価版の「スポーツエディション」が39万9000ドル(約4300万円)とまだまだ高額ですが、量産車としては世界初の空飛ぶスカイカーです。

 自動車もいよいよ空飛ぶ時代に入ってきたと言うべきか?!。

垂直離着陸機

 空飛ぶ車「PALーVリバティ」はプロペラをつけてヘリコプターのように垂直離着するが、プロペラやジェット推進装置をつけ垂直離着し空を飛ぶ航空機類を垂直離着機と言えるが、垂直に離着する航空機には今話題になっているオスプレイや3つ以上のローターを搭載した回転翼機の「マルチローターヘリコプター」「マルチローター」のドローンなどと大気圏外へのミサイルロケット(着陸は実験段階だから含まれないかも)など垂直離着できる航空飛行機類総てが含まれるが、専門的にはミサイル・ロケットやヘリコプター類との分別として垂直離着陸機(VTOL機、Vertical Take-Off and Landing、ブイトール機、ヴィトール機)があり、さらに、垂直離着陸機(VTOL機)に類似するものとして、STOVL機(Short take-off and Vertical Landing aircraft、短距離離陸垂直着陸機)が分類されている。



 垂直離着陸機(VTOL機、ヴィトール機)はヘリコプターのように垂直に離着陸できる航空機であるが、ヘリコプターと区別されるのは、ヘリコプターの利点(空中でのホバリングが可能である。そのため、離着陸場所を比較的自由に選べるなどの利点がある。)欠点(回転翼端が音速を超えると衝撃波が発生し揚力を失うため、速度の上限が370km/h前後に存在し固定翼機ほどの高速性はない。また前進効率は固定翼機に劣るため、移動距離あたりの燃費効率が劣る。)を考慮し、固定翼機の、離着陸の際に十分な距離を持つ滑走路(ただし必要距離は機体によって大きく異なる)が必要等の運用制限を補う為、距離の長い滑走路が存在しない場所への高速飛行という要求を満たすために、固定翼機の高速性とヘリコプターの場所を選ばない離着陸性を兼ね備えた、垂直離着陸機(VTOL機)が開発された。したがって回転翼機であるヘリコプターは慣例的に垂直離着陸機(VTOL機)には含めづ、離着時にはヘリコプターで飛行時に翼を使うオスプレイは(プロペラまたはローターの角度を飛行中に変えられるようになっているものを特にティルトローターと言い、ティルトローターを備えた航空機をティルトローター機オスプレイは)垂直離着陸機(VTOL機)として区別されている。

垂直離着陸機の長所と短所

長所としては、
●他の固定翼機と違って滑走路を必要としない、もしくは短距離の滑走路で済むため、狭い場所や不整地においても離着陸できる
●滑走路を必要としない場合、滑走路が破壊されるなどの状況下でも離着陸が可能
●滑走路を使用して離陸する場合、燃料の節約でき離陸重量の制限も緩和される
●ヘリコプターと比べて高速度飛行が可能
●ヘリコプターと比べて航続距離が長い

短所としては、
●垂直離陸時に大量の燃料を使用してしまう。かつ垂直離陸のために重量の制限もあるため、航続距離や搭載量で固定翼機に大きく劣る。そのため任務目的によっては水平離陸もしくは短距離離陸で運用し、垂直着陸しか行わない場合が多い
●垂直離着陸時に非常に高温のエンジン排気、ヘリコプター以上の強烈な風圧が地面に対し直に噴きつける
●離着陸地点には高温・風圧を運用を前提とした設計・改造が必要となる場合がある
●通常のヘリポートや飛行甲板では高温に耐え切れず溶解する場合がある(例として護衛艦「いずも」にF35Bを搭載するために発着甲板を耐熱化する必要がある)
●野外運用の場合、高温のエンジン排気により枯れ草の発火や、巻き上げた砂塵をエンジンが吸い込む事による不具合のリスクがある【高温や風圧の問題は、リニア装置のような磁力を使った(プラスとマイナスは引きつけ合うが同極の場合反発する推進)装置が開発されれば磁場が及ぼす弊害はあるがこの問題は解決される】
●同等の固定翼機と比較して、最高速度・加速性能に劣る。また、水平離陸で運用する場合においても、航続距離や搭載量に劣る
●固定翼機・ ヘリコプターに比べ、構造的に複雑になり、製造コスト、運用コストが高くなる
●垂直離着陸という特異な性質上、通常のパイロットよりもさらに育成期間・育成コストが掛かる

 階級社会における最先端技術の応用と未来社会への影響

 垂直離着機の最先端技術は今開発と研究途上で、オスプレイに見られるように故障や事故が多発しているのが現状ではあるが、その技術は搾取社会の資本主義的社会にあっては階級対立や国家間の軍事的強化にまず利用され優先されることが常で、軍事力強化と戦術的応用からミサイル・ロケットの配備・オスプレイ・ハリヤー・F35B等々実戦配備段階は進んでおり、航空基地の分散化と戦術の変更が進んでいる。

 米軍強襲揚陸艦「ワスプ」はF35Bやオスプレイを搭載し、中東にも派遣されたが、日本の制海艦構想(空母の小型化)では、「ワスプ」をまねて、大型空母の代替として、ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)「いずも」にF35Bを搭載する「研究」も進んでおり、「専守防衛を超える」空母化が計られるなど、垂直離着機を応用した、攻撃と防御の為の戦術的応用と航空基地の縮小化と分散化が行われ、研究開発が進められている。

 将来、滑走路をそなえた大型の航空母艦に替わって、垂直離着機を搭載した潜水機能を備えた隠密輸送護衛艦が現れるかもしれないが、垂直離着機の可能性を応用した戦術的対応はかなり変わってくることだろう!。

 軍事的戦術に変化をもたらし始めている垂直離着機の開発・研究と実現化は生活面でも大きな変化をもたらすだろう。

 「マルチローター」のドローンを利用し小荷物配達実験を行うなど実験が行われているが、将来的には荷物や人間を乗せたドローン型のスカイカーが飛び交うかもしれないが、垂直離着機による空間の三次元的利用が進めば、広大な飛行場はもとより、道路の概念やその利用も見直され、土地利用も変わってくることだろう!。(真野)