【朝日デジタル】

北朝鮮大使館員、正男氏事件の指導役か 英紙報道

 

【日テレ】

北大使館が声明発表 マレーシア警察を批判

 

【ダイヤモンドオンライン】2017.2.22

金正男暗殺に中国激怒、政府系メディアに「統一容認」論

不都合な真実とは金正男氏が長期にわたって、北京やマカオに居住していたことである。北朝鮮事情を多少なりとも理解している普通の中国人ならば誰でも知っていることであったが、以前はこのことを知らなかった人の間にも、暗殺事件後、急速にこの事実が広まった。

これは、暗殺された北朝鮮の「廃太子」(王位継承を廃された人)が、事実上ずっと中国の保護下にあったことを意味している。

 

(中国政府系メディア「侠客島」の記事は)金正恩氏に次のように語っているのに等しい。つまり、あなたの果てしない乱行は、国際的な人心を失っており、米韓がひとたび刺激され行動を取れば、あなたの政権を転覆させることになる。その時になって私を非難してもあなたを助けることはできない。あなたを助けられないばかりか、新政権を樹立することに参画し、中国の意図に合うかたちで再編を図りたい(韓国の「急襲統一」は受け入れず、国連が前面に立つかたちであれば容認する)。新政権が中国の国益の助けになるならば、私は喜んで事に当たる……というわけである。

 

 

〔ここからコメント〕

中国はいつものことながら、金正男事件直後には金正恩を擁護してきた。しかし、状況は北朝鮮の犯行であること、しかも大使館ぐるみで国家的犯罪であることが次第に濃厚になってきた。マレーシアは北朝鮮と国交があり、マレーシア警察が欺瞞やデマを垂れ流す理由はないだろう。その警察が北大使館がその犯罪拠点となっている疑いをかけ始めた。証拠隠しと証人隠し、容疑者隠しに終始する北朝鮮の疑惑は深まるしかない。これでは金正男を保護してきた中国当局のメンツまるつぶれとなる。

 

そこで中国政府系メディアに登場したのが「統一容認論」という驚くべき路線変更をほのめかしている。それが上記「ダイヤモンドオンライン」の記事だ。もちろんこの政府系記事の掲載が、習近平の政策変更を直接は意味しないだろうし、北朝鮮に対する最終通告や脅しのたぐいにとどまるかもしれない。なによりこの記事は大学博士の肩書を持つ個人で出された。とはいえ、掲載されたこと自体とうとうタブーである「半島統一」「金王朝の除去」と言う政治シナリオの検討が否定できなくなったことを意味している。

 

中国が次第に北朝鮮の現政権=金正恩政権に苛立ち、北朝鮮との「友好」が中国外交にとって価値のあるものから、負担であり国益を害する危険なものとなってきたと理解し始めていることだ。それは以下の報道にも反映している。

[上海/ワシントン 18日 ロイター] - 中国商務省は18日、北朝鮮からの石炭輸入を全面的に停止するとの通達をウェブサイト上で発表した。北朝鮮に対する国連安全保障理事会の制裁を強化する狙いがあるー。

 

実際、中国の石炭価格が上昇しているのは、北朝鮮からの石炭を遮断しているからだと考えられ、中国も対北朝鮮によりに厳しい態度で臨んでいることは間違いない。北の体制を中国が死守すべき理由は彼らの好む「血の同盟」ではなく、よく知られているように親米韓政権の樹立が中国指導部には脅威であるからだ。

 

しかし、中国の意図ーー「金正恩の除去」が本気かどうかーーいかんにかかわらず中国が「半島統一容認」に傾きつつあると外部からみられたとすれば、極東の軍事的政治的変動を呼び起こす可能性がある。半島の外には日米の強力な軍事力が控えており、日本もまた「北朝鮮への先制攻撃論」が出ているばかりか具体的な準備も開始されている。日本版海兵隊創設、"いずも"などのヘリ空母と艦隊。オスプレイ、そしてさらにF35スティル戦闘機の導入を目指している。朝鮮半島の不安定化は、軍部や軍需産業、そして安倍政権の野心を高める恐れがある。(山)