〔管理人の一言〕
沖縄県は今回の事故(2016年12月13日に、米海兵隊普天間基地(沖縄県宜野湾市)所属の垂直離着陸機MV22オスプレイ1機が名護市安部の沿岸から約80メートルの浅瀬に墜落 )を受けて高江に建設中の「オスプレイパッド」完成式典(12月22日?)の中止を申し入れた、当然のことです。しかし全国オスプレイ訓練飛行計画が、政府と米軍・自衛隊の中で進行しています。
もちろんオスプレイばかりの問題ではありませんが、とりわけ開発中から危険視された事故の多さは、日本でも事実であることがーー不幸にもーー証明されてしまいました。オスプレイの事故は、名護市沖合墜落事故に隠れてしまいましたが、同じ13日に住宅密集地にある普天間基地内でも胴体着陸し「着陸装置に問題があった・・」(米軍当局)と機体の不具合が絡んでいることを認めています。これらの問題についての日本政府や稲田防衛相の説明は支離滅裂で米軍からしっかりした説明を受けていないことを露呈しています。日本国内の事故であるし、国民の生命が脅かされた重大事態です。日本政府が「当事者」ーー認めたくもないですが、取り敢えずーーとして全責任をとるべきものです。
このオスプレイの十七機の陸自導入が政府により決定しています。その拠点と予定される佐賀県では反発が広がっています。
防衛局は9~10月の住民説明会で、オスプレイの安全性を「問題ない」と断言。過去の海外での米軍機事故についても県や漁協、住民に「事故は開発段階か人為的ミス」「構造に問題はない」と強調してきただけに不安は広まった。「九州防衛局の説明は信用できないことが明らかになった」と。(「西日本新聞」)
上記「朝日デジタル」報道(下図)のように、自衛隊導入に並行してオスプレイは訓練と称して日本の至る所を飛行する計画なのです。「基地やその周辺だけが危険である」という認識はかんちがいです。
しかし、オスプレイは「欠陥」だけが問題ではありません。そのコストが異様に高いのです。
17機では総額3600億円で、定期的な整備費用や設備費、訓練費、アップグレード費用などを含んでいる。オスプレイだけを売ってくれれば後は日本で整備する、という事は通用せず、数十年間の経費も前払いで請求されます。http://thutmose.blog.jp/archives/37184071.html
というほどに高価なもの。単体一機百億円とも言われるが訓練費やメンテ費用で倍に膨らむのです。開発のベル・ヘリコプター社とボーイング・バートル(現ボーイング・ロータークラフト・システムズ)社=軍需産業は巨大な利益を獲得します。
米国海軍・空軍は導入を決めたが、米陸軍が開発早期に導入を予定していたオスプレイMV22を、コストパフォーマンス(費用対効果)の悪さに断念し、CH-47チヌークヘリとUH-60ヘリが最適と判断し、オスプレイ導入を中止した。http://www.asyura2.com/15/senkyo184/msg/853.html
米国陸軍のオスプレイ外しの理由には、その用途が中途半端であり活用しにくいとう点もあるようです。「ヤフー知恵袋」http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14145654724
ではどうして日本の政府と自衛隊は、かくも問題満載でトラブル常習のオスプレイを国民世論に抗して導入を強行するのか?です。
「日本ではオスプレイ配備について、もっぱら安全性と沖縄の負担という観点でのみ議論が行われている。もちろんこれらも非常に重要なテーマではあるが、オスプレイの導入は、米海兵隊が持つ機動力の質的転換と、自衛隊の海外展開能力保有という非常に重要な意味を持っている。」(「ハフィントンポスト」2013.6)。まさにそうなのです。
陸上自衛隊は2018年度までに約3千人規模の水陸機動団を新設する方針であり、その体制はほぼ完成しています。その中核となるのは西部方面普通科連隊(「西普連」)です。この連隊がまさに佐賀県佐世保市にあるのです。オスプレイの佐賀空港配備計画の動機はここにあります。この軍隊は米軍の海兵隊がモデルで、エンジン付きゴムボートなどを使って厳しい訓練を行なっており、海外専門家からも「日本の海兵隊」と評価されている精鋭です。。彼らを運搬し、軍事的展開をスピーディーに広域化する、その一環としてのオスプレイ導入なのです。
▲ 護衛艦ひゅうが▼護衛艦 いずも ・・まるで空母だ!
さらに、オスプレイは海上自衛隊の最新鋭護衛艦「ひゅうが」への着艦訓練をすでに行っています。航空母艦を持てない日本は、「ひゅうが」「いずも」などのーー名前は護衛艦ですがーー事実上のヘリ空母を擁していますが、もちろんオスプレイ搭載は自明の前提です。このように自衛隊と日本政府の一貫した計画がうきあがってきます。このような兵力の機動性および展開力を飛躍させた目的の一つは南西諸島の軍事的優位を確保すること、同時に海外進出を目指したものですーー北朝鮮先制攻撃や日中の東シナ海戦を念頭に。このように日本政府と自衛隊は戦後の伝統であった「専守防衛」をかなぐり捨てて「自主防衛論」や日米同盟「再構築」そして「集団的自衛権」を利用しながら歴史的な戦略的大転換を意図しているのです。オスプレイ導入はそのーーほんの一コマなのですがーーこうした戦略に不可欠のコマなのです。
粘り強く政府の危険な野望を暴露し、オスプレイ導入反対、飛行再開するな、軍拡反対、米軍基地撤去の声を高めてゆきましょう。(山崎)
【朝日デジタル】2016年12月15日
事故の影響は沖縄だけにとどまらない。
在日米軍は海兵隊 のMV22オスプレイ を普天間飛行場に24機配備。2021年までに空軍のCV22オスプレイ10機を横田基地 (東京都 )に配備する方針だ。自衛隊も19年度以降に計17機を導入し、佐賀空港に配備する計画だ。
横田基地を抱える東京都福生市の加藤育男市長は14日、防衛省を訪れて「海上で事故が起こったが、横田基地周辺に海はなく、人口密集地域。安全対策をどう考えているのか」などと問いただす文書を提出。佐賀県の山口祥義知事は「原因究明がまず目の前に横たわっている」と指摘し、事故の詳細が明らかにならない限り配備を受け入れるか判断しない考えを示した。