フジテレビの月9ドラマ、ラジエーションハウスの最終話が昨日放送され、視聴率も13.8%だったようです。
今クールではテレビ朝日のシリーズ物を除くと最も視聴率が高いドラマで、私も全話見ていました。
ラジエーションハウスは、幼い頃の約束を果たすべく、医師免許まで取ってしまった“天才“放射線技師の物語です。
が、突っ込みどころも満載でした。
1.本当に“天才“放射線技師の物語なのか?
各話で患者を救っていく訳ですが、大半は取られた医療診断画像を見て違和感を持った主人公 五十嵐唯織(窪田正孝)が再検査等で正しい病名を導き出す、というものでした。
決して、普通の技師が取り損ねるところ、きれいな画像を撮るという事ではありません。
言うまでも無く、読影は技師の仕事では無く、医師の仕事ですから、“天才“放射線技師の物語ではなく技師の仮面を被った“天才“放射線科医の物語というべきでしょう。
ま、これは原作の設定の問題ですが。
2.キャラクターの作り込みが甘過ぎる
本作のヒロイン甘春杏(本田翼)は番組HPで次のように紹介されています。
「技師を下に見ていて、プライドも人一倍高い、強気で勝気」
忘れた頃に高飛車な態度を取る事もありましたが、正直、上記のような印象は殆ど受けませんでした。
多分に、本田翼の演技力の問題という気もしますが。
そもそも、下に見ている技師の事を「たまきさん」とファーストネームで呼んだり、技師から「あんた」と呼ばれて咎めもせず放置しておくでしょうか?
制作サイドも認識していたのでしょう。そういう時は技師達に「どれだけ上から目線なんだよ!」とか「あんた、気が強いんだから」と言わせていました。
杏の大学の先輩にして、HPで将来有望な整形外科医と紹介されている辻村駿太郎も同様です。
第9話で、名門医科大学の教授の息子だが、その大学には受からず、父親曰く二流の医科大学にしか行けず、研修医として父親の大学に行くも、落ちこぼれていた事が判明します。
それであの颯爽とした態度、鋼のメンタルの持ち主のようです。
そして、杏も二流医科大学卒という事になってしまいました。
第7話では医師を騙ってマッチングアプリに登録した軒下技師に話を合わせて技師をであると相手にバレないように庇っていたのですが、第9話では、唯織に対して、「医師と技師は違うんだ!」と言い放ち、やはり技師を下に見ているかのようなシーンがありました。
医師と技師は違うと思っている人が技師が医師を詐称するのを容認するとは思えないのですが。
7話と9話、順番が逆ですよね。
尤も、辻村医師が辛く当たっていたのは、唯織だけという説もありますが。
3.ゲストの俳優たちのクオリティが・・・
各話、メインのゲストは女優さんたちで、それなりに見掛ける事の多い女優さんなのですが、その夫などを演じる俳優さんたちは無名に近いような人が演じていました。
第5話のAi(オートプシー・イメージング)の回は、珍しく犯人捜しの回でしたが、父親役は同時期にWOWOWの「悪党」で未成年の時に主人公の姉を強姦の殺した3人組の1人(三浦誠己)が演じていました。
風貌にしろ、すぐに切れるところといい、悪党にしか見えないので、どう考えても、ミスリードを狙った配役ですね。
中でも酷かったのが、第7話で、相変わらず綺麗で可愛かった松本若菜の夫役を演じた篠原篤です。
プロポーズの回想シーンを除くと、初回の検査、検診を早めるよう依頼、2回目の検査と3回登場し、2度感極まって泣くシーンがあったのですが、泣いているのか笑っているのか分からないような演技でした。監督もやっているようですが、これで演技指導できるんでしょうか?甚だ、疑問です。
ちなみに、3回ともよれよれの同じポロシャツを着て登場していました。
職業は何をしている設定なんでしょう?
松本若菜を養っていけているのでしょうか?
また、松本若菜も2度共同じ服装でした。手を抜き過ぎです。
ちなみに、篠原篤もWOWOW「悪党」に出演していて、黒羽たまき役の山口沙也加の夫役を演じていました。
4.皆、本当の事を言わないのは何故?
最終話は技師として勤務している唯織が医療行為を行った事が問題視されます。
辻村医師の父親の大学から派遣された専門医が辻村医師に「この事は問題にするぞ」と問い詰めるのですが、辻村医師は「問題無い」とだけ答えて分かれてしまいます。
偶然、その場に居合わせた(偶然にも程がありますが)新聞記者が専門医から話を聞いて、マスコミからも疑惑を持たれる訳ですが、その場で、「医療行為を行ったのは医師免許を持った技師」と答えていれば、辻村父からの糾弾は避けられないにしても、マスコミからのバッシングは避けられたはずです。
事実を速やかに公表するのが危機管理の鉄則、という事は、既に広く知られていると思うのですが。
5.謎は積み残したまま
このドラマには、
・杏が唯織の事を覚えていないのは何故か?
・杏が昔は好きだった犬を嫌いになったのは何故か?
・エスカレーターから転落する原因となった頭痛はなんだったのか?
といった解明されていない謎が残っています。
答えは、唯織と離れ離れになった後、飼っていた子犬が建設現場に入り込み、杏を制して捜しに入った兄がそこで事故に遭い、亡くなったため、それ以前の記憶を封印してしまい、思い出し掛けると頭が痛む、といった事だと思っています。
ある意味、海外ドラマでお馴染みのクリフハンガーと言えなくもありません。
原作は連載継続中のようですし、これはシーズン2への布石なのかも知れません。
来週は2時間スペシャルも放送されるようですし、シーズン2も放送される事を期待したいと思います。