トロロッソのテクニカルディレクター、ジェームズ・キーがトロロッソを離れ、マクラーレン入りする事がやっと正式発表されました。
ジェームズ・キーについては、以下のように紹介されています。
F1-TopNews : 低予算で優れたF1マシンを送り出してきており、F1界でも評価の高い人物として有名
F1-Gate : 独創的なマシン設計でグリッドで高い評価を受けてきた
本当にそうなのでしょうか?
以下はジェームス・キーが関与したと思われる車のコンストラクターズランキングです。
強力な何チームかを除いた中でトップだったと言えるのはキーの置き土産とされるザウバーC31くらいで、後は大体中団に位置しており、「本当に優れたマシンデザイナーなのか?」と言われると・・・微妙な気がします。
それでも評価が高いという事は、下記が理由では無いかと個人的には推測しています。
・成功作は多くないものの大きな失敗作も無く、少ない予算でもそれな
りのマシンを作る事が出来る
・引き抜きなどに応じず、ザウバーを除いて、1つのチームに長く在籍し
ており、金銭ではなく、信念で動くタイプ=人間として信頼できる、と
思われている
・長年小規模チームに在籍しているため、年俸が安く抑えられている
ジェームズ・キーのトロロッソ離脱の理由は、2019年からトロロッソがハースのようにレギュレーション上許されるパーツはレッドブルと共有(正確には2018年仕様?)する事になり、自身の独創性を十分に発揮する事が出来なくなるから、という事のようです。
パーツをレッドブルと共有したトロロッソの今年のマシンは昨年よりも明らかに速そうですから、トロロッソ(レッドブルグループ)の判断は正しかったと言えるでしょう。
(トロロッソの今年のマシンが昨年型(キーのマシン)より速いという事はキーの手腕に疑問符が付くという事でもあります)
ハースがフェラーリの、トロロッソがレッドブルのBチームのような位置付けになり、アルファロメオもフェラーリとの関係が強くなると、独創性を発揮するには、ルノーかレーシングポイントかマクラーレンまたはウィリアムズしか有りません。もしくはトップ3に行くかです。
トップ3が無理なら、残る4チームの中でマクラーレンというのは妥当な選択のように思います。
が、マクラーレンで上手く行くのでしょうか?
焦点は以下の3点かと思います。
・予算が増えた時に予算相応の競争力のある車を開発できるのか?
・チームの大幅に人数が増えたテクニカルチームを掌握/管理出来る
のか?
・マクラーレンの政治の渦に対応できるのか?
今までは「低予算の割に」というエクスキューズが出来ましたが、マクラーレンでそれは通用しません。
またマクラーレンはテクニカルチームの規模もトトロッソの比ではないと思います。
その大きなチームをキーはマネージ出来るのでしょうか?
PMとして10億円のプロジェクトを幾つも成功させて来たからと言って、100億円のプロジェクトのPMが務まるとは限らないのと同じです。
また、CEOザク・ブラウンの下にスポーティングディレクターのジル・ド・フェランて、マネージングディレクターにアンドレアス・ザイドル、パフォーマンスディレクターにアンドレア・ステラ、CTOにピーター・プロドロモウ、といったカオスそのものの組織で政治力も必要そうなテクニカルディレクターにパット・フライに代わって務められるのでしょうか?
金銭よりも信念の人という事は政治的な動きは苦手なのだろうと思いますが、政治が下手の横好きだったドライバーは去ったものの、技術より政治という人が依然としてボスですから、キーは苦労しそうです。
さて、マクラーレンと言えば、エリック・ブーリエがF1フランスGPのアドバイザーに就任したそうです。
チーム代表より向いてそうですね。