時を刻み続ける日本の宝 | バイクのある暮らし

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ニッポンにはカワサキがあるぢゃないか!



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皆さん腕時計好きですか?

メカ好き(時計好き)の方だけじゃなくここ十数年の間に

機械式腕時計の人気も一般的に安定し 海外有名ブランドもメディアで紹介され

近年のバイク事情同様に 市場も高級化しておりますよね。

 

 私も時計好きの一人ですがバイク同様に 

学生の頃から本格的に興味を持ちコツコツ集めて来ましたが

 一度はスイス製の高級腕時計を何本も集め コレの他にもまだ色々持っております

が特にロレックスに関しては 私が21年前に知人からこのダイヤ入りを譲ってもらったのを始め

 18年前に紳士用の白文字盤、そしてデイトナは確か? 12年前でしたので

定価で購入しその後機械時計ブームで

 こんなに値が上がるとは思いませんでした。

 

 まぁそんなつもりで買ったワケじゃないので 今後も手放す事はないでしょうけど

 ある一線を越えたときに何故か?急激に冷め・・・

 ここ数年はバイク同様に回帰傾向が強くなり初めて

腕時計に興味を持った頃の 昭和40年代から発売されていた

セイコー製の腕時計で この画像のダイヤモンドみたいな

カットガラスモノは当時憧れたモノで 一番のお気に入りのシリーズです。 

 

この手の話は今回はコレ位にしておき

今回のお話はそれより古い 昭和30年代モノで

「いつかは純正オリジナル品を」と思い続けたモノが 

やっと手に入った事を書きたいと思います。

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コレは腕時計バンドの部品ですが この部分を一般的には「尾錠(びじょう)」と呼びますが

 今回はグランドセイコーファーストモデル(昭和35年製)の 純正品の尾錠を手に入れました。

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コレがグランドセイコーファーストモデル本体ですが

 この時計を簡単に紹介しますが'1960(昭和35年12月18日発売)

 諏訪精工舎製25石手巻き式でテンプ5振動(ロービート)秒針規正装置付 

Cal. 3180/80μ14K金張りケース/凹型非防水ケースです。

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当時の広告コピーを調べて行くと

 「正確無比、生涯持つことに誇りを抱く時計」というもので

 キャリバー(時計の中身、心臓部)3180は諏訪精工舎独自設計のもので

 その精度・耐久性・外装仕上げなど、それまでの国産時計の最高を目指して 開発され

 

海外の工業製品を手本にコピー商品を作る時代から

 日本独自の設計開発で高精度な時計を作り世界の名門に挑戦し

一 躍世界の時計市場で脚光を初めて浴びた記念すべきモデルで

 バイクの量産車で例えればホンダドリームCB750や カワサキ900SUPER4が

「ジャパンオリジナル」で海外の名門に挑戦して

 日本のバイクが驚異だと感じたであろう歴史的な意味のある

 製品がそれにあたり、どちらの歴史も紐解くと

 日本工業界の宝だと言う事に異論は無いと思います。 

 

このグランドセイコーファーストは 

通常の精度基準より更に精密な時計の精度を表す

世界的な基準 「クロノメーター規格」の「優秀級」に準じた

15日間に及ぶ試験を 精工舎内で実施し合格したモノだけを

「歩度証明書」を付けて 出荷した事も

当時の精工舎の生産技術力が世界に通じる事をこの時計で

 証明した事でもあり世界一の精度を競うスイスの

 「天文台コンクール」でも上位独占という快挙も歴史に刻まれ

 「SEIKO」と言う後発の日本のメーカーが世界の名門に肩を並べた

 瞬間でもあったのでしょう。

 

 (その当時の成績:第二亀戸精工舎:2位、諏訪精工舎:4位~8位)

 しかしその年のコンクールの結果は

日本(精工舎)が上位であることが 困るかの如く

ランキング発表そのものが中止されてしまったことも

 時計マニアの間では有名なお話でスイスの時計産業にとって

それは非常に 不都合な?衝撃的な出来事であったし

1960年代からの「世界のセイコー」の 活躍の原点はこのモデルであり

日本の腕時計史の代表格で もちろん世界の腕時計史には

当然無くてはならないモデルと言えるでしょう。 

 

そして当時の販売価格も昭和35年の時代背景で

大卒の平均初任給が \14.000-の時代に\25,000-という価格で

発売されていたとの事で 

現在の平均大卒初任給を\200,000-とした場合

 \360,000-相当ですが当時この国はまだ

東京オリンピック前であり 今ほどこの国は生活水準も先進国と比較し

てまだまだ豊かではなく 高級腕時計に庶民がそれだけの

お金を投資する時代背景や 価値観は全く無い時代なので

相当高貴なモノであったのではないか?と 思われます。

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中身はこんな感じですが「SEIKOSHA」と刻印されておりますが

 現行品は「SEIKO」の表記となり

カワサキのバイクで言う 「KAWASAKI」から「Kawasaki」へと

変わった事と同様だと思われます。 

 

そして時計の性能を下記の比較表を見て頂きたいのですが

 クロノメーター規格/優秀級規格グランドセイコー規格

で 5姿勢の平均日差 -3.0~+12.0/-1.0~+10.0

  5姿勢の平均日較差 3.2/2.2 

最大日較差 9.0/6.0 水平垂直の差

 ±12.0/±8.0 最大姿勢偏差

 ±18.0/±12.0 温度誤差

 ±1.00/±0.60 復元差

 ±9.0/±5.0 単位は <秒/日>単位です。

 

 数字の誤差が左のクロノメーター規格より

 グランドセイコー規格の方が少ないですよね。 

ただでさえ機械式時計(手巻き/自動巻)だった時代は

 現在のクォーツ製とは違ってひと月に何秒とか

年差数秒などというのは 考えられない事で

1日に1,2分狂って毎日針を合わす事が当たり前

 まだ昭和30年代当時の事であり「クロノメーター」というのは

 そんな時代に生まれた超高精度時計のことでもちろん

 一般的にはいわゆる「高嶺の花」的存在の代物なのでありました。

 

 そしてスゴイのはこの時計が防水ではありませんが

時計として ちゃんと当時の精度がまだ確保されており

定期的にOHに出せば まだまだ海外の名門の機械式腕時計と遜色はありません。

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そして2001年9月300個復刻限定モデルを販売されましたが

ケースは 14金貼りではなく時代に合わせ18金ケースに

内部は出来る限りオリジナルに 忠実に(但し20石のロービート)再現され

価格は80~100万円で取引されましたが 

カワサキZ1に対しカワサキゼファーシリーズが復刻までは言い難いですが

 再現され販売された事にも重なりますね。

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まだまだこの時計の事は沢山あるのですがキリが無く

 しつこいといけないのでコレ位でやめて・・・ 

 

現行のセイコー純正最高級クラスの皮バンドの尾錠と並べると

 こんな感じですが今まで何度もイメージして来ましたので

 現物を手に入れるとウレシイですね。

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さすがに47年前ですから当時のオリジナルの

 皮バンドはあってもボロボロのモノばかりであり

仮にイイモノが 手に入っても着け心地は

現行品の廉価版のペラペラなバンド相当なので 

当分は皮バンドは切れるまでイイでしょう

オリジナルに限りなく近い色柄ですから 

でもいつ擦り切れるのだろうか???冠婚葬祭しか使うことは無いので・・・