濃厚濃密な文章を書き続けるには、

途方も無い精神力と体力がいることが判明した。

ほぼ一か月、精神的にダウン。


そんななか、「枯木灘」を読み返す。

被差別部落の実情は、なんとも濃密。


この本を、自然のなかでたくましく生きる人間の強さとか、

くだらない的外れな評を書くバカタレが多い。


一本、道を隔てた向こうが部落。

外に出られない濃厚な血縁集団が、内部で倦みつづける。

その「倦み」は、近親相姦であり、暴力であり、

結果として、夭折、奇形、堕胎などが生じる。

これを「人間の強さ」などと評するのは、ただのバカだ。


被差別部落は、倦まざるをえない集団。

近親相姦をするしかないのだ。暴力しかないのだ。

そこには、快楽や、解決といった生産的な目的は無い。

未来のない、社会的差別。未来のない社会的監禁。


妊娠と堕胎を繰り返し、自分の本当の親が、兄弟であり、

自分の子を弟や妹として、また、そのなかで近親相姦する。

とにかく暴力をふるうしかない。自己が何者なのかもわからず、

何のために暴力をふるっているのかもわからず、暴力をふるうしかない。


金も、知識も、その存在性すらも社会に奪われた部落民。

隠蔽された暗闇のなかで生きるしかない部落民。

それがなぜ、「人間の強さ」などという感想に結びつくのか。

まったく、バカバカしい。

久々に、文章の比較がしたくなった。


村上龍を含め、それ以降の文学は完全に

チープな文学「のようなもの」に変化した。

とりわけリベラルアーツの欠落した、ペダンティックなことば遊びと、

純文学「のようなもの」感だけで中身の無い作品だけになった。


元AV女優の飯島某が書いた「プラトニックなんとか」という作品が、

数年前に大変売れた。それこそ、「文学賞を」だといったバカもいたほどだ。


文学と駄作文がどれだけ違うのか、分かっていないクズが多い。

書かずにはいられない教養人、書くことでしか生きられない文人と、

その雰囲気だけにあこがれる似非、「のようなもの」との違いが。


冒頭部分…


「セックスがそんなに楽しいか」

父が右手でテーブルを叩きつけ、大声で怒鳴った。

さっさと夕食を済ませて、いつものように遊びに行こうと…


これが飯島某の作文だ。ガキの作文並みのレベルの低さ。

これを文学というのなら、日本の小学生が全員芥川賞作家になってしまう。


冒頭部分…


快楽の動作をつづけながら形而上学について考えること、

精神の機能に集中すること、それは決して下等な楽しみではないだろう。…


これは大江健三郎の「われらの時代」の冒頭だ。

文章の重みがまるで違うことがすぐに分かる。

決して美文でも、読みやすい文でもないが、そも重みだけは十分感じられる。


「メシを食って遊びに行こうとしたら父に怒られた」なんてガキレベルの文章を

「文学」とよぶとは、へそで茶を沸かしてしまう。滑稽どころか荒唐無稽だ。


なぜか棚を整理したら出てきた「プラトニックセックス」

買った記憶など無いので、本書の価格0円。無価値!

2日間でアメリカ大統領選に関する

1万6000字の原稿を書き上げるという

離れ業をついに披露してしまい、

虚脱の極みに達している。


その辺のアホが書くペラペラのエッセイではないので、

本当に疲れた。自分にはとても甘いのだ。


なんとなく、座右の芦部「憲法」を読んでみた。

アメリカ大統領選に関する資料として、

日本の選挙制度と比較するために買ったもの。


まあ、制度比較自体はたいして面白くなかったけど、

「人権」の部分は非常に面白かった。

昨今の制約・法の洪水を戒める言葉がならび、

「自由主義」という言葉の重みを改めて

噛み締めさせてもらった。


グーグルのストリートビューを人権侵害だの、

プライバシーの侵害だのとほざく馬鹿野郎がいるという。

具体的に誰のどんな利益が侵害されたのか、難解極まりない。

よしんばこのストリートビューをつかって泥棒の下見をしたとして、

グーグルに刑事責任、もしくは損害賠償責任を負わせるということが可能か。

答えはNOだ。


こんなくだらない責任追及をしていったら、

それこそ、犯人の親、兄弟、環境すべてに責任が拡大していく。

そんな社会では国民の行動が萎縮する。


いまもその傾向がある

カッターひとつ自由に持てない国家、
「銃口から生まれる権力」のもとで、何もいえない国民…

「ばかばかしい」という声が聞こえてくる。

「安全・平和が確保されてこその自由だ」と言ったバカがいる。

全く逆説だ。国家の陰謀そのそもじゃないか。

その「自由」のために、いったいどれだけの「血」と「涙」が流されてきたのか、

歴史を勉強する必要がある。


その「自由」のために、

いまも虐殺され、身内を焼かれ、子を連れ去られ、

妻を強姦され、娘を射的の的にされている人がいる。

これは決して遠い話ではない。


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