夏にヒーヒーいいながら編集していた本がやっと出版された。

なかなか嬉しいもので、知人に送りまくっている。


こないだとある新聞社の人からもらった本。

上杉某の「ジャーナリズム崩壊」


この氏の名前はよく週刊誌で目にする。

新聞報道の裏を解説し、その批判をしたうえで、

独自の論理を展開する、そんな記事が多い。


たとえば、9.15のリーマンショックの前の

新聞社主導の「衆院解散風」に、官邸自身が

なんの示唆もしていない点で、新聞を痛烈に批判していた。

いまでも、新聞各社は「民意を問え」とばかりに

「解散風」を紙面を通して送り続けている。


そんな氏の著書。ありがたく読ませていただいた。

全体を通しては「記者クラブ制度」の開放を訴えるもの。

護送船団方式での、同じ記事を載せる各社、

署名を記さず責任を社に転換する記者、

それらを慣習的にみとめつづけている新聞業界を批判。


なにを今更という感がいなめないものの、

実態について詳しく描かれている。


記者クラブによる、フリーランスへの取材妨害、

質問権もあたえられず、ときにはオブザーバーとしての出席もできない。

「情報の独占」だ。そこに国民の知る権利は存在しない。


官庁の定例記者会見では、事前に質問項目が官庁に提出される。

それにあわせた回答が用意されるという茶番。出来レース。

市民が新聞を読まなくなった理由はここにある。

業界人、関係者だけが読む内輪ネタが、いまの新聞の実態だ。


速報性でテレビに負け、

取材力で週刊誌に負け、

影響力でインターネットに負け、

いま新聞に残っているのは権威だけだ。

悪しき「第四の権力」としての機能なき権威。


こんな権威にすがっている国民が数百万人いることもまた事実。

まったく、どうかしているとしか思えない。

ということで本書の価格、500円。

木枯らし吹きすさぶ東京の「路地」

21世紀とは思えない、高度経済成長前夜の遺物のような空間。

あるライターが「東京真空地帯」と名づけた場所。

バラックの小屋と、アスファルト舗装されていない軒先。

イヤというほど匂ってくる1950~60年代の生活臭。


好きな歌手、否、世界一大好きな歌手、高田渡さんの本、

「バーボン・ストリート・ブルース」を買った。これで2冊目。

一冊目は、電車や風呂で読みすぎてボロボロになってしまい、

2冊目を買うことになった。


「フォークの神様」と呼ばれて久しい。

母親を早くになくし、金も無く、夜学の高校も行ったり行かなかったり。

二十代半ばをすぎてからは、酒びたり酒びたり。

関西や九州などをいったりきたりの遊牧民のような生活。


吉祥寺の「いせや」という飲み屋。

朝から焼酎をあおり、つまみがなくなれば、

塩を舐めて、また酒を飲む。酒、酒、酒。

飲みすぎて肝臓を休ませるために数年に1回、

定期健診のように入院し、酒を断つ。


この人の目に映るものに貴賎はない。

歌っているときが、高田渡のすべてと自分で語っている。

飲んでいるときは、「おまけ」だという。


山之口獏に傾倒し、とにかく日常を歌うことで反権力を標榜してきた。

高田渡がつまっている「バーボン・ストリート・ブルース」。

この本にも価格は付けられない…。

なぜ凹むのか考えると、

期待が大きすぎるからだということに気づく。

何も求めなければ、裏切られることも、失うことも無い。

と、ブスがブスに喫茶店で延々語る様は、ヒドい。


「週刊新潮」で連載されていた

「戦時体制いまだ終わらず」をまとめた単行本。


日本経済の奇跡は、戦後の民主化によって築かれた―

ワタクシもそう思っていた。戦後民主主義教育(日教組)によって、

戦前の悪しきシステムはGHQによって180度転換されたうえに、

朝鮮戦争特需から一気に復興し、工業化していき高度経済成長を遂げたと

いうイメージを植えつけられてきた。


しかし、本書を読むとそのイメージが瓦解する。

軍部以外の国家機関、官庁はGHQから戦争責任を問われることなく、

戦前→戦中→戦後と「連続性」を持って今に至るという。

1945年8月15日の終戦をもって断絶・転換されたというイメージは、

霞ヶ関、官僚、経済体制に関して完全な誤りだと分かる。


大蔵官僚の暗躍、否、暗闘により占領軍の経済破壊行為を抑えられた。

インフレ政策により富裕層の資金を相対的に減らし、

貧民層を中流階級に押し上げることに成功。国債発行額も減らせた。

国家経済を鉄鋼業に集中投下して、日本の戦後は終わった。


大蔵官僚出身の著者、どうしても官僚の力を過大評価する部分が目に付くも、

それを差し引いても、本書は戦時体制がいまだ続いていることを感じさせてくれる。

官僚主導の経済体制の弊害は、「自由主義」を謳う憲法理念をねじまげる。


本書の価格、軍票B円。