宮崎智之。
本屋でなんとなく、ジャケ買いしてしまった本の一冊だ。
「冷静と情熱の間」みたいな名前の本で、青を基調とした装丁、そして著者の写真を見た時の青っちょろい風貌。なんとなく買ってしまった。
もしも、この本を読むのなら、前半は我慢である。
なんだか、著者が来し方を振り返りつつ、反省をしている部分が続く。それには耐えなければならない。しかし、中盤をすぎると楽しくなってくる。友人との思い出やヤブイヌへの愛。アルコール中毒の話やアルコール中毒予備軍の知人の話。
個人的に気に入っているのは、「細マッチョをめぐる冒険」だ。もちろん、村上春樹の「羊をめぐる冒険」をもじったタイトルだ。著者はある年末に肋骨を折ったことにより、毎年年始の目標としている筋トレ熱が高まる(例年ひと月もすれば落ち着く)。ただ、体育会系のノリは死ぬほどいやだ。そこで解決策を思いつく。「細マッチョになったほうがいいのではないか」と考えた。そして、ジムに行くのではなく、大宅壮一文庫にいく。そして、「細マッチョ」がいつから使われている言葉なのかを調査する。この話がとても好きである。
本を出版できるので、本当は弱くはない。
だが、この本の中にあるのは弱い、どうしようもない人賛歌である。