手のひらのなかで | 友野雅志の『TomoPoetry』

友野雅志の『TomoPoetry』

日々書きためている詩をのせます。noteには下にのせています。https://note.com/mtomono






あおいまるいボール

ガラスは冷たいまま

ひびく足音

もがく手のひら

ガラスのかけらが

ながれる 槍のように

ときには あたたかい外套のように


あの声が聞こえるだろうか

眠りつつあるあなたには

触れていく風を感じるだろうか

氷の透明さのあなたには

もうおろしてしまおう

白い麻の空を

あなたの

呼吸のあたたかさが

あおい星をくもらせる


だれの手のなかで回っているのだろう

あなたの夢と

わたしの

目覚めたばかりのかなしみは


ながれるような

あなたの四肢から

青葉あるいは水草 それとも

そのしたの褐色の記憶


わたしはふたたび丸くなる

あなたのように

手のまるみにそって

空は

あかるく暗く

ときに死布の銀色に

あるいは命のようにかがやく


まだ聞こえるあなたの呼吸

波のようにひろがりゆく

星たちのひかりのように