空をくだくきみの指 | 友野雅志の『TomoPoetry』

友野雅志の『TomoPoetry』

日々書きためている詩をのせます。noteには下にのせています。https://note.com/mtomono

きみの親指が

この星の経線を

はしっていく

ながれるのは血と涙

かなしみとよろこひ

33分の

叫び

悦びの そしてさみしさの

わたしは投げられる

心地よい肌のうえ

裂かれた肉体のなか

どこまでもひろがるのは

きみのたましい

わたしは凍った空間になり

さまよう


コーヒー味のアイスクリーム

かれの血が溶けている

アジアの

水が

けがれていく音

靴音と

歓声と

悲鳴

わたしたちは

わたしたちの歓喜を

なにと交換しようか

ぶーん ばーん ぱらぱらぼーん

きみの指が

複雑なリズムで

空間を

引き伸ばし

わたしたちは顔をゆがめか

声をほそく

送る

靴音と銃声が

爪のように

ひびく


きみの爪のせいだ

この星の弦を

ひっかくきみの

指の

絶望の


ミントクリームを舐めながら

わたしは

朝の青山から

しずみゆく渋谷までくだる


耳を爪がひっかく

古い音が

聞こえる