きみの親指が
この星の経線を
はしっていく
ながれるのは血と涙
かなしみとよろこひ
33分の
叫び
悦びの そしてさみしさの
わたしは投げられる
心地よい肌のうえ
裂かれた肉体のなか
どこまでもひろがるのは
きみのたましい
わたしは凍った空間になり
さまよう
コーヒー味のアイスクリーム
かれの血が溶けている
アジアの
水が
けがれていく音
靴音と
歓声と
悲鳴
わたしたちは
わたしたちの歓喜を
なにと交換しようか
ぶーん ばーん ぱらぱらぼーん
きみの指が
複雑なリズムで
空間を
引き伸ばし
わたしたちは顔をゆがめか
声をほそく
送る
靴音と銃声が
爪のように
ひびく
きみの爪のせいだ
この星の弦を
ひっかくきみの
指の
絶望の
ミントクリームを舐めながら
わたしは
朝の青山から
しずみゆく渋谷までくだる
耳を爪がひっかく
古い音が
聞こえる