で思いつくのはやはりこちら。
「誰が為に鐘はなる」
ヘミングウェイの原作、イングリッド・バーグマンがヒロインのスペインの内戦を舞台にした映画です。
中学生、高校生あたりの頃はお金が無かったのもありますが、映画が大好きでテレビの再放送なんかで古典の映画を観たりしていました。
(映画の教養とも言えるような、古典の作品達がたくさんやっていましたし。)
昔の映画ってまさに「美男美女」の「ヒーロー」と
「ヒロイン」なのですが、そんなハリウッド女優の中でも、知性や強さを感じさせるイングリッド・バーグマンが好きで、かつ民主主義というイデオロギーの為に命を賭けるヒーロー、なんていうのもドラマティックで好きな映画です。
その中でのキスシーンが映画では美しいキスシーンとして心に残っています。
この記事を書くのに「誰が為に鐘は鳴る」を検索していたら、タイトルの元になったのは、イングランドの詩人で後年、カトリックの司祭も務めたジョン・ダンという人の説教の一部だという事を始めて知りました。
長いのですが、原文と和訳を。
「For Whom the Bell Tolls
No man is an island, entire of itself;
every man is a piece of the continent,
a part of the main.
If a clod be washed away by the sea,
Europe is the less,
as well as if a promontorywere,
as well as if a manor of thy friend's or of thine own were:
any man's death diminishes me,
because I am involved in mankind,
and therefore never send to know
for whom the bells tolls;
it tolls for thee.
John Donne
Devotions upon
Emergent Occasions, no. 17
(Meditation)
1624 (published)
「誰がために鐘は鳴る」
人は離れ小島ではない
一人で独立してはいない
人は皆大陸の一部
もしその土が波に洗われると
ヨーロッパ大陸は狭くなっていく
さながら岬が波に削られていくように
あなたの友やあなたの土地が
波に流されていくように
誰かが死ぬのもこれに似て
我が身を削られるのも同じ
なぜなら自らも人類の一部
ゆえに問う無かれ
誰がために弔いの鐘は鳴るのかと
それが鳴るのはあなたのため」
No man is an island, entire of itself;
every man is a piece of the continent,
a part of the main.
If a clod be washed away by the sea,
Europe is the less,
as well as if a promontorywere,
as well as if a manor of thy friend's or of thine own were:
any man's death diminishes me,
because I am involved in mankind,
and therefore never send to know
for whom the bells tolls;
it tolls for thee.
John Donne
Devotions upon
Emergent Occasions, no. 17
(Meditation)
1624 (published)
「誰がために鐘は鳴る」
人は離れ小島ではない
一人で独立してはいない
人は皆大陸の一部
もしその土が波に洗われると
ヨーロッパ大陸は狭くなっていく
さながら岬が波に削られていくように
あなたの友やあなたの土地が
波に流されていくように
誰かが死ぬのもこれに似て
我が身を削られるのも同じ
なぜなら自らも人類の一部
ゆえに問う無かれ
誰がために弔いの鐘は鳴るのかと
それが鳴るのはあなたのため」
「鐘」は誰かが亡くなった事を告げるもの。
「亡くなった『誰』の為に鐘はなっているのか、
それは見ず知らずの人であっても、同じ「人」である限り、つながりのある、お互いが分かつことのできないものである」
という事かと思うのですが。
訳文はかなりわかりやすい現代語になっていて、少しあっさりした印象も受けるのですが、原文の詩人らしいリズム感の美しさに加えて司祭の説教であるという、例えのイメージのしやすさ、力強くもある展開、最後の祈るような言葉に心が動かされます。
ここからは私の解釈が強くなりますが、
「人は孤独ではない、誰かを孤独にすべきでもない、
なぜなら同じ人であるから。」
イングランドという地政学上、宗教対立の激しかった土地故に産まれた言葉かもしれません。
ですが、現代においては、地球上のありとあらゆる価値観が距離も時間も超えて衝突をし、争いを産み、国家を、人を分断していきます。
硬直したイデオロギーは争いしか生み出さないと思っています。
ただ、同じ「大陸」に、または同じ「惑星」に存在する「人」である、という括りだけで考えることが出来たなら、もっと「人」は穏やかに生きていけるのではないのかと思うのです。
星と星の距離はありえないくらい遠くて、
そんな星の一つにたまたま生まれて同じ時代を生きるなら、同じ人間同士、優しくありたいと思うのです
