製薬企業の営業をMRといいますが、MRの役割は年々変化してきています。特にその業務内容が大幅に変化してきており、2000年以前と以降とではまるで違う仕事のようになっています。みなさんドラマとかで、製薬企業の営業というとドロドロしたようなイメージがあるかもしれませんが、実際には、学問的にも体力的にも大変な仕事です。ただ、今後は体力的にという部分が少し変わってくるように思います。どのように変わってくるんか、それはまたの機会にお話しするとします。
顧客の内面を調べる調査をインサイト調査といいます。例えば、人は一見、気に入っていると言っているものでも、理由を聞くと他の製品でも代わりがきくようなそれほど、その製品でなくてもいいような意見がでてくる事があります。そこでもう一段掘り下げて、別の角度から理由を聞いてみると意外な事でその製品を使用している事が分かったります。
これはあくまで調査の手法の話ですが、人の心とは本来そういうものです。みなさんもそう簡単には本音は言いませんよね?
市場調査をする上でとても重要なのが、マーケットリサーチとマーケティングリサーチです。マーケットリサーチとは、主に市場の規模や構造を調べるための調査で、市場参入のインパクトや市場の魅力度等を分析する際に必要な調査です。一方、マーケティングリサーチとは、目に見えない情報を収集する調査で、顧客のインサイト(内面や本音)を調べるために行います。どちらの調査も重要ですが、戦略を構築する上で最も重要ちなるのがマーケティングリサーチです。マーケティングリサーチを行う上で重要なポイントは顧客の真のニーズ、潜在ニーズを探し出す事にあります。もちろんこれはただ、調査をすれば見つかるというものではありません。商品があふれている現在、潜在ニーズを見つける事はとても難しい事ですが、もし見つけられれば、、、、。マーケター冥利につきますね。
多くの内資系企業で、マーケティング組織の不在が散見されますが、みなさんの会社ではどうでしょうか?これは某会社のある社長さんのコメントです。その社長さんは、「モノ作り日本を代表するような新しい製品を作ってこれからも発展してゆきます」と発言しました。その時、会場の誰かが質問しました。「マーケティングやブランディングについてどうお考えですか?」。社長さんは答えました。「わが社には、信頼と誠実さ、そして技術があります。マーケティングなどは必要ありません」と。この企業は、技術は本当にすばらしい企業なのですが、売上や株価はそれほど高くありません。みなさんならどうしますか?
医薬品産業は特殊な産業だけに、医療用医薬品に関するマーケティングの本はほとんど存在していません。消費財のマーケティングとは同じようで随分違う部分もあるのが、ファーママーケティングですが、最近になって数冊ですが、この領域に関する本が発行されています。
残念なのは現役の人が書いた本が少ない事です。この手の本は現役を引退した人が自叙伝のようなものを書いて出版したものや、マーケティングの学者が一般論を中心に書いたものが多く、実際に今何が製薬企業で求められているか記載されているものがほとんどないのが現状です。今マーケティングに携わっている現役バリバリの人物の本を読んでみたいものです。
多くの製薬企業は、組織戦略として機能型組織を選択しています。機能型組織とは、営業部、流通部、学術部、研修部など、企業の専門性を高めるため、必要な機能や役割ごとに部署を設けるシステムです。
この機能型組織は一見、効率や専門性という意味で効果的のように思えますが、大きな問題が一つあります。それは製品やサービスなどの付加価値向上やイノベーションの創出です。
機能型組織では、各部署のセクショナリズムや不必要な調整が発生するだけでなく、独創的かつ先進的なアイデアが潰されてしまう傾向があるのです。
この欠点を補うのがプロダクトマネージャー制の導入です。プロダクトマネージャーはその名の通り、製品の最終責任者であり、製品の社長とも言える存在です。彼らは、付加価値の最大化をミッションに部門を超えた戦略やアイデアを企画・提案し、部門間に横串を入れる役割を担っています。製薬企業は、最終的には製品が売れなければ何の意味もありませんので、彼らの役割は大変重要です。
しかし、未だ多くの製薬企業で、プロダクトマネージャーは存在していても、形だけのプロダクトマネージャー制となっています。これは製薬産業の歴史やBtoBビジネスならではの問題が根底にあるのですが、そろそろこの旧態依然とした体制を見直さないといけない時期に来ているのは自明の理です。どの企業が最初に組織改革に乗り出すのか、それともこのまま淘汰されるのか、楽しみではありませんか?