弦楽四重奏曲を書く | 音楽 楽器 作曲の研究してます

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作曲・編曲しています。
チェロを弾きます。

クラシック音楽の室内楽曲の編成には、一人で演奏するソロ、二人のデュオ、三人のトリオがあり、そして四人のカルテット・・・と、まあ、多くても9人・10人の編成くらいまでをさします。

その昔、ヨーロッパの貴族や上流市民層の「室内」で楽しむ音楽でした。上流階級とはいえやはり部屋の広さや友人や家族と気軽に楽しむ要素が主ですので、やはり2人から4人という編成で書かれたものが多くなったのでしょう。

なかでもヴァイオリン2本、ヴィオラ、チェロの4人の組合わせである弦楽四重奏はハイドン、そしてもちろん、同時期のモーツァルトやベートーヴェンらによって芸術作品としてのジャンルにまで成長しました。

ですが、弦楽四重奏はなにもハイドンが最初ではなく、もっと古く1600年ころには書かれていたようです。

最初に誰が書いたのか?

いくつか説があるのですが、イタリアのカトリック神父のGregorio Allegri (1582-1652)とも言われています。Sinfonia for Stringsというもので楽譜をみたことがないのですがおそらく編成がこの4つであっただけでハイドンのような高度なものではなかったでしょう。もっとも、ようやくAndrea Amatiによってヴァイオリンがヴァイオリンらしい形になった時期でもあります。あとは、その70年ほど後のスカルラッティAlessandro Scarlatti (1660-1725)が挙げられます。

 

さて、小職も弦楽四重奏をいくつか書いていまして、今回は自作のいくつか聞きやすい・演奏しやすい曲を紹介しようかと思います。(スコアと音源ありです)

弦楽四重奏は作曲家にとって重要な編成です。たぶん、それはベートーヴェンやバルトークらが偉大なる金字塔ともいえるべき作品を遺したということもあるかと思います。それに付随してプロフェッショナルの弦楽四重奏団という演奏グループが歴史的にいくつも出現したということもあります。演奏の需要が多くあるからということですね。作曲上の観点からも、四声というのは和声学や作曲の教科書にもよくでてくるのですが、ハーモニーのバランスに優れていて、古典派以降のモノフォニー(同時に和音変化が動く)による「メロディ+伴奏」という曲の作り方において都合が良いということが言えます。

やっぱり、トリオだと和音の構成要素が一つ欠けてしまいさみしい感じがして、どうしても重音が多用してしまいがちです。一方、五重奏以上になると今度は声部が一つ多くて和音のどの音を重ねるのかに苦労しますし(重すぎる)、メロディを2パートで奏したり…と、やっぱり四重奏が丁度良いのです。(ブラームスとかよく五重奏・六重奏を書いたな…)

 

で、どんな曲を書いたのか?どれもそんなに難しくはないです(アマチュアカルテットの中級くらい?)

まずは、ベートーヴェンのようなロマン派的な小品。これは喜びや幸せな気分の時にどうぞ、といわんばかりの美しく充実したラルゴ。

パート譜 ・スコア

動画(Morgental四重奏団、2021年)YouTube

 

つぎに、もう少しポピュラーな感じでは、ロック調のカノン。ノリよく、楽しく!
最初、これがあのカノン?と思うかもしれませんが実はニ長調を同じ調号でロ短調にしてリズムを変形させたらこうなるのです。あと、チェロのベースラインは曲全体でD→A→B→G…と通奏低音の順になっています。

スコア ・パート

動画(Morgental四重奏団、2020年) 

 

3つ目は、正式な?弦楽四重奏曲、第1番。(第2番を書いているのですがまだ演奏してない…)

日本的な要素を盛り込んだもの。でも1楽章はどことなくショスタコーヴィチっぽいかも。

音源は3楽章だけですが、日本のお祭りをイメージしました。

 

スコア ・パート

動画

 

みなさま、よかったらお試しください!

(もし演奏されることがありましたらご一報を。演奏に関する著作権料は不要です)

次は、もっと現代的な作曲法でかいた四重奏を紹介したいと思います。(アルゴリズム作曲など)

 

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音楽と楽器の研究:

 

 

筆者(横山真男)のHP(楽譜のダウンロードもできる作品リスト

 

https://www.cello-maker.com/