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「知ってる!」を増やす、bookrecommenderのおすすめ・推薦本ブログ

出会った本を、「読書」文化を広めたい一心で書く、書評ブログ。
「本を読みたいけど、続かなさそう」「何から読もう」と考える人を応援します。コメントを頂き、リクエストに沿った本を紹介する双方向型ブログを目指します。

こんにちは。masaobookrecommenderです。
今回も小説の推薦本です。まずは概要から


王とサーカス [ 米澤穂信 ]

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《書籍名》王とサーカス
《著者名》米澤 穂信
《出版社》東京創元社
《初版発行》2015年7月
《ジャンル》小説
《テーマ》日本人フリー記者とネパール王族殺害事件
《舞台の国》ネパール
《読み応え(所要時間)》★★★☆☆
《あらすじ(表紙裏面より抜粋)》
 二〇〇一年、新聞社を辞めたばかりの大刀洗万智は、知人の雑誌
編集者から海外旅行特集の仕事を受け、事前取材のためネパール
に向かった。現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな
時間を過ごそうとしていた矢先、王宮で王族殺害事件が勃発する


勤務先の社内報に載っていた推薦記事が目にとまり何気なく購入
しましたが、かなり「アタリ」の作品だったため紹介します。

まず、こういう海外が舞台の作品のイイところというのは、題材の
国の文化やら歴史やらを、退屈せずに勉強できるところですよね。

今回の「王とサーカス」は、ネパールで2001年に実際に起きた
「王太子ディペンドラによる国王殺害事件」が題材です。息子で
ある王子様が父親である王を含む複数名の王族を殺害するという、
近代史上でも希に見るスキャンダラスな出来事が題材。この事件
を取材する大刀洗記者がジャーナリストとしての葛藤や「仕事
とは何か」という永遠のテーマに悩まされながらストーリーは
展開します。この「国王殺害事件」を教科書や文献で勉強しよう
ものなら、間違いなく退屈です。ただの親殺しの歴史です。

その点、本作ではノンフィクションである事件を、フィクション
である大刀洗記者が一人称の立場から見届ける展開。事件直後の
国民の感情、外出禁止令の発令、情報の錯綜等などの臨場感溢れ
る描写。スピード感もあり、飽きが来ません。「気づいたら一気
に読んでいた」、そんなタイプの作品です。

そして最終盤まで繰り返し突きつけられる「私はなぜ事件を伝え
るのか」という、根本的な疑問。

そりゃそうだ、日本人がネパールの悲劇を日本語で伝えて何が
おこる、世界は平和になるのか?誰かが得をするのか?

大刀洗記者の「私はなぜ事件を伝えるのか」は、すなわち私たち
働く人間にとっての「なぜ(今の職業で)お金を稼ぐのか」と
いう問いです。大刀洗記者は「なぜ記事を書くのか」という問い
の答えに窮するわけですが、読んでいた私自身も「そもそも仕事
とは」という問いを読了後しばらく考えました。

きっとそう考えさせられるのは、日本のサラリーマン社会とは
かけ離れた、仏教に敬虔な「ネパール」という国が舞台だから
なのでしょうね。廃品回収や土産物を売ってその日を凌ぐ子供達
が生きる首都カトマンズ。お坊さんが尊ばれ、そんな子供たち
でも僧侶に喜捨を厭わないカトマンズ。
作者の細かな取材と描写が、私たちを日本でない異国に引き込み、
日常使わない種類の思考回路のスイッチを起動させます。

私は二子玉川の河畔で一気に読みました。皆さんも、静かな場所
で、落ち着ける場所で読みふけってみてください。そしてたまに
は徹底的に考えてみるのも良くないでしょうか?
「なぜ私は(私の)仕事をするのか」。


タイトルの「パレード」の意味も、読んで確かめて見てください。

王とサーカス [ 米澤穂信 ]

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