2024.6.4一日一季語 晒布(さらし) 【夏―生活―三夏】
買ひ足して何するでなき晒布かな 淵上千津
裃の素材は、「麻」が正式と決められていた。江戸時代には、その裃用の高級麻織物の産地は、奈良。特に、「奈良晒(ならざらし)」は、幕府御用品として、その名声をほしいままにしていた。
茶道の大家、千利休が、かつて、「茶巾(ちゃきん)は、白くて新しいものがよい」と語ったとされ、純白で光沢のある奈良晒は、利休好みの茶巾として、人気を誇った。そんな奈良晒布、奈良の土産に買ってきたが、さて現代では何に使うのでしょう。
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【傍題季語】
晒(さらし) 晒川(さらしがは) さらし布(さらしぬの) 奈良晒(ならさらし) 晒売(さらしうり)
【季語の説明】
さらして白くした織物。古くは、主として麻布をいう。さらし。
麻の生平(きびら)を晒して純白にしたもので、主に武士の裃(かみしも。江戸時代の武士の礼服)や僧侶の法衣として用いられた。また、千利休がかつて「茶巾は白くて新しいものがよい」と語ったことから、茶巾としての需要もあったという。
【例句】
[初出の実例]「常盤曝布」(出典:続日本紀‐天平八年(736)五月辛卯)
「さらし布霞の足しに聳へけり」 小林一茶
(出典:俳諧・おらが春(1819))
川風に水打ち流すさらしかな 太祇
みどり子の墨かい付けしさらしかな 蓼太
晒引く人涼しさを言ひ合へり 飯田蛇笏
門出の声を上たり晒うり 岩田涼菟
【奈良晒由来】
その質の高さ、白の美しさから「麻の最上」と評された織物が奈良にあります。
江戸時代に幕府御用品として栄華を極めた、高級麻織物「奈良晒 (ならざらし) 」。その黄金期さなかの1716年に、奈良晒の商いで創業したのが、現在全国に50店舗以上を展開する中川政七商店
「奈良晒」の発展期に寄与した人物
清須美道清(きよすみどうせい)とは、16世紀後半の奈良において晒技術の改良に成功した清須美源四郎の孫で、奈良晒を商っていた江戸幕府の将軍御用達商人。水量豊かな吉城川のそば、かつての晒場であった「依水園」に前園を建てた。奈良晒の生産、流通に多大な影響を与えた人物である。
【今日は何の日】
虫の日
「カブトムシ自然王国」を宣言している福島県常葉町(現 田村市)の常葉町振興公社(現 田村市常葉振興公社)が制定。
土地改良制度記念日
1949年のこの日、「土地改良法」が制定された。
土地改良とは、農地の生産力を高める為に、他所から性質の違う土を運んでくる「客土」や、区画整理・施設整備等を行うことである。
ローメンの日
長野県伊那市の伊那商工会議所が制定。
六(む)四(し)で「蒸し」の語呂合せ。
ローメンとは、羊の肉と蒸した固めの中華麺を独特のスープで煮込んだもので、長野県伊那市の名物となっている。
蒸しパンの日
札幌市の日糧製パンが制定。
六(む)四(し)で「蒸し」の語呂合せ。
蒸し料理の日
ミツカンが制定。
六(む)四(し)で「蒸し」の語呂合せ。
(旧)虫歯予防デー
1928年から1938年まで日本歯科医師会が実施していた記念日。
六(む)四(し)で「むし」の語呂合せ。
現在は4日~10日の「歯と口の健康週間」になっている。
以下の図書、ホームページを参考、引用しています。
(合本俳句歳時記 第四版 角川学芸出版)
富山いづみ <admin@nnh.to>
(カラー図説 日本大歳時記 講談社)
(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)
( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )
(ウイキペディア)
(575筆まか勢)
(俳句のサロン)
(一般社団法人日本記念日協会)