2024.3.3一日一季語 菱餅(ひしもち) 【春―生活―仲春】
菱餅のわけても濃ゆき緑かな 下村梅子
三色の菱餅。緑色は、中国の風習のまま、母子草で草餅を作る風習が残っている地方もある。多くの菱餅は蓬を使う。蓬は香りが良い。香りの強いものには邪気を払う力があるとされていたためという。
一段目のピンク(赤)は「桃の花」を、二段目の白は「雪や残雪」を、三段目となる緑は「新緑や新芽」を表現している。この句では、この緑に思いをこめているようだ。
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【傍題季語】
雛の餅(ひなのもち) 菱形餅(ひしがたもち)
【季語の説明】
菱餅は、ひな祭りに飾り祀られる雛人形へのお供え物。本来、雛人形は女の子の厄災を身代わりとして引き受けてもらうために飾るもの。雛人形に対する畏敬の思いを込めた感謝の気持ちの表れが、菱餅を飾ることにつながった。
菱餅は、赤(桃色)・白・緑の三色。これは春の情景をあらわしている。
【例句】
菱餅や己れ憫む棚飾り 石塚友二
菱餅の反りなだめつつ祀るかな 大石悦子
菱餅の対角線に妻と我 田口一男
菱餅の角の崩るる夜の雨 小泉義重
雛の餅搗きあがるもう固くなる 辻桃子
【由来】
古代中国で「上巳節」(3月最初の巳の日に厄払いをする行事)に母子草(ははこぐさ)を入れたお餅を食べる風習があった。母子草のお餅には、母と子が健やかであるようにという願いが込められていた。それが日本に伝わった際に、母子草を用いると、母と子をついて餅にするのは縁起が悪いと嫌われたこともあり、蓬(よもぎ)を使うようになった。
菱餅が菱形になったのは、江戸時代初期。蓬餅の緑に菱の実を入れた白い餅を組み合わせた、2色だけだった。菱の実には、子孫繁栄と長寿の力があるとされており、菱餅といえば菱の実の粉で作るものだった。
明治時代に入ると、ここに山梔子(さんしし。クチナシの実のこと)を入れた赤(桃色=ピンク)が入って3色になった。
※参考文献『江戸あじわい図譜』(高橋幹夫/青蛙房)
【今日は何の日】
立子忌
高浜虚子の子で『玉藻』を主宰した俳人・星野立子の1984(昭和59)年の忌日。
上巳,桃の節句
上巳の節句は五節句の一つで、元々は3月上旬の巳の日だったが、後に3月3日に行われるようになった。旧暦では3月3日は桃の花が咲く季節であることから「桃の節句」とも言われる。
古来中国では、上巳の日に川で身を清め不浄を祓う習慣があった。これが平安時代に日本に取り入れられた。後に、紙で小さな人の形(形代)を作ってそれにけがれを移し、川や海に流して不浄を祓うようになった。この風習は、現在でも「流し雛」として残っている。
雛祭り
女の子の健やかな成長を願う伝統行事。女の子のいる家庭では、雛人形を飾り、白酒・菱餅・あられ・桃の花等を供えて祀る。
耳かきの日
ビースリーの日
ポリンキーの日
その他の記念日
耳の日
三の日
以下の図書、ホームページを参考、引用しています。
(合本俳句歳時記 第四版 角川学芸出版)
富山いづみ <admin@nnh.to>
(カラー図説 日本大歳時記 講談社)
(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)
( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )
(ウイキペディア)
(575筆まか勢)
(俳句のサロン)
(一般社団法人日本記念日協会)