2023.5.24一日一季語 枇杷(びわ《びは》) 【夏―植物―仲夏】
この町はみな出払って枇杷熟れて 寺田良治
ビワの出荷量が一番多いのは長崎県。出荷されている量の約60%位。次いで千葉県だとか。この句は、こうした枇杷の収穫される、地域の町なのでしょうか。学校やら、就職など、他県へ流出している、現代の景がみえてきます。
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【傍題季語】
枇杷の実(びわのみ《びはのみ》)
【季語の説明】
枇杷はバラ科の常緑高木。高さが10メートルくらいになり、葉は厚みがあって、20㎝くらいの大きい楕円形の形をしています。葉の裏側には産毛のような毛がある。
原産地は中国南西部で、寒さに弱いため日本では四国や九州地方に自生。『びわの実』は長崎、千葉、和歌山、鹿児島の出荷量が多い。
葉っぱの形が琵琶に似ていることが、名前の由来なのだとか。
【例句】
枇杷の実を空からとつてくれしひと 石田郷子
枇杷の種磁力隠してゐはせぬか 水内慶太
枇杷熟れて大きな看板精神科 わたなべじゅんこ
満月の光あつめて枇杷熟るる 大木あきら
枇杷啜る母の優しさ額に受け 遠藤匡子
【由来】
仏教の経典の一つ『大般涅槃経(だいはつねはんぎょう)』では、びわの木は『大薬王樹(だいやくおうじゅ)』、葉は『無憂扇』と紹介されています。
【枇杷に関する言い伝え】
~不吉な木刀~
ビワの木はとても硬い木です。そのことから、剣道の木刀にと利用されていました。昔は稽古中、面や防具を着けずに練習していた為、怪我をしたり、当たり所が悪いと亡くなってしまうこともありました。そこから木刀の材料だったビワは不吉な木と言われ、縁起が悪いと嫌われていました。ですが、今では硬い性質を活かし、「長寿杖」として縁起の良いものとされています。
~家が湿気る~
ビワは冬になっても葉が枯れることが無い、常緑樹になります。夏は生い茂った葉が日差しを遮ってくれますが、家は陰り湿った環境をもたらすこともありました。(育て方のところでもお話しましたが、ビワは放っておくとグングン成長します。)ただ、剪定などして手入れをしてあげることにより、家が湿気ってしまうこともないでしょう。
~病気をもたらす~
庭に植えておくと見ず知らずの病人までもが、ビワを求め、庭に入ってしまったようです。病人達が庭に入ることにより、その家の人に病気をうつしてしまった。そんなことからも、ビワの木は不吉なものといわれたことがあったようです。
【今日は何の日】
ゴルフ場記念日
1903年のこの日、日本初のゴルフ場「神戸ゴルフ倶楽部」がオープンした。
伊達巻の日
厚焼き卵などの寿司具を製造する千日総本社が制定。
伊達巻の名前の由来という説のある伊達政宗の忌日。
以下の図書、ホームページを参考、引用しています。
(合本俳句歳時記 第四版 角川学芸出版)
富山いづみ <admin@nnh.to>
(カラー図説 日本大歳時記 講談社)
(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)
( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )
(ウイキペディア)
(575筆まか勢)
(俳句のサロン)
(一般社団法人日本記念日協会)