2023.5.11一日一季語 桜の実(さくらのみ) 【夏―植物―仲夏】
桜の実紅経て紫吾子生る 中村草田男
桜の実の季語は、観賞用の桜の花の後に付ける実のこと。初めは青く、次第に紅くなり、最期はやや黒っぽくなって熟すと落ちる。吾子が生まれてくるまでの時期と、桜の実が熟す時期が同じであったのでしょう。
草田男の吾子の句は、
万緑の中や吾子の歯生え初むる
この句が有名。
*20235.10 浮間舟渡にて
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【傍題季語】
実桜(みざくら)
【季語の説明】
染井吉野などの、桜の花が咲いた後につく果実のこと。さくらんぼとは異なる。桜とさくらんぼは、バラ科モモ亜科サクラ亜属の植物という点は同じ。花の観賞用と果実を食用にする点が異なる。自家受粉ができないので、実を結びにくく付けても直径1cm程度、渋みや苦味、酸味も強く、食用には不向き。
【例句】
来てみれば夕の桜実となりぬ 蕪村
桜実に西行堂の白障子 沢木欣一
かつ見たる救世観世音桜の実 森 澄雄
少しづつ友も変りぬ桜の実 山田みづえ
桜の実わが八十の手を染めし 細見綾子
【由来】
染井吉野(ソメイヨシノ)はクローン木の為、ソメイヨシノ同士で受粉することはあり得ない。
ただ別品種の桜と自然交配した場合にはソメイヨシノでも実をつけていることがある。実がなっている場合、その木の周りに必ず別の品種の桜がある。
純粋なソメイヨシノの実ではなく、交雑種の実。純粋なソメイヨシノの実は存在しない。
【今日は何の日】
朔太郎忌
大正・昭和期の詩人、萩原朔太郎の1942年の忌日。
たかし忌,牡丹忌
俳人・松本たかしの1956年の忌日。
梶葉忌
小説家・梶山季之の1975年の忌日。
鵜飼開き
岐阜県長良川の鵜飼は5月11日から10月15日まで行われる。
以下の図書、ホームページを参考、引用しています。
(合本俳句歳時記 第四版 角川学芸出版)
富山いづみ <admin@nnh.to>
(カラー図説 日本大歳時記 講談社)
(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)
( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )
(ウイキペディア)
(575筆まか勢)
(俳句のサロン)
(一般社団法人日本記念日協会)