2023.2.28一日一季語 北窓開く(きたまどひらく) 【春―生活―仲春】
草や木のサインに北を開きけり 中野京子
千昌夫の「北国の春」では、
白樺青空南風 コブシ咲くあの丘 北国のああ北国の春
と歌われる辛夷。
北国で春を告げる花「辛夷(コブシ)」は、モクレン科の樹木で、金沢区内では公園・街路樹・庭木として多く植栽される。この時期、蕾(つぼみ)は日一日と膨らみを増し、春を待つ。蕾は少しの温度差に敏感で、陽の光をいち早く受け、春の暖かな日差しにより南側の部分が先に膨れ、その反動で、蕾の先端は反対側(北側)へ反り返る。このことから、蕾の先端は北を向く。(環境により異なる)。「コンパス・プラント(方向指標植物)」といい、ヤナギ類も同じ。この句では、こうした草や木に注目し、北窓開くという季語に取りあわせている。
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【傍題季語】
北開く(きたひらく)
*北窓開くと言わないと良くないとする歳時記もあるようです。
【季語の説明】
冬の間、寒気、風、防寒対策として北側の窓を閉じたり、板などで塞いだりしておく。雨戸を閉め切っておくなどの対策がある。この、冬の間じゅう閉め切っていた北側の窓を、春になって暖かくなったときに開くこと。
→ 北窓塞ぐ(冬)
【例句】
北窓を開け六甲といふ出会ひ 稲畑廣太郎
訪はれゐて北窓開くおもひかな 岡本眸
ひとりにてこの北窓を開け放つ わたなべじゅんこ
命日の妻の遺影へ北開く 伊藤白潮
朝よりの烏語に応へ北開く 羽根嘉津
【窓の向きによる日差し】
「北窓」は日差しが入らず湿気がちになるが、強い外光は入らないので日焼けを嫌う物品を置ける。「東窓」は朝日が入るので爽やかに目覚めやすく、「西窓」は夏の西日が強い。
【フェルメール】
フェルメールの絵の構図では、左側から窓の光が射し込む部屋の中にモデルを立たせている。
当時のフェルメールの自宅やアトリエの場所、建物の向きなどから考えて、この窓は北窓であることがわかっている
【北窓】
ぼたもちは、牡丹の季節、春のお彼岸に食べるものの事で、あずきの粒をその季節に咲く牡丹に見立てたものなのです。一方、おはぎは、萩の季節、秋のお彼岸に食べるものの事で、あずきの粒をその季節に咲く萩に見立てたもの
このぼた餅、冬の呼び名が、北窓、という地方があるという。
詳しくは、ぼた餅の季語を取り上げた時にします。
【北窓の特徴】
光が入り難く、暗い印象が強い住宅の北側ですが、実は北窓には安定した明るさが保てるという特徴がある。午前中や日中など、特定の時間に多くの光が差し込む東や南の方角とは異なり、北側は一日を通してムラのない明るさが得られる。北側の大窓であれば、日中、カーテン等で遮光する必要がなく、また、遮光のための窓辺の軒も必要ない。北窓は暗いというイメージがあるが、ある程度の大きさを確保した北窓は、予想以上の明るさを採り込める。
【今日は何の日】
ビスケットの日
1855年(幕末の安政2年)の今日の日付の書簡に、ビスケットの製法が書かれていたことを記念して、全国ビスケット協会が1980年(昭和55年)に制定した。この書簡は、軍用パンの製法をオランダ人から学ぶために長崎にいた水戸藩の蘭医が、同じ水戸藩の者に宛てたもの。
以下の図書、ホームページを参考、引用しています。
(合本俳句歳時記 第四版 角川学芸出版)
富山いづみ <admin@nnh.to>
(カラー図説 日本大歳時記 講談社)
(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)
( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )
(ウイキペディア)
(575筆まか勢)
(俳句のサロン)
(一般社団法人日本記念日協会)