2022.8.27一日一季語 露草(つゆくさ) 【秋―植物―初秋】
露草の色を集めし江戸の絵師 国永靖子
露草の青い花は古来より愛でられるのみでなく、染料としても用いられていたという。ただし、かなり扱いにくい染料としても知られていたようだ。なぜかと言うと、ツユクサから採れる染料は光に弱く、水に溶けてしまう性質のため、せっかく染料で染めた青が色あせてしまうからである。
「水に溶けやすい」性質が役立つ使い方として、友禅染めなどの描き染めの下絵用の染料として珍重され、今でいうところの「水彩絵の具」のような扱われ方をされていた。染め物の下絵で使用された青花紙の濃厚な青色は、鴨頭草と呼ばれていた。
そんな事を下地にした一句であろう。
⇒画像をクリックするとブログ記事が読めます。
【傍題季語】
月草(つきくさ) 蛍草(ほたるぐさ) 帽子花(ボウシバナ) 青花(アオバナ) 鴨跖草(ツキクサ)
【季語の説明】
ツユクサ科ツユクサ属の一年生植物。日本を含む東アジア原産で、畑の隅や道端で見かけることの多い雑草である。花は朝に咲き、昼にはしぼむ。他のツユクサ属の植物と同様、雄しべは6本あり、上側の3本、下側中央の1本、下側左右の2本で形態が異なる。
【例句】
つゆくさの金いちじるくまたほのか 飯田蛇笏
消えかかる音ばかり来て螢草 藤田湘子
露草の花の蝶々が指の先 小枝恵美子
露草や石碑ひとつの寺の跡 末益冬青
露草や空と海より青もらふ 森井美恵子
【万葉集】
ツユクサと日本人は、古くからなじみ深いものでした。昔からツユクサは日本人に愛されてたため、万葉集でも歌われているほどです。万葉集では、ツユクサのことを「つきくさ」と読まれています。
朝に咲いて昼を待たずに萎れてしまう性質から儚い気持ちを詠うものが多く、移ろいやすさを恋心に例えたり、恋しい人の移り気を不安に感じたり、逆に移ろいやすい恋心ではない強い気持ちを表したりと恋の歌で多く詠まれてきたようです。
【季語の語源など】
万葉集で月草(ツキクサ)と呼ばれていましたが、朝露を帯びて咲く姿や、朝に咲いて昼過ぎにはしぼんでしまう朝露のようなはかない様子から、ツユクサと呼ばれるようになったという説などがあります。またその青い色素が染料として使われていたため、色が着く草ということで「着き草」からきているのではないかという説もあるようです。
【今日は何の日】
益軒忌
儒学者・貝原益軒の1714(正徳4)年の忌日
『男はつらいよ』の日
1969年のこの日、山田洋次監督・渥美清主演の映画『男はつらいよ』シリーズの第1作が公開された。
「フーテンの寅」が最初に登場したのはテレビドラマで、この時は最終回で寅さんは死亡した。しかし、あまりの反響の大きさのため映画で復活し、以来48作にも及ぶ世界最長の長編シリーズとなった。
以下の図書、ホームページを参考、引用しています。
(合本俳句歳時記 第四版 角川学芸出版)
富山いづみ <admin@nnh.to>
(カラー図説 日本大歳時記 講談社)
(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)
( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )
(ウイキペディア)
(575筆まか勢)
(俳句のサロン)
(一般社団法人日本記念日協会)