2022.3.12一日一季語 犬ふぐり(いぬふぐり) 【春―植物―初春】
星空のひかり宿していぬふぐり 今村恵子
「星の瞳」の別名があるこの小さな花を、虚子が星のまたたきと詠まれると、もうこうした表現は手垢がついてしまったように思われる。しかし、この句のように。平易な言葉でさらりと、星空のひかり宿す、などと詠まれると、なるほど、まだこうして表現ができるのだと納得する。
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*2022.3.8 青梅市梅郷にて
【傍題季語】
瓢簞草(へうたんぐさ)、犬のふぐり(いぬのふぐり)、大犬ふぐり(おほいぬふぐり)
【季語の説明】
春一番が吹く頃、犬ふぐりは日当たりの良い土手や陽だまりで水色の可憐な花を咲かせます。春の始まりに咲く、野の花です。小さな青い瞳が覗いているように見える事から「星の瞳」という別名もあります。季語では、犬ふぐりに含みますが、今見られるのは、ほとんどが、オオイヌノフグリです。明治の初めにヨーロッパから日本に伝わってきた帰化植物です。
種の形が雄犬のフグリ(陰嚢)に似ていることから。在来種の犬ふぐりの名前があります。
【例句】
犬ふぐり星のまたゝく如くなり 高浜虚子
行き過ぎていつもの道のいぬふぐり 稲畑汀子
いぬふぐり地球の黙を解きにけり 稲畑廣太郎
祈らむと膝折れば瑠璃いぬふぐり 荒井千佐代
いぬふぐり土手に零れし金平糖 岩崎可代子
【季語の語源など】
オオイヌノフグリは日が当たるときだけ花を咲かせる一日花。花が咲いているのを見つけるには、正午ごろの日が高く昇っている時間帯がよい。
花は翌日にはしぼんでしまいますが、しぼんだ後に実ができます。熟すと種がはじけて飛び、周辺に芽吹いて増えていく。この実が犬の、陰嚢ににているのだとか。
【花言葉】
オオイヌノフグリの花言葉は「忠実」「信頼」「清らか」です。花言葉はオオイヌノフグリの学名「Veronica persica」が、「聖女ベロニカ」の綴りと同じであることが由来といわれています。
聖女ベロニカは、磔の刑にされるためにゴルゴダの丘へ向かうキリストに、スカーフを差し出した女性です。
十字架を背負うキリストの姿に心を打たれた聖女ベロニカがスカーフを差し出したところ、キリストの顔の汗を拭ったそのスカーフにキリストの顔が浮かび上がったといわれています。
この聖女ベロニカの敬虔な行動にちなみ、「忠実」「信頼」「清らか」といった花言葉が付けられたそうです。
【今日は何の日】
菜の花忌
昭和前期の詩人・伊東静雄の1953(昭和28)年の忌日。
季節の花に因み菜の花忌と呼ばれる。
3月最終日曜日に長崎県諌早市の諌早公園で追悼行事が行われる。
これとは別に、2月12日の司馬遼太郎の忌日も「菜の花忌」と呼ばれている。
以下の図書、ホームページを参考、引用しています。
(合本俳句歳時記 第四版 角川学芸出版)
富山いづみ <admin@nnh.to>
(カラー図説 日本大歳時記 講談社)
(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)
( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )
(ウイキペディア)
(575筆まか勢)
(俳句のサロン)
(一般社団法人日本記念日協会)