2021.8.4一日一季語  初鰹(はつがつお《はつがつを》 【夏―動物―初夏】

 

宙をとぶ一本釣りの初鰹      越智麥州

 

「女房を質に入れても食べたい初鰹」などという江戸時代の有名な川柳もあり、日本には古くから馴染みのある魚。一本釣り漁は1度に釣り上げる

数量が少ないため魚体も押しつぶされず、鰹が生きている内に急速冷凍が可能。「この漁法が一番鰹を美味しく食べれる。しかも環境に優しいと誇りに思っている」という漁師の言葉もあるようです。

一本釣りの勢いを感じる一句だと思います。

 

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【傍題季語】

初松魚(はつがつお《はつがつを》)

 

『十二月之内 卯月初時鳥』三代歌川豊国 画

 

【季語の説明】

日本人とのつきあいは古くて「古事記」や「万葉集」の中にも「堅魚(かたうお)」という名前で登場しています。

カツオ(鰹)には1年に2度おいしい時期があり、それぞれ「初鰹」と「戻り鰹」と呼ばれています。春から初夏にかけて鹿児島沖~北海道へと北上している鰹を「上り鰹」といい、その中でも4月上旬~6月頃にとれるものが「初鰹」と呼ばれます。北上する地域によって、旬の時期も異なります。九州南部には3月ごろ、本州中部は5月ごろ、三陸北部と北海道南部には7月~8月ごろになります。

関連季語

 → 鰹

 

【例句】

目には青葉山郭公初鰹       山口素堂

生姜利く竜馬の海の初鰹         増田富子

トロ箱を跳ねてとび出す初鰹     小林共代

初鰹わが回遊はいつ止まむ       行方克巳

初鰹空を大きくつりあげし       越智麥州

 

 

【初鰹について】

”初鰹”は育ち盛り、身は透明感のある赤身でさっぱりとした味わいです。

江戸時代では初物が素晴らしいとされる風潮がありました。

1年の初めてのものを食べると運気が上がり、幸運が訪れる。また、初物はシーズンを迎え、初めてとれることから他の食べ物にはないパワーや生命力、生気が溢れており、それを食べることで新たな生命力が宿り、寿命が75日延びると言い伝えられていたようです。

中でも、初鰹は活きがよく、よりエネルギーや生命力を感じられ、特に人気の初物でした。初鰹の場合は10倍の750日も伸びるとされていたほどです。

「かつお」は「勝魚」と言われ、勝負ごとに勝てるなどから、縁起がいいといわれたのも理由の一つです。

 

 

【鰹のたたきについて】

現在でもポピュラーな鰹タタキ。それに薬味としてにんにく、生姜、を添える食べ方。これは江戸時代から続いていたそうです。

当時は今のような冷凍技術や水揚げ地から消費地への高速輸送手段などはありませんでした。アシが早い鰹はすぐに鮮度が落ち、臭みが出てしまいます。そのため、消毒の意味を含め、表面を炙ったタタキにして薬味と一緒に食べるようになったと言われています。

 

今日は何の日

夕爾忌

詩人・俳人の木下夕爾の1965年の忌日。

 

箸の日

「箸を正しく使おう」という民俗学者の提唱で、わりばし組合が1975年に制定。

「は(8)し(4)」(箸)の語呂合せ。

東京・千代田区の日枝神社では、神前に長さ1mの大きな箸を供え、古い箸を焼いて供養する箸供養祭が行われる。

吊り橋の日

日本最長の鉄線の吊り橋「谷瀬の吊り橋」など、村内に約60か所の吊り橋のある奈良県十津川村が制定。

「は(8)し(4)」(橋)の語呂合せ。

 

ビヤホールの日

ビアホールチェーンの銀座ライオンが制定。

1899年のこの日、東京・銀座の新橋際に、現存する中では日本で最も古いビアホール「ヱビスビヤホール」(銀座ライオンの前身)が開店した。

 

橋の日

宮崎県の「橋の日実行委員会」が1986年に制定。

「は(8)し(4)」(橋)の語呂合せ。

 

 

以下の図書、ホームページを参考、引用しています。

(合本俳句歳時記  第四版  角川学芸出版)

富山いづみ <admin@nnh.to>

(カラー図説  日本大歳時記  講談社)

(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)

( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )

(ウイキペディア)

(575筆まか勢)

(俳句のサロン)

    (一般社団法人日本記念日協会)