2021.7.28一日一季語 鰻(うなぎ) 【夏―動物―三夏】
大利根の下り鰻のはしきやし 上谷昌憲
夏は、ウナギの一番とれる時で、土用のころを旬とみる事は当を得てるがうなぎの 肉がしまり、脂肪がなれてくるのは、秋の「下りウナギ」だといわれている。その下りウナギの中でも天然ウナギがまだたくさん獲れた昭和初期から現在まで一級品といわれているのが「利根川の下りウナギ」である。
そうなると、この句は、秋の句なのでしょう。
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【傍題季語】
鰻搔(うなぎかき)
【季語の説明】
大昔、ウナギは、水神の使いとして神聖視された存在でした。一般的に食べられるようになったのは江戸時代で、平賀源内(ひらがげんない)が「土用の丑(うし)の日」にウナギを食べることを推奨した話が有名です。
硬骨魚綱ウナギ目ウナギ科Anguillidaeの魚類の総称。ウナギ類は深海で産卵し、淡水域に入って成長する魚で、南北アメリカの西岸域、南アメリカ中・南部の大西洋域、アフリカ中・南部の大西洋域などを除く世界各地に分布する。
日本産ウナギの産卵場は沖縄南方の、台湾東方にあたる海域と考えられるが、天然の卵や孵化仔魚(ふかしぎょ)はまだ採集されておらず、不明な点が多い。
【例句】
下町の鰻焼く香でありしかな 稲畑廣太郎
手練の刃当てて鰻のしづかなり 藤原たかを
鰻屋の暖簾くぐればやや暗し 柴田佐知子
声で打つ手串一本鰻焼く 藤岡紫水
鰻より生れたやうな「う」の字かな 中田みなみ
【ニホンウナギの一生】
ニホンウナギは、5年から15 年間、河川や河口域で生活した後、海へ下り、日本から約2,000km離れたマリアナ諸島付近の海域で産卵。産卵場が特定されたのは、平成23年2月(研究開始から36年)であり、依然としてその生態に不明な点が多い。
【うなぎの蒲焼き】
ウナギの蒲(かば)焼きの語源についてはいろいろな説があるが、斎藤彦麿(ひこまろ)(1768―1854)著の『傍廂(かたびさし)』(江戸後期)によると、ウナギを裂かずに口から串(くし)を刺して焼いた形が蒲(がま)の穂に似ているのでこの名がついたとある。ウナギは蒲焼きが最高の調理法である。蒲焼きの始まりは、元禄(げんろく)(1688~1704)初年とみられている。蒲焼きは、つくる過程で、たれをつけて焼くとき発生する煙の一部がウナギについて一種の味覚を加える。この煙の味はウナギ料理には必要なもので、北欧のウナギ料理でも原則として煙を利用する方法をとっているので、料理名にフューメfumé(いぶす)の文字がついているものが多い。うなぎ丼(どんぶり)の創案者は江戸後期の事業家大久保今介(いますけ)である。またこれを初めて売り出したのは、日本橋葺屋(ふきや)町の大野屋という蒲焼き屋であるといわれているが、嘉永(かえい)年間(1848~54)版の『江戸買物案内』には、うなぎ丼の元祖として出ている。また土用丑(うし)の日にウナギを食べる風習の元祖は、春木屋善兵衛という蒲焼き屋であるということも明記してある。
【養殖】
日本では1878年(明治11)に始まり、淡水魚の集約的養殖のうちもっとも優れた技術の一つに発展した。従来は静岡県、愛知県、三重県の東海地方で主として行われ、国内生産の90%以上を占めていたが、1965年(昭和40)ごろから温暖で利水条件に恵まれた四国、九州で急速に普及した。
【うなぎ蒲焼き】
うなぎ白焼きに蒲焼き用のタレを付けて、更に焼き上げたものがうなぎ蒲焼になります。
蒲焼き用のタレについては、昔から営業しているうなぎ屋さんなら、その店独自のタレを注ぎたし注ぎたしで使用しているのが殆んどです。
店によってタレの味が違うので、色々な店でうなぎとタレのハーモニーを楽しんでみるのもいいですね。
蒲焼きの場合は、「うな重」「うな丼」「ひつまぶし 」等にして頂きます
【うなぎ白焼き】
その名の通り、タレをつけないで、素焼き(白焼き)の状態のうなぎの事を言います。
タレでごまかしが効かない為、うなぎの素材そのもので勝負します。また、うなぎの産地や養殖屋さんによって味も違ってきます。それは使っている水や餌、養殖方法によって味に違いが出てくるからです。
蒲焼きでも味の違いは分かるのですが、白焼きで食べた方がより違いが分かります。
【今日は何の日】
乱歩忌
日本の推理小説の生みの親、江戸川乱歩の1965年の忌日。
土用丑の日
土用の期間のうちで十二支が丑の日。夏の土用の丑の日を言うことが多い。この日にうなぎを食べて夏バテを防ぐ習慣は、江戸時代に平賀源内が発案したとも言われる。
以下の図書、ホームページを参考、引用しています。
(小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(合本俳句歳時記 第四版 角川学芸出版)
富山いづみ <admin@nnh.to>
(カラー図説 日本大歳時記 講談社)
(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)
( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )
(ウイキペディア)
(575筆まか勢)
(俳句のサロン)
(一般社団法人日本記念日協会)