2021.4.19  一日一季語 青梅(あおうめ《あをうめ》)  【春―植物―晩春】

 

梅の実の競ひ合ひたる青さかな       松嶋一洋

 

狭庭の梅も、実を付け始めました。

梅で有名な和歌山県では、青い梅の収穫が6月上旬頃から、そして黄色い梅が6月中旬から下旬にかけて、ということが多いようです。一方、北関東になる群馬県の農家では6月中旬から梅の収穫が始まるとのこと。今年は暖かいので梅の収穫も早まるかもしれません。

 

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【傍題季語】

梅の実(うめのみ) 実梅(みうめ) 実梅もぐ(みうめもぐ)

 

【季語の説明】

ウメはバラ科サクラ属の木になる実で、熟しても甘くならず強い酸味が特徴の果実です。主に梅酒や梅干しの材料などにされる事が多く、古くから親しまれてきた果物です。

樹上で完熟して、自然落下する梅の実を完熟梅とよんでいます。

 

五~六月に梅の実は急速に育つ。硬くて青い実を青梅と呼び、梅雨時に黄色く熟した実を実梅と呼ぶ。

 

 

 

【例句】

青梅の葉のそよそよと父とゐる       山尾玉藻

青梅の空気きれいにするちから       津田このみ

しぶくほど身に滲む青さ実梅捥ぐ     白井剛夫

さみどりの球体無尽実梅落つ     林翔

竿で枝一打ち梅の実を落す        宮崎紀代子

 

【梅雨入り】

「梅雨入り」。

梅たちが待ち望んでいた「雨の季節」。

梅の樹たちは、大喜び「恵みの雨」を全身で受け止めて、梅の実たちは、ひと雨ごとに大きくなります。

 

「梅雨」の語源

    「梅の実が熟す頃に降る雨」という意味で、

    中国の長江流域では「梅雨(ばいう)」と呼んでいたという説。

    「黴(カビ)が生えやすい時期の雨」という意味で、

    「黴雨(ばいう)」と呼んでいたが、カビでは語感が良くないので

    同じ読みで季節に合った「梅」の字を使い「梅雨」になったという説。

 

日本で「梅雨(つゆ)」と呼ぶようになった由来

    「露(つゆ)」から連想した。

    梅の実が熟す時期だから「つはる」から連想した。

    梅の実が熟し潰れる時期だから「潰ゆ(つゆ)」と関連つけた。

    カビのせいで物がそこなわれる「費ゆ(つひゆ)」から連想した。

 

 

【季語の語源など】

中国が原産とされ、日本には平安時代に既に入ってきていたとされています。梅干しが重宝されるようになったのは鎌倉時代あたりからで、戦国武将にとっては今のような「おかず」ではなく、貴重な薬とされていたようです。

未熟な梅の種には身体に有害な成分が含まれている為、生のまま食べる事は出来ず、加熱するかアルコールや塩漬けにする事で食べられるようになります。

 

 

【青梅―おうめ】

青梅の地名の由来は平将門が青梅市の天ヶ瀬(あまがせ)にある金剛寺を訪れた際に、馬の鞍に使用していた梅の枝を刺して願掛けした「将門誓いの梅」

「願いがかなうなら咲き誇れ、叶わないなら枯れよ」と念じたところ、梅の枝が根付いたという逸話からくる。この誓いの梅の木の実は秋になっても青いまま枝に残り、落ちることがなかったため、この地を青梅と呼ぶようになったと伝えられている。

ピーク時には2万5千本もの梅が咲き誇っていた関東でも有数の梅の名所の吉野梅郷(よしのばいごう)があります。

 

2009年4月、青梅市で国内初となる植物病、ウメ輪紋ウイルス(プラムポックスウイルス)が見つかってから10年あまり。ウイルスを治す薬はいまだなく、吉野梅郷をはじめ、市内の梅の木はこれまでに3万6000本以上が伐採された。

2015年4月からは、同市が主体となりウメ輪紋ウイルスに対する強化対策に取り組み、感染状況に関する年3回の調査と春と秋のアブラムシ防除を続けてきた。2016年10月に一部地域で再植栽が可能となり、2018年には再植栽地域をさらに拡大。2019年度までに農地と観光梅園を合わせて累計4600本以上が植栽され、今年度は累計4800本をめざしている。

 

 

【梅の生産量】

梅の生産量を政府の統計データで見てみると、平成22年は南高梅で知られる和歌山県がダントツで、全国の80%を生産しています。次いで群馬県が8%、山梨県3%となっています。

 

 

【梅の実の色と用途など】

色による特徴

青い梅

    酸味が強い。

    風味が強い。

    カリカリしている。

    浸けるのに向いている。

    シソの色が染み込みにくい。

黄色に熟した梅

    果実が柔らかい。

    甘味がある。

    シソの色が沁みやすい。

    梅干しにすると高級感がある。

 

主な用途

青く硬い梅

    梅酒

    甘露煮

    シロップ浸け、はちみつ浸けなど「浸ける」系

中間

    梅酒

    梅シロップ

    梅みそ

    梅ジャム

黄色く熟した梅

    梅干し

    梅ジャム

 

梅の収穫時期は梅雨入りしてからとなります。また作るものによって青い梅が良いのか、熟した黄色い梅が良いのかが異なります。

 

 

今日は何の日

プリムローズ・デー

イギリスの40・42代首相ベンジャミン・ディズレーリの1881年の忌日。プリムローズ(桜草)はディズレーリの好きな花であり、ヴィクトリア女王が宮殿の庭で摘んだプリムローズをよくディズレーリに贈っていたというエピソードからこの名前がついている。

 

地図の日(最初の一歩の日)

寛政12(1800)年旧暦閏4月19日、伊能忠敬が蝦夷地の測量に出発した。

 

飼育の日

日本動物園水族館協会が2009年に制定。

四(し)一(い)九(く)で「しいく」の語呂合せ。

 

食育の日

栄養補助食品ミキプルーンなどを販売する三基商事が制定。

四(し)一(い)九(く)で「しょくいく」の語呂合せ。

これとは別に毎月19日が政府が制定した「食育の日」になっている。

 

 

以下の図書、ホームページを参考、引用しています。

(合本俳句歳時記  第四版  角川学芸出版)

富山いづみ <admin@nnh.to>

(カラー図説  日本大歳時記  講談社)

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(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)

( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )

(ウイキペディア)

(575筆まか勢)

(俳句のサロン)

    (一般社団法人日本記念日協会)