2021.4.17 一日一季語 躑躅(つつじ) 【春―植物―晩春】
午前二時廊下の奥の躑躅かな 辻村麻乃
兎に角多くを語らない(俳句は物言えぬ文学)、一つの事柄に焦点化する、二句一章の取り合わせの場合の距離感(遠近、空と地など視点が彷徨うのは良くないと岡田史乃が鷹羽狩行先生からその昔学んで句会で再三言われた)
作者自身が講師を務めている、SNSでこんなアドバイスを書いています。
この句の季語との距離感。類想の無い取り合わせ。
躑躅をどんな気持ちで眺めていたのか。詠み手に委ねているようだ。
⇒画像をクリックするとブログ記事が読めます。
*2021.4.7 東京ドーム周辺にて
【傍題季語】
山躑躅(やまつつじ) 蓮華躑躅(れんげつつじ) 霧島(きりしま) 深山霧島(みやまきりしま)大紫躑躅(おおむらつつじ)三葉躑躅(みつばつつじ)
【季語の説明】
春から夏にかけて漏斗状の花を咲かせるツツジ類の総称。日本に自生する植物で原種が40種日本でも古くから人気の花木。花びらをよく見ると上方の花びらにだけ斑点があります。これは「蜜標」または「ガイドマーク」とよばれ、昆虫に蜜腺があることを伝え、花粉を運んでもらうために誘う役目をしています。実際、蜜は花の中央でなくこの斑点のある花びらにあるそうです。蜜を吸った思い出がある方も多いでしょう。ただし、種によっては、毒があるので注意が必要なようです。
躑躅の仲間には、ツツジに花が似ているといわれているサツキやシャクナゲ、アザレアなどがあります。
桜の終わる頃咲くのが「つつじ」、5月も下旬になって暑くなった頃に咲くのが「さつき」です。そのため俳句の季語は、「つつじ」は春、「さつき」は夏です。
【例句】
母病むや闇に深紅の躑躅燃え 相馬遷子
根子岳の胸元見たり花躑躅 永田満徳
ひらきつつ澄みそめてきし白つつじ 藤村真理
つつじ咲く丘登り来る風のあり 立花カズ子
母校へは躑躅の蜜を吸ふために 弓
【季語の語源など】
難読漢字のクイズによく出題されるという「躑躅」
植物ならば、くさかんむりの字が相応しいと思うのだが、足へんである。
「躑躅(音読みではテキチャク)」
『大漢和辞典』によると
「羊躑躅(ヨウテキチャク。ツツジの一種)」に関連して、5~6世紀ごろの学者・陶弘景(とうこうけい)の意見として、羊がその葉を食べると、「躑躅」して死ぬ。それで「羊躑躅」というとある。
食べれば死ぬので、羊たちはこの葉を見ると「躑躅」して散り散りに分かれてしまう。だから「羊躑躅」という名を付けたという説である。
見る人が足を止めてしまうほど美しい。このような説もあるようです。
花が連なって咲く、続き咲き(つづきざき)からの転訛という説も、
【万葉集など】
万葉集(759年頃)にもツツジの歌が載っています。
「つつじ花 にほへ娘子 桜花 栄え娘子」 柿本人麻呂
薩摩(鹿児島県)のキリシマツツジが江戸に伝わり、植木屋三代目伊藤伊兵衛が育種・栽培し、ツツジの品種173、サツキの品種162種を載せたツツジの専門書(錦繍枕)も発行しました。江戸時代中期(1680年代)に元禄のツツジブームが起こりました。各地に自生し、花色は真紅の他に白・淡紅などさまざま。
【つつじまつり】
躑躅の名所である根津神社のある文京区では、毎年4月~5月にかけて文京つつじまつりが開催され、約3,000株のツツジ(躑躅)が咲き誇ります。その他にも、花期になるとたくさんのつつじまつりが開催されます。
【今日は何の日】
家康忌
徳川家康の元和元(1616)年の忌日。
なすび記念日
冬春なす主産県協議会が制定。
四(よ)一(い)七(な)で「よいなす」の語呂合せと、ナスが好物であった徳川家
康の命日であることから。
2004年には毎月17日を「国産なす消費拡大の日」とした。
職安記念日(ハローワークの日)
1947年のこの日、それまでの職業紹介所が「公共職業安定所」と名前を改めた。現在は「ハローワーク」という愛称で呼ばれている。
公共職業安定所は、職業紹介・職業指導・失業保険等、「職業安定法」の目的を達するための事業を無料で行う施設である。
恐竜の日
1923年のこの日、アメリカの動物学者ローイ・チャップマン・アンドルーズがゴビ砂漠へ向けて北京を出発した。その後5年間に及ぶ旅行中に、恐竜の卵の化石を世界で初めて発見し、その後の本格的な恐竜研究の始りになった。
以下の図書、ホームページを参考、引用しています。
(合本俳句歳時記 第四版 角川学芸出版)
富山いづみ <admin@nnh.to>
(カラー図説 日本大歳時記 講談社)
(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)
( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )
(ウイキペディア)
(575筆まか勢)
(俳句のサロン)
(一般社団法人日本記念日協会)