2021.4.12 一日一季語 若緑(わかみどり) 【春―植物―晩春】
一湾を見下ろす城址若緑 榊山智惠
お城には、松の木が似合います。これは、美観、風致というより、栄養食、非常食として利用されていたことによるという説があります。
松の荒い皮を取り除き、白い部分の生皮を臼でついて水に浸すなど、手前をかけて粉を取り出すのだそうです。麦の粉などに混ぜて餅、だんごや香煎もつくって食べることができたようです。飢饉対策の知恵なのだとか。江戸時代の農民を苦しめた近世の3大飢饉といわれる享保17年(1732)、天明2年(1782)、天保4年(1833)のときには、街道の松並木が丸裸にされたということです。戦国時代からの知恵だと言うことです。
「講談社+α文庫」所収引用
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*2021.4.9 狭庭の松
【傍題季語】
若松(わかまつ) 緑立つ(みどりたつ) 初緑(はつみどり) 松の芯(まつのしん) 松の緑(まつのみどり) 緑摘む(みどりつむ)
【季語の説明】
松の新芽のことを「みどり(ミドリ)」と言います。4月から5月にかけては、この松)のみどりが勢い良く伸びる季節になります。新芽は1本から多いところで6〜7本出てきます。天を指すように伸びた姿は晴れ晴れとして、この時季にとても清々しく映ります。
松をバランスよく、整った樹形に育てるためには、この松の新芽を摘みます。ちょうど今頃(4月)から5月末頃にかけてが、松の「みどり摘み」という剪定の季節です。
松の芯が伸びるとやがて花が咲く。「松の花」である。花の後で蕊が長くのび、若々しい新緑の芽を吹き出す。生命の勢いを感じさせられる。そんな松の様子を、俳句では「若緑」と詠んでいます。
松の新芽は生長が早く、生命力旺盛な感じがします。この時期の松の若葉のことも、若緑をよんでいます。
【例句】
お台場の砲台跡や若緑 鎌居千代
緑立つ阿修羅像をば見に行く日 坪内稔典
植木屋のまづ褒めにけり松の芯 戸栗末廣
船で着く名園松の緑摘む 大西八洲雄
伸びすぎてしまえば曲がる松の芯 夏井いつき
【季語の語源など】
松の木は、冬でも葉は枯れずに緑を絶やさない常緑樹であるがゆえに、それに永続性を感じ、長寿を祝うシンボルとされてきた。
和歌では、「待つ」という動詞と掛詞として使われてきた。
「語源は、動詞の「待つ」に由来すると言われている。
長寿の象徴である常緑樹の松には神が宿るともされたが、その神がその木に
宿るのを「待つ」ということで、「まつ=松」になったとされている。
また、それには神が宿るので、「神を祭る」という意味から「松=まつ」になったとも言われる。
「松」という漢字の字源
木+音符公(つつぬけ)から成り立っている字であり、「公」は、おおっぴらに開いている様子を意味していて、針葉樹であるその葉が細く向こうが透ける様を形容している。
【今日は何の日】
パンの記念日
パン食普及協議会が1983年3月に制定。
天保13(1842)年旧暦4月12日、伊豆韮山代官の江川太郎左衛門英龍が軍用携帯食糧として乾パンを作った。これが日本で初めて焼かれたパンと言われている。
また、毎月12日を「パンの日」としている。
世界宇宙飛行の日
1961年のこの日、世界初の有人宇宙衛星船・ソ連のボストーク1号が打ち上げに成功した。
搭乗したガガーリン少佐は、宇宙から地球を見た時の感想を「地球は青かった」と表現し、流行語になった。
以下の図書、ホームページを参考、引用しています。
(合本俳句歳時記 第四版 角川学芸出版)
富山いづみ <admin@nnh.to>
(カラー図説 日本大歳時記 講談社)
(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)
( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )
(ウイキペディア)
(575筆まか勢)
(俳句のサロン)
(一般社団法人日本記念日協会)