2021.4.6 一日一季語 雛罌粟(ひなげし) 【夏―植物―初夏】
咲くまではうなだるばかり罌粟の花 箕輪カオル
雛罌粟の、毛の生えた蕾は、初めは下を向いているのが、次第に上を向き、花を咲かせるときには、真上を向いています。この花の特徴そのものを一句にした句。うなだる。この擬人化の表現が、この句を昇華させているのだと思います。
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*2015年 昭和記念公園にて
【傍題季語】
虞美人草(ぐびじんそう《ぐびじんさう》)、芥子の花(けしのはな)、花罌粟(はなげし)、薊罌粟(あざみげし)、白罌(しろげし)
【季語の説明】
ヒナゲシは、漢字で「雛罌粟」「雛芥子」と書きます。雛とは、小さくかわいらしいという意味です。ケシ科の植物の中では花が小さいことから、名付けられたとされています。
薄い和紙でつくったようなしわのある花弁が、風に揺られる姿に風情があります。毛の生えた蕾は、初めは下を向いており、咲くときに上を向き、蕾の先端が2つに割れて花が咲きます。基本の花弁数は4枚ですが、八重咲きもあります。
ケシ類は、麻薬成分の含まれない安全なケシでも乳液が出るものが多く、触るとかぶれるため乳液には触らないようにしましょう
【例句】
遠き日を透かして見たる芥子の花 鈴木良戈
乾きたる土に足跡芥子の花 藤井美晴
雛罌粟の産毛獣のやうにかな 鎌田光恵
あの時も虞美人草の午後だった 坪内稔典
群れてよし一輪でよし虞美人草 松本三千夫
【季語の語源など】
虞美人草という別名は、中国の故事に由来します。三国志の時代、楚国の武将 項羽には、虞姫(ぐひ)とい美しい妻がいました。敵対している漢の国が楚国に攻め込んできた際、虞姫は項羽の足手まといにならないよう、自害してしまいます。
その虞姫の亡骸のそばに、ヒナゲシの花が咲いていたことから、虞美人草と言われるようになりました。
【雛罌粟の仲間】
ポピーはケシ科の植物のことです。英語でpoppyと言うことから日本でもこの呼び方が普及しています。また、ヒナゲシは、ケシ科の植物の1品種であるシャーレーポピーのことです。
ただ、ケシには様々な品種があり、その中には麻薬が採れる品種もあることから、安全か危険かで以下のように区別されることもあります。
雛罌粟
別名:虞美人草、コクリコ、シャーレーポピー、アマポーラ。
原産:ヨーロッパ
花の色:赤、ピンク、白。
茎が立ってその脇芽から花茎が立ち、花が咲きます。枝も沢山出て、花数が多くなります。
コクリコはフランス語、シャーレーポピーは英語の言い方です。ポピーといえばシャーレーポピーを指すことが多いです。
アイスランドポピー
別名:シベリアヒナゲシ
原産:シベリアからアジア大陸北部
花の色:オレンジ色、黄色、ピンク、白。
茎に葉が無く、枝も無く、地際から蕾が伸びて花茎が立ち、花が咲きます。そのためスッキリとした姿で、切り花に使われることも多いです。
ナガミヒナゲシ
ケシ坊主が細長いのが特徴で、そこから「長実雛芥子(ナガミヒナゲシ)」と名付けられました。
道端のアスファルトの隙間等にも逞しく生えているポピーの多くは、このナガミヒナゲシであるケースが多いです。
茎を切ると黄色か乳白色の乳液が出てきて、その周辺の植物の生育を阻害する成分が含まれています。その強さは特定外来生物に匹敵すると言われていますが、今のところ特定外来生物には指定されておらず園芸品種になっています。
【今日は何の日】
しろの日
兵庫県姫路市が1991年に、日本三大名城の一つ姫路城を中心とした市の復興の為に制定。
四(し)六(ろ)で「しろ」の語呂合せ。
姫路城は、1333(元弘3)年に赤松則村によって築かれた。西国統治の重要拠点として羽柴秀吉・池田輝政・本多忠政が城を拡張し、現在の形になったのは1619年であった。五層六階の大天守と三つの小天守とがあり、その形から白鷺城とも呼ばれる。1912年に国宝に、1993年に世界文化遺産に指定された。
新聞をヨム日
日本新聞協会販売委員会が2003年に制定。
四(よ)六(む)で「読む」の語呂合せ。
4月は転勤や入学等で住いを移す人が多いことから、「これを機会に新聞を読み始めませんか」というキャンペーンが行われる。
以下の図書、ホームページを参考、引用しています。
(合本俳句歳時記 第四版 角川学芸出版)
富山いづみ <admin@nnh.to>
(カラー図説 日本大歳時記 講談社)
(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)
( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )
(ウイキペディア)
(575筆まか勢)
(俳句のサロン)
(一般社団法人日本記念日協会)