2021.3.23 一日一季語 海棠(かいどう《かいだう》) 【春―植物―仲春】
海棠の花より花へ雨の鵯 阿波野青畝
早春に咲く樹木に君臨し、花の蜜を求めて飛来するメジロなどを追い払う姿をよく見かける鵯。果実や花の蜜を食べる。繁殖期には果実に加え昆虫類も多く捕食する雑食の鵯。今朝は、朝から雨ですが、句のように我が家の連翹、海棠の花を雨の中啄んでいました。
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*2021.3.21 東京都羽村市 自宅庭にて
【傍題季語】
花海棠(はなかいどう《はなかいだう》) 睡花(ねむりばな) ねむれる花(ねむれるはな)
【季語の説明】
落葉低木でバラ科の植物で庭園木や盆栽として高い人気があります。中国原産で江戸時代に渡来したのは実海棠ということです。
現在では花の美しい花海棠と混同され、俳句でも花海棠を海棠として詠むことが多いということです。
花海棠には、八重咲種や実を付けるものなど、いくつかの種類があります。4月の末から5月にかけて、蕾(ツボミ)の頃は紅色で、開花の時は少しうつむき加減の薄いピンク色の花を咲かせることから、「垂糸海棠(スイシカイドウ)」という名でも呼ばれています。
中国唐の時代、九代皇帝「玄宗」が寵姫(ちょうき)であった「楊貴妃」の眠る姿に“海棠の睡り未だ足らず”と海棠の薄紅色の花の美しさになぞらえたという事から、牡丹の花と並んで美人の形容詞ともなり花言葉の謂(いわ)れとされています。
【例句】
海棠や陪審廷の廊の庭 鈴木花蓑
尼寺に海棠紅き浮世かな 野村喜舟
堂前や海棠紅を吐きつづけ 石田勝彦
海棠をめぐる天平絵巻かな 平井照敏
海棠のうつろふ花に開宗会 松本たかし
【季語の語源など】
四~五月に薄紅色の花をつけた花柄が長くうつむきかげんになるのをしばしば美女にたとえる。現在では花の美しい花海棠と混同され、俳句でも花海棠を海棠として詠むことが多いようです。
中国原産の海棠(カイドウ)の「棠」は梨のことを指します。林檎(リンゴ)の仲間なのですが、意味として海の彼方から来た梨ということです。漢字名は原産国の中国名をそのまま和名として付けられているものです。尚、中国では海棠というと花を大きく咲かせる「本海棠(ホンカイドウ)の種類を指します。
日本国内には江戸時代に入ってきたと推定されています。江戸時代では実をつける「実海棠(ミカイドウ)」のことを海棠と呼んでいたと言われています。その後、海棠の植物として丈夫で育て方も容易で、可憐な花の美しさが人気となって、日本国内でも北海道から九州に至る広い範囲で庭木などとして植栽されています。
【今日は何の日】
世界気象デー(World Meteorological Day)
世界気象機関(WMO)が、発足10周年を記念して1960(昭和35)年に制定。国際デーの一つ。
1950(昭和25)年のこの日、世界気象機関条約が発効し、WMOが発足した。
以下の図書、ホームページを参考、引用しています。
(合本俳句歳時記 第四版 角川学芸出版)
富山いづみ <admin@nnh.to>
(カラー図説 日本大歳時記 講談社)
(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)
( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )
(ウイキペディア)
(575筆まか勢)
(俳句のサロン)
(一般社団法人日本記念日協会)