2021.3.18  一日一季語  彼岸(ひがん) 【春―行事―仲春】

 

 

すれ違ふ人と会釈を彼岸墓地       亀卦川菊枝

 

年に2回、春と秋にやってくる「お彼岸」。

「彼岸」というのは「あの世」を意味する仏教用語で、「悟りの境地」のこと。春分の日と秋分の日は太陽がちょうど真西に沈む日であることから、此岸と彼岸がもっとも近づく日であるとされています。浄土宗ではお彼岸の時期に「彼岸会」という法要が開かれており、お彼岸の時期に祖霊のご供養を行うことで現世に生きる人も極楽に行くことができるという考えがあります。このように、死者の世界と現世の距離が近くなる日なのだという。先祖に感謝し、その気持ちと向き合う。すれ違う人にも礼を尽くす。

日本人らしさなのかとも思います。

 

⇒画像をクリックするとブログ記事が読めます。

*2020年  静岡県河津町にある「涅槃堂(ねはんどう)」

 

【傍題季語】

お彼岸(おひがん) 入彼岸(いりひがん) 彼岸過(ひがんすぎ)

 

【季語の説明】

春分の日を中日とする前後三日の七日間。季語としては。単に彼岸といえば春の彼岸をさすようです。

春と秋のお彼岸は、日本独特の行事で、寺では彼岸会を修し、先祖の墓参りをします。

「暑さ寒さも彼岸まで」ともいわれるように、一年の中でとても過ごしやすい時期で、多くの俳句が詠まれています。

関連季語

 → 春分

 → 彼岸会

→ 秋彼岸(秋)

*2020年 板橋区にて

 

【例句】

家々に雨ふりしぶく彼岸道      飯田龍太

亡き祖母の支へはいまも入り彼岸     伊吹之博

彼岸寒息かけて拭く床柱             笹村政子

鉄を切る匂ひの中の彼岸かな        山田六甲

告ぐること余りに多き彼岸かな       大橋晄

 

 

【2021年のお彼岸】

2021年(令和3年)春のお彼岸期間はいつからいつまでか。

春のお彼岸は「春分の日」を中日として前後3日間、計7日間が「お彼岸」の期間となります。

今年(2021年)の春分の日は3月20日(土・祝)ですから、【2021年(令和3年)春のお彼岸は3月17日(水)から3月23日(火)までの7日間】という日程になります。

 

3月17日(水) 彼岸入り

3月20日(土・祝) 中日(春分の日)

3月23日(火) 彼岸明け

 

 

【お彼岸とお墓参りについて】

「お彼岸」

お彼岸のお墓参りは日本だけの風習なのだそうですが、なぜそうなったのか。

もともとサンスクリット語の「パーラミター」が語源であると言われています。

「パーラミター」は仏教用語ですが、これを音写したのが「波羅蜜多(はらみった、はらみた)」で、仏教にとって重要な概念です。

サンスクリット語で「パーラミター」とは「完成する、成就する」という意味ですが、仏教の概念として用いられる場合、欲や煩悩、苦しみに満ちた輪廻の世界から解脱し、迷いのない悟りの境地に達することを表すのだそうです。

この悟りの境地「パーラミター」を、川を挟んだ向こう岸、すなわち「彼岸」に例えたのが私達日本人の伝統行事「お彼岸」になります。

反対に、私達の生きる煩悩の世界はこちら側の岸「此岸(しがん)」と呼ばれています。日本古来の自然観や先祖崇拝の影響から、亡くなった家族やご先祖は迷いのない「彼岸」へと渡り、時々私達の生きる此岸に姿を現すと考えられるようになりました。

春分の日と秋分の日には、太陽が真東から上り真西へと沈みますが、それによって彼岸と此岸とが通じやすくなり、これらの時期に先祖供養をすることでご先祖の冥福を祈るとともに、自らもいつか迷いのない此岸に到達できるよう願ったのです。ひと口に「お彼岸」と言いますが、彼岸と此岸(あの世とこの世、すなわちご先祖と私たち)とが交流する行事であり、そのための場所が「お墓」なんです。

お彼岸にお墓参りをする理由はこのような意味があるようです。

 

 

今日は何の日

人丸忌,人麿忌

歌人・柿本人麻呂の忌日。

月遅れの4月18日に明石の柿本神社で例祭が行われる。

 

小町忌

平安時代の歌人・小野小町の忌日。生没年は不詳。

『古今集』等の作者で、絶世の美女との伝説がある。

 

 

以下の図書、ホームページを参考、引用しています。

(合本俳句歳時記  第四版  角川学芸出版)

富山いづみ <admin@nnh.to>

(カラー図説  日本大歳時記  講談社)

(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)

( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )

(ウイキペディア)

(575筆まか勢)

(俳句のサロン)

    (一般社団法人日本記念日協会)