2020.11.12   一日一季語 枇杷の花(びわのはな《びはのはな》)  【冬―植物―初冬】

 

 

裏門の気づかぬままの枇杷の花       片山茂子

 

枇杷の木は、比較的高木のため、この花が咲いているのを見る機会は、一般的に少ないのかもしれません。しかし、その香りは、人のみならず、樹木の子孫繁栄に欠かせない、鳥や、昆虫を誘うのかもしれません。

 

【傍題季語】

花枇杷(はなびわ《はなびは》)、枇杷咲く(びわさく⦅びはさく⦆)

 

【季語の説明】

枇杷はバラ科の常緑高木で、11月から咲き始め、大寒を耐え、立春の頃まで咲いている。花房はどっしりとした円錐花序。70~100個の花をつける。一つひとつの花径は1㎝。クリーム色を帯びた白い花弁。花はビロード状の、茶色の軟毛が密生する絨毛にくるまれている。

目立たない花だが香りがよいのは、昆虫や鳥の活動が少ない冬に、匂いで誘うためなのかもしれません。

昔から、枇杷の木のある家は、病人が出ると嫌われる。常緑の大きな葉をたくさんつけ、主軸よりも側枝の方が伸長するので、こんもりとした樹形になる。そのため、家の中の日当たりが悪くなる。

 → 枇杷(夏)

 

 

【例句】

職業の分らぬ家や枇杷の花        正岡子規 

枇杷咲いて長き留守なる館かな       松本たかし 

蜂のみの知る香放てり枇杷の花    右城暮石

訳もなく空母出てゆく枇杷の花       五島高資 

枇杷の花根元に眠る犬のをり        先崎きくよ

 

【枇杷の伝来】

江戸時代には、「枇杷びわ葉よう湯とう売り」という商売があった。大きな黒い箱を二つ、天秤棒でかついだ。片方に釜と薬罐を入れ、枇杷の葉に肉桂や甘草などをまぜ、道端で煎じて飲ませた。暑気あたりの薬だったようです。今風に言えば、熱中症の薬になるのでしょうね。

また、枇杷の葉は、浴料として皮膚を滑らかにし、アセモ、湿疹にも効果があるそうです。

枇杷は、中国南部と日本の暖帯に自生しています。とくに石灰岩地に多いそうです。江戸の天保年間に、中国から持ち帰った種子を、長崎県茂木に植えたところ、品質の良い果実を得た。それが「茂木枇杷」と呼ばれている物になるようです。さらに、明治になって、田中男爵が、長崎から導入した系統が、現在の千葉県の優良品種「田中枇杷」ということです。過去の統計によると、「長崎県の茂木」と、「千葉県の田中」の2品種で95%を占めるということです。

 

 

【季語の語源など】

枇杷は虫媒花、鳥媒花なので花には蜜が存在し、商品としての蜂蜜も販売されています。味わいはフルーティーな香りとちょっとクセのある甘みで、かなり貴重な蜂蜜なのだとか。

 

 

【琵琶湖】

天智天皇により、一時は琵琶湖西岸に大津宮が置かれたこともあるという琵琶湖。測量技術が発達し、湖の形が楽器の琵琶に似ていることがわかった江戸時代中期以降、琵琶湖という名称が定着したということです。

 

世界で20ほどしかない古代湖の一つであり、世界で13番目に古い湖と言われているそうです。

魚類57種、貝類49種の生息が確認されており、琵琶湖固有種も多いとのことです。(魚類はビワコオオナマズ、ニゴロブナ、ホンモロコ、ビワヒガイなど16種、貝類は29種)

明治から昭和の初期までは、琵琶湖の周囲に大小40数個の内湖が広がり、多くの生物を育んでいたそうですが、内湖の大半が干拓されたこともあって琵琶湖の自然は大きく変化し、固有の風致や生態系が大きく損なわれてしまったとのことです。現在、滋賀県は一部の内湖を復元することを計画しており、生態系の回復や水質浄化が各方面から期待されているようです。

 

 

今日は何の日

心平忌

詩人の草野心平の1988(昭和63)年の忌日。

 

 

以下の図書、ホームページを参考、引用しています。

(合本俳句歳時記  第四版  角川学芸出版)

富山いづみ <admin@nnh.to>

(カラー図説  日本大歳時記  講談社)

(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)

( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )

(ウイキペディア)

(575筆まか勢)

(俳句のサロン)

    (一般社団法人日本記念日協会)