2020.9.20一日一季語 白粉花(おしろいばな) 【秋―植物―仲秋】
おしろいの花やいつもの帰り道 多田ユリ子
白粉花は、丈夫で繁殖力が強いことから、広く野生化しています。香りもよく、昔から草花遊びにも利用されているということです。
いつも通る道端にも繁殖しているのでしょうね。私の撮った写真も、街道沿いの植え込みに自然繁殖していた物。日常のみえる句であり、普段から付き合いのある、花なのだと思います。
【傍題季語】
おしろいの花(おしろいのはな) 花白粉(はなおしろい) おしろい 夕化粧(ゆうげしょう《ゆふげしやう》)
【季語の説明】
熱帯アメリカ原産のオシロイバナ科の多年草の花。古くに渡来し、庭に植えられる。紅・白・黄・絞りなどの可憐な花は良い香りで、夕方から開き翌朝しぼむ。黒く硬い種子の中にある白い粉の胚乳が白粉のようなのでこの名がある。子どもたちがこれで遊んだりした。こぼれた種子は翌年芽を出し育つなど、繁殖力が旺盛である。
中国へ16世紀末頃に渡った後、江戸時代に日本へともたらされました。種から採れる白い粉が、おしろいの代用に使われていたことから、オシロイバナという和名がつきました。
【例句】
浜宿の白粉花は種こぼす 山田六甲
おしろいやそろそろ湯屋の開く時分 安西可絵
白粉花火花を散らすやうに咲き 栢森定男
おしろいの露地に忘れし三輪車 田中眞
昼よりも夕べ明るき花白粉 戸栗末廣
【白粉花について】
オシロイバナは、黒い果実(種子)を割ると、白い粉質のもの(胚乳にあたる部分)があり、それがおしろいの粉のようなので、この名がつけられています。日本には江戸時代に入り、各地で野生化しているものも多く見られます。タネをまいて容易に育てられるので、一年草扱いにされることも多いのですが、本来は多年草です。
花は夕方4時ごろから開き、翌朝まで咲いていて、天気などにもよりますが、午前中にはしぼんでしまう一日花です。でも、夏の間ほとんど途切れることなく次々と咲き続けるので長く楽しめます。夜間に観賞できるような場所に植えるとよく、さわやかな香りも漂います。白花や黄花のものは、暗がりの中でも浮き上がるように花が目立ちます。
花はろうと形で大きく開き、花径は3cmくらい、筒の部分は細長く5cmくらいあります。花弁はなく、花弁状の部分は萼片で、つけ根にある萼のような部分は苞にあたります。
品種名のないものがほとんどで、花色は赤、オレンジ、黄色、ピンク、白があります。絞り咲きや咲き分けのものでは、1株の中で花ごとに少しずつ花色が違う花が咲きます。
【福音館書店】
昼すぎ3時頃から夕方6時頃にかけて、おしろいばなの花は大変身します。日暮れに合わせてぐんぐん花びらを開き、おしべとめしべを差し伸ばしていきます。その姿に惚れ込んだ作者が、細密なタッチでおしろいばなの開花を描きあげました。種をつぶしてお化粧遊びをしたり、花のつけねにある蜜をなめたり、花を使ったなつかしい遊びもたくさん紹介しています。(かがくのとも496号)
【今日は何の日】
お手玉の日
日本のお手玉の会が制定。
バスの日
日本バス協会が1987年に制定。
空の日
1940年に「航空の日」として制定。
以下の図書、ホームページを参考、引用しています。
(合本俳句歳時記 第四版 角川学芸出版)
富山いづみ <admin@nnh.to>
(カラー図説 日本大歳時記 講談社)
(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)
( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )
(ウイキペディア)
(575筆まか勢)
(俳句のサロン)
(一般社団法人日本記念日協会)