2020.9.14一日一季語 螇蚸(ばった《ばつた》) 【秋―動物―初秋】
気配などなきところより螇蚸飛ぶ 布川直幸
螇蚸が跳ぶのをみつけ、捕まえようとすると、草の中に隠れてしまう。逆に、草むらに入ると突然螇蚸が飛び上がったりするときもあります。こんな瞬間の一句なのでしょうね。
バッタは、敵につかまらない「逃げわざ」をもっているという。
螇蚸は、音に反応するのだという。幽かな音にも反応して、強い後ろ足を使ってジャンプしたり飛んだりするそうです。
【傍題季語】
飛蝗(ばった《ばつた》) 蟿螽(はたはた) きちきち きちきちばつた
【季語の説明】
バッタ科に属する昆虫の総称。「はたはた」という異名もある。俗にキチキチ螇蚸と呼ばれる精霊螇蚸(しようりようばつた)は、跳びながらキチキチと翅を鳴らす。細長い繊細な体で、淡緑色。殿様螇蚸は翅が緑色と褐色の種があり、黒い斑点がある。イネ科の植物を食し、農作物に被害を与えることもある。
【例句】
牛の背におんぶ螇蚸の身じろがず 吉田明子
掴みたる螇蚸の腹のやはらかし 河井富美子
賑やかな集団下校児飛蝗追ふ 長尾和子
葉の先のこそと音して飛蝗かな 坂上香菜
わが家系辿れば庶民バツタ跳ぶ 村田あを衣
【飛蝗とは】
全世界にはおよそ7500種類ものバッタがおり、日本にはトノサマバッタ、オンブバッタ、ショウリョウバッタ(キチキチバッタ)、イナゴなどざっと50種類がいるそうです。
キチキチキチという音を立てて飛ぶショウリョウバッタや、それよりやや小型で、メスの上に小さなオスがしがみついているオンブバッタは今でも都会の空地に生息しています。
【飛蝗の保護色】
適度な湿り気があって草が生い茂る所にいるバッタは緑色になり、乾燥して枯れかかったような貧弱な草しかない荒れ地のバッタは褐色になるという説がある。しかし、バッタはカメレオンのように置かれた場所に合せて変色するわけではなく、もともと環境に応じて棲息する種類が異なり、それぞれが生まれ
つき周囲に合った体色をしているようである。
【ばったの異常発生】
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が発生した今年前半、このウイルスの感染拡大より人目を引く災厄がアフリカ東部で猛威を振るっていた。
食欲が旺盛なバッタは、特に穀物などの炭水化物を好む。穀物はアフリカ大陸の農民の主要な生活の糧だ。国連食糧農業機関(FAO)が1月に予測したところによると、まだ最悪の事態こそ訪れていないが、バッタの大群は6月には500倍に増える可能性があるという。
バッタの大量繁殖を未然に防ぐには、発生地域を監視して卵や幼虫の時期から防除することが有効とされる。しかし、アラビア半島ではイエメンが内戦状態にあるなど監視が行き届かず、またバッタの群れが紅海を渡った先の東アフリカでは予算不足などから防除システムが十分に機能せず、手の打ちようがないほどに繁殖が進んでしまった。バッタが大量発生した東アフリカ地域では食料安全保障と農民の生活が脅かされており、国連食糧農業機関(FAO)によると、今年東アフリカで2500万人以上が食糧危機に直面すると予測されている。
【今日は何の日】
メンズバレンタインデー
日本ボディファッション協会が1991年に制定。
十字架称賛の日
320年ごろ、ゴルゴダの丘でキリストが磔にされた十字架を聖ヘレナが発見した日とされている。
以下の図書、ホームページを参考、引用しています。
(合本俳句歳時記 第四版 角川学芸出版)
富山いづみ <admin@nnh.to>
(カラー図説 日本大歳時記 講談社)
(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)
( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )
(ウイキペディア)
(575筆まか勢)
(俳句のサロン)
(一般社団法人日本記念日協会)