2020.7.17一日一季語 登山(とざん) 【夏―生活―晩夏】
登山靴ならぶ駅舎の露天風呂 田中よしとも
*2020. 御殿場にて
駅にある露天風呂。登山を終えた方の憩いの場になっているのでしょうね。
私は、北海道で、山登りと言うほどではないけど、この句のような経験をしたことを思い出しました。
泥混じりの湯が、とても気持ちよかったです。
【傍題季語】
山登り(やまのぼり) 登山道(とざんどう《とざんだう》) 登山口(とざんぐち) 登山小屋(とざんごや) 登山宿(とざんやど) 登山杖(とざんづえ《とざんづゑ》) 登山帽(とざんぼう) 登山靴(とざんぐつ) 登山電車(とざんでんしゃ《とざんでんしや》) 登山馬(とざんうま) ケルン
*2016年 静岡市内のコンビニにて
【季語の説明】
昔は登山は信仰や修行のために行われ、富士山・御嶽(おんたけ)山・立山・白山・石鎚(いしづち)山など霊峰に登ったが、現在ではスポーツ登山が主流。シーズンともなれば近くの駅では、登山帽・登山靴にピッケルを持った姿が多数見られる。日本の近代登山の先駆者はイギリス人宣教師のウェストンで、長野県上高地に記念碑が立つ。
【例句】
霧をゆき父子同紺の登山帽 能村登四郎
よく晴れしこと口々に登山口 高野清風
担ぎきし荷物枕に登山小屋 北吉裕子
乗換への駅に賑はふ登山帽 今井忍
金剛の力を発揮登山杖 池谷市江
【富士山の山開】
富士山は、2020年夏、全ての登下山道が閉鎖となっているため、登山できません。
○通行止めの区間
■ 吉田ルート 五合目~山頂
■ 富士宮ルート 五合目~山頂
■ 須走ルート 五合目~山頂
■ 御殿場ルート 新五合目~山頂
■ 山頂お鉢巡り
例年だと、富士山の開山期間は、かつてはどのルートも7/1から8月末の2ヶ月間とされてきましたが、世界遺産登録後の2014年以降から大きく変わり、ここ数年間はこのパーターンで落ち着いています。
山梨県のルートは7/1、静岡県のルートは7/10という2パターンです。閉山日は全ルート同日の9/10です。
7月1日に山開きといっても、雪は自然に溶けてなくなっているわけではありません。ブルドーザーでかき分け、整備して初めて通れるようになります。2014年では、雪のために登山道が山頂まで全線開通したのが7/18になっているルートが2つあります。
【山開き】
『山開き』とは、その年に初めて登山が許される行事をいいます。初夏になると各地で行われるため、登山が好きな方は心待ちにしている人も多いでしょう。
山開きは、山によって時期が異なり、3月末から7月頃に各地で執り行われます。山開きの日に登山をすると、神事やお祭りなどのイベントに参加できるため、通常の登山とは違う雰囲気を味わうことができます。
山開きはもともと、修験者や山伏など一部の人しか立ち入ることのできない山に、一定の期間のみ一般の人間の入山を許可することを、山の神様にお伺いを立て、安全祈願をするための儀式でした。現在では、そのような信仰以外にも、「安全に登山ができる期間か」を重視して選んでいることが多くなっています。
そのため、本格的な時期は6月から7月の『夏山』と呼ばれる期間がメインとなります。
【山岳信仰と山開き】
山岳信仰とは、山を崇敬対象とみる気持ちです。日本では古代から、山に対して畏怖と恩恵を感じていました。山は動植物や豊かな水の恵みを与えてくれると同時に、災害や事故も起こる厳しさもあります。また雄大な山の様相から神威を感じることもあり、山を一つの神格として捉えるようになりました。
そこから祭場、聖地として信仰が広がります。一般人は山に入ることが難しくなり、仏教の発展とともに山伏や修験者のみが厳しい修行のために山に入り、修行場としての色合いも濃くなって行きます。日本各地に『霊山』があるのはそのためです。
しかし、近世になるにつれ、一般の人も修行や参拝として登山を楽しむようになります。そこから、限られた期間であれば山に登ることが許されるようになりました。
山の神様を祀り、登山中の安全を願うとともに開山をお祝いする、それが山開きの行事です。
【今日は何の日】
あじさい忌
俳優・石原裕次郎の1987年の忌日。
石原裕次郎があじさいの花が好きだったことから「あじさい忌」と呼ばれるようになった。
茅舍忌
俳人・川端茅舍の1941年の忌日。
漫画の日
1841年のこの日、イギリスの絵入り諷刺週刊誌『パンチ』が発刊された。
1992年に終刊になるまで151年間発行されていた。
主な出来事
864年
富士山が大噴火。西湖と精進湖ができる。(新暦8月22日)
1868年
詔勅により江戸を東亰に改称。(新暦9月3日)
1899年
ウエスタン・エレクトリック社との日本初の国際合弁会社として日本電気(NEC)設立。
1916年
牧田らく・黒田チカの2人が東北帝国大学理科大学を卒業。日本女性初の学士号を得る。
1924年
日本棋院創立。
1956年
経済企画庁が経済白書『日本経済の成長と近代化』を発表。「もはや戦後ではない」が流行語に
1970年
家永教科書裁判で東京地裁が、「教科書検定は教育への国の不当な介入で違憲である」として、検定不合格取消の判決。
1971年
今井通子がグランド・ジョラス北壁に登頂。女性初のアルプス三大北壁登頂を達成
1977年
人気絶頂中のアイドルグループキャンディーズがコンサート中に「普通の女の子に戻りたい」と突然の解散宣言
1997年
ソニーがメモリースティックを発表
2011年
サッカー女子ワールドカップで日本代表(なでしこジャパン)が優勝。男女あわせて日本代表チームの初優勝。
2017年
国連で「核兵器禁止条約」が採択。
誕生日の有名人
1604年
徳川家光 (江戸幕府将軍(3代))
1661年
寶井其角(榎本其角) (俳諧師,蕉門十哲の一人)
1796年
ジャン=バティスト・カミーユ・コロー (仏:画家)
1889年
E.S.ガードナー (米:推理小説家『ビロードの爪』)
1922年
丹波哲郎 (俳優)
1932年
青島幸男 (タレント,小説家『人間万事塞翁が丙午』,参議院議員[元],東京都知事[元])
1933年
淡路恵子 (女優)
1940年
C.W.ニコル (英・日:作家,自然保護活動家)
1957年
大竹しのぶ (女優)
1969年
北村一輝 (俳優)
1976年
トシ (お笑い芸人(タカアンドトシ))
1988年
浅田舞 (フィギュアスケート)
以下の図書、ホームページを参考、引用しています。
(合本俳句歳時記 第四版 角川学芸出版)
富山いづみ <admin@nnh.to>
(カラー図説 日本大歳時記 講談社)
(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)
( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )
(ウイキペディア)
(575筆まか勢)
(俳句のサロン)
(一般社団法人日本記念日協会)