2020.7.9一日一季語 簗(やな) 【夏―生活―三夏】
簗かかる前の川音聞きに来し 飯島晴子
梁そのものを見たわけでは無く、川の音を聞きに来たのだという。梁がかけられていることを想定して、吟行にでかけたら、まだ設置されていなかったのかもしれないなどと想像してみました。
飯島晴子とは
吟行による写生を基本としつつ、言葉によって構築される緊張度の高い作品世界を展開、句集ごとに新たな境地を見せた。また従来、女性俳人の評論が情緒的とされていた中にあって、明晰・論理的な俳句評論を発表、後続の女性俳人に大きな影響を与えた。
*那珂川 ホームページより引用
【傍題季語】
魚簗(やな) 簗さす(やなさす) 簗打つ(やなうつ) 簗かく(やなかく) 簗瀬(やなせ) 簗守(やなもり)
【季語の説明】
河川に設けられる漁獲用の仕掛け。川の流れを堰き止め、その一箇所だけを開けて魚を誘い込み簀棚(すだな)や筌(うけ)で捕える。主に鮎・鯉・鰻(うなぎ)を対象とし、観光用がほとんど。簗のある瀬が簗瀬で、簗を設けることを「簗さす」または「簗打つ」「簗かく」という。
→ 上り簗(春)
→ 下り簗(秋)
【例句】
阿武隈の瀬々にかかれる鮎の簗 山口青邨
二の流れ三の流れや簗を組む 高野素十
強引に流水簗へみちびかれ 津田清子
隙間なく簗めぐらせし白魚川 右城暮石
簗掛の水をなだめてゐたりけり 草間時彦
【梁とは】
梁(やな)とは、河川の両岸または片岸より列状に杭や石などを敷設して水流を堰き止め、誘導されてきた魚類の流路をふさいで捕獲する漁具・仕掛けのことである。やない。「簗」とも表記する。
梁は、大きく分けて河川を遡上する魚を捕える「上り梁」と、下る魚を捕える「下り梁」に分類できる。
俳句では、「上り梁」は春、「下り梁」は秋の季語としています。
【魚簗漁の対象となる魚】
梁を使って行う梁漁の対象はサケ・マス・アユ・ウナギ・ウグイなど川で生活する魚類全般が対象となる。また、大量の魚類を効率良く捕獲することも可能である一方で広範な水面を利用する(河川の全面的もしくは一時的な遮断に及ぶ)ため、梁漁を行うこと自体が排他的・独占的な要素を有する特権(川株制度など)として認識された事例もある。
【那珂川の梁】
北関東屈指の清流・那珂川は、鮎の漁獲高日本一。鮎解禁日と共に天然鮎を求めて釣り人で賑わいます。そんな那珂川では、川の流れをV字にせき止めて漁をする「やな漁」が盛んです。
「やな(簗)漁」とは、川の流れをV字型にせき止め、流れの先に竹で編んだ簾(すだれ)を設けることで、鮎などを取る漁法です。せき止めた先にある簾へ川の流れを集中させるので、流れの速さに負けた魚たちが簾にかかる仕組みです。
那珂川にかけられるやなは、毎年7月末頃に設置し、10月末くらいに撤去されます。1年中みられるのではなく、夏から秋の風物詩となります。仕掛けの大きさには大小ありますが、大型のやなを完成させるには、なんと家1軒分の費用がかかるとも言われているそうです。
中流域の観光やなでは、ピチピチ跳ねる鮎をつかみ取り体験もできます。川遊びの後は、炭火でじっくり焼かれた鮎料理に舌鼓。300年以上の伝統をもつ那珂川のやな漁を体験してみませんか。
那珂川にかけられたやなは、全国的にも有名で夏の風物詩となっています。
※簗敷設許可及び天候の都合により、簗完成は7月中旬ごろ完成予定~10月31日まで設置します。
【今日は何の日】
鴎外忌
小説家・森鴎外の1922年の忌日。
ジェットコースターの日
1955年のこの日開園した後楽園遊園地に日本初の本格的なジェットコースターが設置された。
主な出来事
1615年
江戸幕府が、豊臣秀吉を祭神として祀る豊国神社の破却を命令。(新暦9月1日)
1690年
上野忍岡の聖堂を湯島に移転。(新暦8月13日)[Wikipedia]
1854年
江戸幕府が日章旗を日本国惣船印とすることを決定。(新暦8月2日)
1877年
テニスの世界選手権・ウィンブルドン大会の第1回大会が開催
1880年
「虎列刺病予防仮規則」を廃止し「伝染病予防規則」制定。
1917年
東京YMCAに日本初の室内温水プールが開場。
1922年
ジョニー・ワイズミュラーが競泳100メートル自由形で58秒6を記録。人類で初めて1分の壁を破る。
1955年
ラッセル・アインシュタイン宣言。アインシュタイン、湯川秀樹ら科学者8人が核兵器による人類滅亡の危険性を各国首脳に警告
1969年
横綱・柏戸が引退。
1982年
キヤノンが世界初の完全自動化カメラ「スナッピィ50」を発売。
1994年
山梨サリン事件。上九一色村のオウム真理教の施設近くの住民から「悪臭がする」と警察に届け出。後に一帯の土壌などからサリン生成の残留物質が検出される。
誕生日の有名人
1883年
鳴海要吉 (歌人)
1908年
朝比奈隆 (指揮者)
1948年
エド山口 (タレント,モト冬樹の兄)
1953年
稲垣潤一 (ミュージシャン)
1956年
トム・ハンクス (米:俳優)
1958年
久本雅美 (タレント,女優)
1962年
高見知佳 (タレント,歌手)
1968年
松下由樹 (女優)
1988年
鈴木奈々 (モデル,タレント)
以下の図書、ホームページを参考、引用しています。
(合本俳句歳時記 第四版 角川学芸出版)
富山いづみ <admin@nnh.to>
(カラー図説 日本大歳時記 講談社)
(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)
( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )
(ウイキペディア)
(575筆まか勢)
(俳句のサロン)
(一般社団法人日本記念日協会)