2020.6.19
一日一季語 桜桃忌(おうとうき《あうたうき》) 【夏―行事―仲夏】
アメンボが流されて行く桜桃忌 篠田純子
太宰が富栄とともに玉川上水で心中したのは、1948年6月13日。
太宰の遺体が見つかった川原には“下駄で摺った跡”があったとされており、井伏鱒二はこれを、
太宰が死ぬまいと最後の瞬間に抵抗した名残りだろうと思った。
と分析しています。
この句では、アメンボという季語と、桜桃忌の季語、二つが使われています。
忌日の句では、こうした時期を表す季語を重ねて使うことについて、忌日の時期が一般的に読み手に周知されておらず、季感がないため、「別に季語を添えるべきで、当然、季重なりとはならない」 という考えもあるようです。
入水自殺ということをふまえ、水馬が流されるということを詠んでいることに、俳味を感じました。
【傍題季語】
太宰忌(だざいき)
【季語の説明】
六月十三日。小説家太宰治(一九〇九~四八)の忌日。本名津島修治、青森県出身。無頼派・破滅型と称され、『斜陽』『人間失格』などは戦後文学の代表作とされる。昭和二十三年六月十三日、玉川上水で入水自殺、十九日に発見された。毎年六月十九日に東京三鷹市の菩提寺(ぼだいじ)禅林寺で桜桃忌が修される。
【例句】
木場堀の深さ目測桜桃忌 鈴木良戈
太宰忌の蛇口より水ほとばしり 荒井千佐代
太宰忌やゴールデンバット買うてゆく 山田春生
病葉の落ちつぐ川面桜桃忌 清水節子
辟易の説に頷く桜桃忌 鈴鹿呂仁
文豪・太宰治の生誕110周年にあたる2019年には、「人間失格 太宰治と3人の女たち」を始めとした映画作品やアニメーション作品の公開されました。
蜷川実花監督による実写映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」も公開予定です。この映画は、太宰治の人生に影響を与えた“3人の女性”にスポットを当てるフィクション作品。太宰治役を俳優・小栗旬が務め、宮沢りえ、沢尻エリカ、二階堂ふみの豪華女優陣が共演することでも話題を呼んでいます。
太宰は、そのイメージに違わず、若い頃から恋多き男でした。彼が最初に恋仲になった女性として記録に残っているのは、1927年(18歳)に知り合った故郷・青森の芸妓、小山初代です。当時すでに同人誌『細胞文芸』を立ち上げるなど執筆活動に打ち込んでいた太宰は、故郷で初代との逢瀬を重ね、21歳の頃には小山家と結納も交わしていました。
1935年、『文藝』に発表した小説『逆行』が芥川賞候補になるなど、作家としてのキャリアを順調に進めつつあった太宰。しかし26歳のとき、腹膜炎により入院したことをきっかけに、鎮痛剤であるパビナールの中毒となってしまいます。
多いときには1日に50数本の注射を打つほどの依存状態に陥った太宰は、パビナール中毒の治療のために入院。入院時、不幸なことに初代が不貞行為を犯していたことを知ってショックを受けた太宰は、以後、初代と別居状態になります。
そんな中、29歳にして出会ったのが、のちに太宰の正妻となるインテリ女性・石原美知子でした。太宰は師事していた井伏鱒二の紹介により、山梨で女学校の教師をしていた美知子と見合いをし、結婚を決めます。
初代との破局以前にもバーの女給と心中未遂を図るなど、私生活が乱れに乱れていた太宰。
井伏鱒二は、この手紙を太宰の生家に取り次いだことがきっかけで、太宰と美知子との結婚がうまくまとまったと随筆『太宰治』の中で語っています。
結局、その後もさまざまな女性との浮名を流した太宰でしたが、美知子との結婚生活は生涯にわたって続きました。太宰の死後に発見された遺書には、
「美知様 お前を誰よりも愛していました」
という一文が記されていたことが知られています。
【今日は何の日】
桜桃忌,太宰治生誕祭
1948年のこの日、6月13日に自殺した作家・太宰治の遺体が発見された。
6月13日、太宰治が戦争未亡人の愛人・山崎富栄と東京の玉川上水に入水心中し、6日後の19日に遺体が発見された。また、19日が太宰の誕生日でもあることから、6月19日は「桜桃忌」と呼ばれ、三鷹市の禅林寺で供養が行われる。その名前は桜桃の時期であることと晩年の作品『桜桃』に因む。
太宰治の出身地・青森県金木町では、生誕90周年となる1999年から「生誕祭」に名称を改めた。
京都府開庁記念日
1868年(明治元年)閏4月29日(太陽暦では6月19日)に京都府が開設されたことを記念して、京都府庁が現在地に定められてから100年目にあたる1985年(昭和60年)に設けられた。
ベースボール記念日
朗読の日
主な出来事
645年
日本初の元号「大化」を制定。650年に白雉に改元。(新暦7月17日)
1858年
下田奉行・井上清直らとハリス総領事が軍艦ポーハタン号で「日米修好通商条約」に調印。(新暦7月29日)
1946年
GHQが後楽園球場を接収。
1948年
玉川上水で太宰治と山崎富栄の心中遺体を発見。
1954年
名古屋テレビ塔が竣工
1984年
デンマーク政府が、植村直己のグリーンランド犬ぞり横断の到達点であったヌナタック峰を「ヌナタック・ウエムラ峰」と呼ぶことを決定
2000年
大阪証券取引所で株式市場ナスダック・ジャパン(2002年にヘラクレスに改称)が取引開始。
2007年
渋谷区の温泉施設・松濤温泉シエスパでガス爆発。従業員3名が死亡
誕生日の有名人
1053年
白河天皇(貞仁親王,六條帝) (天皇(72代),堀河・鳥羽・崇徳天皇の上皇)
1903年
ルー・ゲーリッグ (米:野球(内野手))
1909年
宮城謙一 (歌人)
1909年
村山古郷 (俳人)
1909年
太宰治 (小説家『斜陽』『人間失格』)
1928年
長谷川龍生 (詩人)
1945年
アウンサンスーチー (ミャンマー:政治家,民主化運動指導者)
1954年
キャスリーン・ターナー (米:女優『白いドレスの女』)
1971年
KABA.ちゃん (振附師,ダンサー(dos[解散]))
1973年
中澤裕子 (女優,タレント,歌手(モーニング娘。[脱退]))
1985年
宮里藍 (ゴルフ)
1998年
広瀬すず (女優,モデル)
以下の図書、ホームページを参考、引用しています。
(合本俳句歳時記 第四版 角川学芸出版)
富山いづみ <admin@nnh.to>
(カラー図説 日本大歳時記 講談社)
(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)
( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )
(ウイキペディア)
(575筆まか勢)
(俳句のサロン)
(一般社団法人日本記念日協会)