2020.5.30
一日一季語 水馬(あめんぼ) 【夏―動物―三夏】
あめんぼの吹き溜りにて目覚めけり 夏石番矢
吹き溜まりとは、湖沼で水の流れによって落葉等が運ばれて、堆積している場所もしくはその堆積物のこと。
この句では、あめんぼがそんな池の吹き溜まりまで、風などに吹かれてつれたこられ、はっと気づいた。目が覚めた。こんなふんいきになるのでしょうか。
夏石番矢(なついし・ばんや)は、平成3年度 第38回現代俳句協会賞
本名・乾昌幸。1955年兵庫県相生市生まれ。中学三年生より作句開始。
句集『猟常記』『真空律』『神々のフーガ』『人体オペラ』など。『俳句のポエティック』『現代俳句キーワード辞典』。共著『現代俳句ニューウェイブ』など。
故高柳重信に師事。同人誌「未定」に創刊より参画、同人。
1992年1月、石井辰彦、四方田犬彦と文学同人誌「三蔵」創刊。
【傍題季語】
水馬(あめんぼう) みづすまし 水蜘蛛(みずぐも《みづぐも》)
【季語の説明】
水馬と書いて関西では「みずすまし」と読むが、関東では「あめんぼう」である。みずすましは「まいまい」のこととなるのでややこしい。池や沼の水面にいて飛び歩いている。体は1.5センチほどであるが三対の長い脚ですいすいと水面を移動する。飴のような匂いがするのであめんぼうの名がある。水蜘蛛とも言う。
小川や池・沼の水面に長い六本の足を張って、すいすいと滑走したり水面を跳ねたりしている灰褐色のアメンボ科の昆虫の総称。飴(あめ)に似た匂いがするのでこの名があるといわれている。なお、歴史的仮名遣いを、「飴棒」を語源として「あめんばう」とする説もある。
【例句】
水馬にも子がありて子の遊び 山口誓子
ねんごろに牛が尾を振る水すまし 秋元不死男
はじめから水馬にはかかはらず 星野麥丘人
青萱のおどろの影の水すまし 飯田龍太
高原の空は一壁水すまし 平畑静塔
【あめんぼうとは】
アメンボ(水黽、水馬、飴坊、飴棒)は、昆虫綱半翅目アメンボ科の総称である
別名、ミズグモ(水蜘蛛)、カワグモ(川蜘蛛、スイバ(水馬)、ミズスマシ(水澄・水馬)、チョウマ(跳馬、江戸時代の江戸の方言)、アシタカ。ただし現代の標準和名では、ミズグモは水生のクモの1種、ミズスマシは水生甲虫の一群を意味する。
「アメンボ」は、アメンボ科の1種 Aquarius paludum (旧 Gerris paludum) 別名ナミアメンボの和名でもある[
【水馬の語源】
本来の意味は「飴棒」で、「飴」は、臭腺から発する飴のような臭い、「棒」は体が細長いことから。
「雨」と関連付けるのは民間語源である。
【水馬の形態】
水面で活動するカメムシ目としては最大で、体長は3mm~26mm。
中脚と後脚が非常に長く、特に中脚は体長を著しく超えるほど。前脚は短い。脚の付け根は、中脚と後脚は接しているが、前脚は離れている。脚先には短い毛が密生している。
多くは細長い棒状[2]の体型を持つが、海生のウミアメンボ亜科は卵型。なお、同じ海生でも Trepobatinae 亜科の Stenobates は棒状である。
体色は地味な黒ないし赤褐色。淡色の条紋をもつこともあるが目立たない
生態
ほとんどは淡水生だが、例外が少数ある。ウミアメンボ亜科 Halobatini 族と Trepobatinae 亜科 Stenobatini 族は海生、Eotrechinae 亜科は湿岩生および陸生である。
足先の毛だけを水面につけて、毛が水を撥く表面張力を利用して水面に浮かぶ。表面張力は、雌が雄を背に乗せても沈まない程度に強い。
中脚の運動で推進し、後脚で方向を定めて、水面を滑走する[2]。全て肉食で、水面に獲物となる小動物や死骸が落ちると、すばやく接近して前脚で捕獲し、針のように尖った口器を突き刺して消化液を注ぎ込み、溶けて液状になった体組織を吸汁する(体外消化)。
【鼓虫 まひまひ・水馬 あめんぼう】
「水澄まし」という昆虫には2種類ある。まず生物分類学で言うミズスマシは、黒豆のような光沢のある甲虫で鞘翅目ミズスマシ科。池や流れのゆるやかな小川の水面をくるくるくるくる忙しく回っている昆虫のことである。体長六、七ミリで、驚くと素早く水中に潜る。潜る時に尻に水玉をひとつつけている。
上下に分れた複眼を持っており、水中と水上を同時に見ることができる器用な虫である。水面を踊り狂うように見えるので「まひまひ」とも呼ばれる。
もう一つのミズスマシは「あめんぼう」とも呼ばれ、長い足で水面を滑るように走ったり跳ねたりする虫である。半翅目アメンボ科の昆虫。捉まえると飴のような匂いがするので「飴ん坊」と言われるようになったとの説がある。極めて軽い体重で、糸のように細く長い足の先に細かな毛が生えて水をはじくようになっており、水の表面張力を利用して浮き、水面滑走ができる。
関東では甲虫の方をミズスマシと言い、関西地方ではアメンボをミズスマシと言う、と言われているが、関東地方でも人によっては、この蜘蛛のような形の方をミズスマシと呼んでいる。
明治から大正前半に活躍した大須賀乙字という俳人に『みずすましひょんひょんはねて別れけり』という句がある。明治35、6年頃、第二高等学校の卒業式(当時の高校では6月末から7月に卒業式が行われた)で詠んだ惜別の句である。乙字という人は福島生れで仙台一中から二高に進んだ人である。にもかかわらずアメンボをミズスマシと詠んでいるから、アメンボをミズスマシと呼ぶのは関西、と決めつけることもできない。
江戸時代の俳諧でミズスマシと言えばおおむねアメンボである。そして、生物学上の正式のミズスマシは「まひまひ」と呼ばれている。「水馬」と書いて「みずすまし」と読ませる場合は例外無くアメンボを指している。
【今日は何の日】
消費者の日
1968年(昭和43年)の今日、消費者の利益を守ることを目的とした消費者保護基本法が公布・施行されたのを記念して、その10周年にあたる1978年(昭和53年)に政府が制定したもの。
ゴミゼロの日
「ゴ(5)ミ(3)ゼロ(0)」の語呂合せ。
主な出来事
1431年
フランス百年戦争の英雄的少女ジャンヌ・ダルクがイギリス軍により火刑
1911年
アメリカ・インディアナ州で第1回インディアナポリス500マイルレース(インディ500)開催
1946年
東京上野の露天街・アメ横に警視庁が手入れ。塗料・タバコなどの禁制品をトラック15台分押収。
1950年
「文化財保護法」公布
1968年
「消費者保護基本法」(現 「消費者基本法」)公布
2007年
白鵬が第69代横綱に昇進。史上4人目の外国人横綱
誕生日
1877年
鹽谷鵜平 (俳人)
1890年
杉田久女 (俳人)
1909年
ベニー・グッドマン (米:ジャズクラリネット奏者)
1920年
安岡章太郎 (小説家『悪い仲間』『陰気な愉しみ』)
1934年
黒沢明 (歌手(ロス・プリモス))
1941年
大野雄二 (作曲家)
1948年
ヒロ・ヤマガタ (洋画家)
1949年
火野正平 (俳優)
1987年
桑子真帆 (アナウンサー(NHK))
以下の図書、ホームページを参考、引用しています。
(合本俳句歳時記 第四版 角川学芸出版)
富山いづみ <admin@nnh.to>
(カラー図説 日本大歳時記 講談社)
(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)
( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )
(ウイキペディア)
(575筆まか勢)
(俳句のサロン)
(一般社団法人日本記念日協会)