2020.5.27一日一季語 蠛蠓(まくなぎ) 【夏―動物―三夏】
まくなぎの阿鼻叫喚をふりかぶる 西東三鬼
*2020.5.24 板橋区赤塚公園にて
作者の自註がある。
「門の傍に楠が一本立つてゐてそれに添つて地上十尺の所にいつもまくなぎがかたまつて猛烈に上下してゐた。その微小な蟲共は全く狂つてゐた。然し彼等が生命を持つてゐることは疑へない。生命を持つものの大叫喚が聞こえないのは人間の耳が不完全だからだ」
阿鼻叫喚とは、阿鼻地獄と叫喚地獄。またはただ阿鼻地獄のみをさすこともある。阿鼻地獄は特に極悪人のおもむくところで,そこで受ける苦痛のために泣き叫ぶのでこう呼ばれる。現在では,苦痛などでわめき苦しむさまを表わすのに用いられる。
まくなぎ自身が互いにわめき、もがいている。この叫びは人間の耳には聞こえてこないと言っているのが、作者の自注。
【傍題季語】
めまとひ 糠蚊(ぬかが)
【季語の説明】
ヌカカなど小型の蚊の総称で、ひと固まりになって上下にせわしく飛んでいる。夏の野道などで、目の前につきまとい、はなはだうるさい。黒色をしていることはわかるが、あまり近くで飛ぶため、はっきり見定めがたい。
【例句】
まくなぎに負ひ目重なる面かな 岸田稚魚
めまとひの一ついつまで纒来るぞ 石塚友二
その寺のまくなぎのことまづ思ふ 能村登四郎
まくなぎをはらひ男をはらふべし 仙田洋子
まくなぎを抜け出して来て一人酒 星野半酔
【まくなぎ】
まくなぎ (蠛蠓)、めまといもヌカカの一種で、夏の水辺などをひと塊になって飛んでいる。 上から見た感じは黒ゴマの粒のように見え、よく観察すると薄く透明な 翅に、黒い斑紋を装うものが多い。
和名のヌカカは、「糠粒のように小さい蚊」という意味から命名された。地域によってはイソヌカカ(磯糠蚊)やヌカガ(糠蛾)、鳥取県西部の弓ヶ浜半島では干拓事業が行なわれた後にわいたとされていることからカンタクムシ(干拓虫)と呼ばれている。まくなぎ(蠛蠓)、めまといもヌカカの一種で、夏の水辺などをひと塊になって飛んでいる。
【揺蚊(ゆすりか)】
ユスリカ(揺蚊) 大部分の種は幼虫が水生で、川、池などほとんどあらゆる淡水域に棲んでいます。 カによく似ており、電灯の灯などにもよく集まりますが、カとは科が異なる昆虫で、カのように動物や人を刺したり、その血液を吸うことはありません。 川や用水路などで発生しますが、特に生活排水などで汚れた「どぶ川」では大量発生することがあります。
【今日は何の日】
日本海海戦の日
1905年のこの日、日本海海戦で東郷平八郎が率いる日本艦隊が、ロシアのバルチック艦隊に対して大勝利を収めた。
後に「東郷ターン」と呼ばれる丁字型陣形をとり、敵艦に対して一斉射撃をして大勝利を収めた。
百人一首の日
1235(文暦2/嘉禎元)年のこの日、藤原定家によって小倉百人一首が完成された。
藤原定家の「明月記」の文暦2年5月27日の項に、定家が親友の宇都宮入道蓮生(頼綱)の求めに応じて書写した和歌百首が嵯峨の小倉山荘(嵯峨中院山荘)の障子に貼られたとの記述があり、この記事が小倉百人一首の初出ではないかと考えられている。
小松菜の日
堺市で小松菜を生産するしものファームが2006年に制定。
五(こ)2(ツー)七(な)で「こまつな」の語呂合せ。
主な出来事
1235年
藤原定家が古今の和歌百首を書写する(百人一首の原型)。(新暦6月14日)
1689年
松尾芭蕉が立石寺(山寺)にて「閑さや岩にしみ入る蝉の声」の句を詠む。(新暦7月13日)
1729年
前年6月にベトナムから長崎に連れて来られ、25日に江戸に到着した象を将軍吉宗が観覧。(新暦6月23日)
1905年
日露戦争で、東郷平八郎が率いる日本海軍聯合艦隊とロシア・バルチック艦隊との日本海海戦が始る。
1953年
出雲大社で火災。拝殿など焼失。火災保険非加入が問題化。
1956年
読売新聞が「日曜クイズ」の掲載を開始。新聞・雑誌のクイズ掲載がブームに。
1953年
出雲大社で火災。拝殿など焼失。火災保険非加入が問題化。[Wikipedia]wikipedia - 出雲大社
1956年
読売新聞が「日曜クイズ」の掲載を開始。新聞・雑誌のクイズ掲載がブームに。
2016年
オバマ米大統領が現職米大統領として初めて広島市を訪問。
誕生日
1871年
ジョルジュ・ルオー (仏:画家)
1918年
中曽根康弘 (首相(71~73代)
1922年
クリストファー・リー (英:俳優)
1947年
植田まさし (漫画家『コボちゃん』)
1955年
内藤剛志 (俳優)
以下の図書、ホームページを参考、引用しています。
(合本俳句歳時記 第四版 角川学芸出版)
富山いづみ <admin@nnh.to>
(カラー図説 日本大歳時記 講談社)
(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)
( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )
(ウイキペディア)
(575筆まか勢)
(俳句のサロン)
(一般社団法人日本記念日協会)