2020.4.26

一日一季語 代田(しろた)  【夏―地理―初夏】

 

 

 

橋一つ越えれば代田ばかりなる       中野匡子

 

*2020.4.19 栃木県にて

 

新宿から特急あずさを利用して、長野まで出張に行くことが多かった。トンネル、いくつかの橋、この句のような景が車窓に現れてきます。

この作者も、電車や車でこうした景をみたのだと思います。

  

 

【季語の説明】

代搔(しろかき)が終わり田植ができるようになった田。

 

 

【例句】

水増して代田ひしひし家かこむ    上田五千石

張水の機嫌に明けてゆく代田        中川萩坊子

太陽を溶かし代田となりにげり       立村霜衣

代田ゆく風は銀色朝の峡          大下雅子

代田はや鷺を呼びたる明るさに       吉村玲子

 

 

田んぼの構造

作土層(さくどそう)養分や有機物を含んだ土の部分です。稲が生育するメインステージです。作土層は、一枚の田んぼの中で養分が均一でなければなりません。育ち具合にばらつきができて、収穫期もばらつき、稲刈りができなくなってしまうからです。

 

鋤床層(すきどこそう)人や機械を支える働きをします。水田をつくるときは、まずこの層を固くします。水を漏らさず、しかし全然漏らないのも困るため、微妙な固さにする必要があります。

 

(あぜ)田んぼに水を溜めるための壁です。畦塗りで防水加工をし、もぐらが穴を開けたりしないように気をつけます。苗や肥料、収穫した稲を運ぶ通路でもあり、散歩や生き物の観察もできます。その際には、くれぐれも畦をいためないように気をつけましょう。

 

 

【田んぼに水を溜める、という大発明】

稲はもともと熱帯の作物で、日本の土壌はお米を育てるのに向いていたわけではありませんでした。しかし、表面に水を溜めるという大発明によって、すべてを解決したのです。日本列島のような温帯で安定的に栽培できるようになったのも、この大発明のおかげです。

 

水を溜めることにより

 

・肥料をあまり与えなくても空気や水、そして土壌の中から天然の肥料である窒素やリン酸などを取り出して吸収・利用できる。

 

・土の中の水分調節が不要である。

 

・連作障害がなく、同じ作物を毎年栽培し続けられる。

 

・雑草が少なくなる。田んぼの表面に長時間水が溜まっているため、酸素欠乏のような状態になり、この条件で生育できる雑草が少ない。

 

・稲を寒さから保護する。水は一度取り入れた熱をなかなか発散しない。(比熱が大きいため)田んぼの水は、稲のセーターのような役割を果たす。

 

 

【田んぼは「水の生産」をしてきた】

 

田んぼ作りの第一歩は水の確保です。

どこの山の水や川の水を引いてくるか、そして、まずどの田んぼから水を入れ、どこに水を流すのか。それを計算し、ときには川の流れを変えたり、溜め池のネットワークを作ったり。そもそも山間地で水を溜めるためには、木を植えることが必要となります。

 

都市や工業地帯での水利用は「水の消費」ですが、農業では木を植え、洪水を調節し、地下水を涵養(かんよう)する「水の生産」を行ってきました。

稲作は水をコントロールする技術でもあります。その技術が、国土も守っているのです。

 

 

主な出来事

1880

    日本地震学会設立。

1954

    黒澤明監督の映画『七人の侍』が公開。

1959

    巨人の王貞治選手が初ホームラン。それまで開幕以来26試合連続無安打。

1970

    FM東京が開局。

1986

    明石海峡大橋の起工式。1998年に開通。

 

 

誕生日

1885

    飯田蛇笏 (俳人)

1898

    内田吐夢 (映画監督『大菩薩峠』『飢餓海峡』)

1907

    山本健吉 (文藝評論家)

1925

    胡桃沢耕史 (推理小説家『黒パン俘虜記』『翔んでる警視』)

1932

    フランシス・レイ (:作曲家『ある愛の詩』)

1949

    風間杜夫 (俳優)

1957

    琴風豪規(尾車親方) (相撲)

1963

    ジェット・リー (中華人民共和国・米:俳優)

 

 

以下の図書、ホームページを参考、引用しています。

株式会社クボタのウェブサイト

(合本俳句歳時記  第四版  角川学芸出版)

富山いづみ <admin@nnh.to>

(カラー図説  日本大歳時記  講談社)

(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)

( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )

(ウイキペディア)

575筆まか勢)

(俳句のサロン)

    (一般社団法人日本記念日協会)