2020.3.5

一日一季語 三椏の花(みつまたのはな)  【春―植物―仲春】

 

三椏や廃れしものに藁半紙    太田寛郎

 

 

古くから和紙の原料は、楮(こうぞ)、みつまた、雁皮(がんぴ)の靭皮(植物の外皮の下にある柔らかな内皮)繊維を中心に使われてきました。それぞれに優れた特質があり、いずれも繊維が長くて強靱で、光沢があり、和紙の特徴である薄くて強い性質を表しています。

三椏の繊維は柔軟で細くて光沢があり、印刷適性に優れているので、局納みつまたとして印刷局に納入され、世界一の品質を誇る日本銀行券の原料として使用されているそうです。藁半紙という、安価な物を対比させていることに俳味を感じました。

 

 

【傍題季語】

三椏(みつまた)、結香の花(むすびき)

*三椏の花は、その花の咲く時期が仲春だから季語として成り立つので、三椏だけで使うのは、季語として弱いのかもしれません。

 

 

【季語の説明】

ジンチョウゲ科の落葉低木の花で、中国原産。高さは二メートルぐらい。葉の出る前に黄色い花が三叉に分かれた枝の先にびっしりと咲く。樹皮は和紙の原料として用いられる。

 月から4月頃ごろにかけて、三つ叉(また)に分かれた枝の先に黄色い花を咲かせる。そのため、「ミツマタの花」は日本においては仲春(啓蟄〔36日頃〕から清明の前日〔44日頃〕まで)の季語とされている

園芸種では、オレンジ色から朱色の花を付けるものもあり、赤花三椏(あかばなみつまた)と称する。

 

 

【例句】

家系亡びて三椏の花ざかり      鷲谷七菜子

三椏や大人にもある人見知り        小林陽子

三椏の花にそれぞれ午後の雨        和田華凛

三椏の花ふくらんでくる本音        鈴鹿呂仁

廃屋や三椏の花色さして          秋山文子

 

 

【三椏とは】

みつまたはジンチョウゲ科の落葉する低木植物で、枝分れの状態がほとんど三つになっています。成木は2メートル余りになり、苗を植えてから3年枚に収穫できます。葉はだ円型で互い違いの向きにはえ、花は初秋から樹木の先につぼみをつけ、翌年23月頃外側から内側に向け順番に開花し、花びらは黄色で4枚に分かれ、一つの花に8本の雄しべ、1本のめしべがあり6月頃実を結びます。

 

 

【三椏と和紙】

楮(コウゾ)、三椏(ミツマタ)、雁皮(ガンピ)は、古くから使われてきた日本の紙(和紙)の三大原料。

徳川家康(とくがわいえやす)が伊豆(いず:しずおか県)でミツマタの紙すきをすすめたと言われています。

「みつまた」が紙の原料として表れる最初の文献は、徳川家康がまだ将軍になる前の慶長3年(1598年)に、伊豆修善寺にいた製紙工の文左右衛門にミツマタの使用を許可した黒印状(諸大名の発行する公文書)だといわれているそうです。

ミツマタの繊維はコウゾに比べ光沢があり、薄オレンジ色をしています。書画、写経料紙として使われるほか、滑らかでしなやかな紙質が金箔や銀箔を出荷するときの箔合紙に最適です。

 

 

【三椏の栽培】

高質な和紙原料となるミツマタの栽培適地は、標高 200 mから 1000m、水はけが良く直射日光が当たりにくい北もしくは北東・北西の斜面であり、トウモロコシやムギ、ダイズなどで日陰を作り栽培された。ミツマタは、数年ごとに新たな場所を伐開して焼畑とするサイクルのなかで栽培されていた。ミツマタは連作すると白絹病などになりやすく、また直射日光を好まず、その他の作物の被陰下でもよく育つという性質を持つことから、焼畑のサイクルと組み合わせながらの栽培が広がったのである。山村を取り囲む山々の初春は、ミツマタの白黄色の花で包まれた。コウゾもミツマタも山や山村の景観を形作る植物でもあったのである。しかしながら昭和 20 年代後半以降、スギやヒノキなどの植林が活発化すると、焼畑の作物の間にスギやヒノキの苗木が植えられるようになった。ミツマタは 3 年に 1 回、大きくなった枝を収穫することが多く、それを 2 回、計 6 年間行う

森のめぐみと生物文化多様性にスギやヒノキの苗木が育ち、焼畑用地は人工林に変わっていくこととなった

 

今日は何の日

サンゴの日

「さん(3)(5)」の語呂合せと、珊瑚が3月の誕生石であることから。

 

ミスコンの日

1908(明治41)年のこの日、時事新報社が全国から「良家の淑女」を対象に写真を募集し、その審査結果を公表した。これが日本初のミスコンテストとなった。

1等に選出されたのは小倉市長・末弘直方の四女・ヒロ子で、学習院女子部3年に在学中だった。彼女の兄が本人の承諾なしに応募したものだったが、コンテスト参加は学習院で大問題となり、彼女は退学処分になってしまった。

 

スチュワーデスの日

1931(昭和6)年のこの日、東京航空輸送が実施した日本初のスチュワーデス採用試験の結果が発表された。

「エアガール」という呼び名で募集され、25日に試験が行われた。140人の応募に対し、合格者は3人だった。

 

 

主な出来事

601

    推古天皇が高句麗・百済に使いを送り任那の復興を要請。(新暦412)

1714

    大奥年寄・絵島が「絵島生島事件」の処分で信州高遠へ追放される。(新暦418)

1840

    江戸・河原崎座で現在の型の歌舞伎『勧進帳』を初演。(新暦47)

1942

    東京に初めての空襲警報が発令。

1946

    チャーチル英首相が米ミズーリ州でソ連を非難する「鉄のカーテン」の演説。冷戦の始り。

1967

    1回青梅マラソン開催。参加者33人。

1979

    アメリカの無人惑星探査機「ヴォイジャー1号」が木星に最接近。

1979

    日本テレビの『ズームイン!!!』が放送開始。

1979

    アメリカの無人惑星探査機「ヴォイジャー1号」が木星に最接近。

1979

    日本テレビの『ズームイン!!!』が放送開始。

 

 

誕生日

1910

    安藤百福 (経営者,日清食品創業,インスタントラーメン発明)

1923

    北光星 (俳人)

1947

    湯原昌幸 (歌手,俳優,コメディアン)

1985

    松山ケンイチ (俳優)

 

 

 

以下の図書、ホームページを参考、引用しています。

(合本俳句歳時記  第四版  角川学芸出版)

富山いづみ <admin@nnh.to>

(カラー図説  日本大歳時記  講談社)

(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)

( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )

(ウイキペディア)

575筆まか勢)

(俳句のサロン)

    (一般社団法人日本記念日協会)