2019.11.20
一日一季語 恵比須講(えびすこう) 【冬―行事―初冬】
大盛りの飯ひかりをり恵比須講 関根裕子
商売繁盛、五穀豊穣を祈ったのが「えびす講」。
この句では、五穀豊穣を祈っての願いが見えてきます。
【傍題季語】
夷講(えびすこう) 蛭子市(えびすいち) 恵比須切(えびすぎれ)
【季語の説明】
商家では、商売繁盛の神である恵比須を祭り、親類知人を招いて祝う。売り出しなどをする店も多い。地方によって様々な行事が残っている。祭日は旧暦十月二十日・十一月二十日・正月十日・正月二十日など地方により異なる。
恵比須は、農村では田の神、漁村では漁の神、商家では商売繁盛の神で、地方によって様々な祝い事がなされる。
えびす講が行われる日にちは、地域によって異なります。それは、旧暦の「神無月」が関係しているからです。神無月は旧暦の10月とされてきました。神無月は、神様みんなが島根の出雲大社に集まる時期といわれています。
神無月のときに神様が大集合することで、各地から神様がいなくなってしまうのは困りものです。そこで、神無月のときに留守番を務めていたのが恵比寿様だったのです。そんな恵比寿様に感謝をしつつ、商売繁盛、五穀豊穣を祈ったのが「えびす講」というわけです。旧暦の10月は新暦の10月下旬から12月ということで、今ではこのあたりの時期にえびす講の行事が各地で行われます。
【例句】
算盤の夜光の珠や恵比寿講 尾崎紅葉
石工今恵比寿を創る日除けかな 阿波野青畝
電話後の瞼の厚み恵比寿かな 四ッ谷龍
するめ焼くにほひも恵比須祭かな 瓜生和子
ひたひたと山に蛭ゐて恵比寿天 小島千架子
【えびす講とは】
神無月(旧暦10月)に出雲に赴かない「留守神」とされたえびす神(夷、戎、胡、蛭子、恵比須、恵比寿、恵美須)ないしかまど神を祀り、1年の無事を感謝し、五穀豊穣、大漁、あるいは商売繁盛を祈願する。地方や社寺によっては、旧暦の10月20日であったり、秋と春(1月20日)の2回開催したり、十日えびすとして1月10日や1月15日とその前後などに行うこともある。えびす祭やえべっさんとも言われる。えびすを主祭神とするえびす神社のみならず、摂末社として祀っている社寺でもおこなわれる。
東日本では家庭内祭祀の意味合いが強く、また東日本では商業漁業の神としてのみならず、農業神として崇める傾向が西日本よりも顕著である。地域によっては1月のえびす講を商人えびす、10月のを百姓えびすと呼ぶこともある。
商業従事者や商業者団体がえびす講に合わせて安売りをおこなうこともあり、近年にはこの安売りイベント・商業祭というイベントとしてえびす講をおこなう地域もある。
えびす講の日には市が立ち、魚や根菜など青物が売られる。またたくさんの縁起物を飾った福笹あるいは熊手が販売される。この縁起物は神社から授与されるもので「吉兆」とも呼ばれる。
【各地のえびす講】
日本橋べったら市
東京都中央区日本橋本町にある恵比寿を祀る寳田恵比寿神社とその周辺の椙森神社一帯で10月19・20日に行われる。露店が数百軒並ぶ。名物はべったら漬。
高崎えびす講市
群馬県高崎市でおこなわれる。高崎実業組合連合会が昭和金融恐慌以降の不況下で商業を活性化させようと、1929年に美保神社の分霊を高崎神社境内の大国神社に祀り、それとともに11月19・20日にえびす講市をおこなったのがはじまり。戦中は途絶えたが戦後1947年から再開。現在は11月第3土・日に行われる。富くじ、えびす袋、千社札めぐり(ウォークラリー)などが催される。
【今日は何の日】
毛布の日
毛布製造業者の団体「日本毛布工業組合」が制定。あたたかい家族にぬくもりある生活を届ける毛布の振興を図るのが目的。日付は11月は毛布の主要産地の大阪府泉大津市で長年にわたり「泉大津毛布まつり」が行われてきたことから11月。そして、日本で毛布が初めて生産されたのが明治20年なのでその数字から20日としたもの。
主な出来事
208年
赤壁の戦い。孫権・劉備の聯合軍と曹操軍が揚子江の赤壁で戦い孫権・劉備軍が勝利。
1211年
土佐に流されていた僧・法然が帰洛を許され、京都・東山の大谷に戻る
1889年
マーラーの交響曲第1番が初演
1890年
帝国ホテルが開業。煉瓦造り3階建てで70室
1930年
岡山県邑久町の長島に日本初の国立癩療養所「愛生園」開設
1938年
岩波書店が「岩波新書」の刊行を開始。
1971年
日活ロマンポルノ第一作『団地妻・昼下がりの情事』ほかが封切り
2001年
マリナーズのイチロー外野手が大リーグで日本人初のMVPを獲得
2007年
「入管難民法」改正。外国人の指紋採取・写真撮影が義務化
2007年
京都大学の山中伸弥教授が、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の作成に成功したと発表。
誕生日の有名人
1879年
青木月斗 (俳人)
1929年
レイモン・ルフェーブル (仏:作曲家,指揮者)
1932年
萬屋錦之介 (俳優)
1943年
浜美枝 (女優)
1950年
渥美マリ (女優,歌手)
以下の図書、ホームページを参考、引用しています。
(合本俳句歳時記 第四版 角川学芸出版)
富山いづみ <admin@nnh.to>
(カラー図説 日本大歳時記 講談社)
(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)
( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )
(ウイキペディア)
(575筆まか勢)
(俳句のサロン)
(一般社団法人日本記念日協会)