一日一季語 筍飯(たけのこめし) 【夏―生活―初夏】
子の来る日筍飯を炊きにけり 塩野谷慎吾
ゴールデンウイークに実家に帰ると、句のように筍飯を炊いてくれる母。
我が家の筍飯は、油揚げを入れ、味付けは甘め。別に煮た竹の子を炊き上がった飯に混ぜるこの味が母の味。
家庭毎に、レシピは違っていても、このために腕を振るう母の愛が見えます。
【季語の説明】
季節感豊かな食べ物である筍を炊き込んだご飯。
【例句】
松風に筍飯をさましけり 長谷川かな女
筍飯喜寿の齢を生きむとす 村越化石
筍飯踏みとどまるは幾人か 飯島晴子
筍飯雨やみ月の稚うして 野澤節子
筍の突つ立つてゐるご飯かな 今瀬剛一
【筍の語源など】
筍は春の旬(しゅん)の代名詞みたいになっていますが、読んで字のごとく竹冠に旬と書いて「たけのこ」と読ませます。その由来は、タケノコは成長が速く、約10日間(一旬)で、竹に成長するので、そこから来たと言われています。
新鮮なたけのこは生でも食べられます。しかし、お店で買ったものは収穫から時間がたっているので、アク抜きが必要です。たけのは、時間とともにえぐみが強くなり、香りが抜け、固くなってしまうので、早めにアク抜きをしましょう。
たけのこは外側の皮を2~3枚取り、あとは皮のまま水洗いし汚れを落とします。次に頭の部分を斜めに切り落とし、皮の部分に縦に1本切れ目を入れます。鍋にたけのこがかぶるぐらいの水と米ぬか一握りと唐辛子2本程度を入れ、たけのこが浮かないように落とし蓋をして1時間ほどゆでます。ゆで具合を串を刺して確かめ、火を止めてそのまま自然に冷まします。
皮にはたけのこを柔らかくしてくれる成分が含まれているので、皮ごとゆでるのがポイント。米ぬかを入れるのは、たけのこのえぐみの成分を取るためで、米ぬかがない時は米のとぎ汁で代用します。
【万葉集】
「汁 からしあへ かうの物 さしみ つけ物 やく むしても色々 かわともにやきてつかひ候也」
これは、江戸時代初期にあたる寛永20年(1643年)に刊行された、我が国初の料理専門書『料理物語』目録の「第七 青物之部」に掲載されている、「竹子(たけのこ)」の調理法です。
醤油がまだ一般的に流通していない時代であったため、現在の筍料理の主流である「煮物」の表記はありませんが、辛子和え、刺身、香の物、漬物、蒸し物など、今ではあまり見かけない料理が並びます。
注目すべきは、この本が書かれた当時は、長い戦乱の世が終わり、庶民がやっと食べることを楽しめるようになった頃だということです。
その時代にこれだけの調理法が並ぶということは、筍という食材が、人々にどれだけ愛されていたかが分かります。
他と比べても、筍の調理法の数を超える青物(野菜)は見当たりません。
【今日は何の日】
健吉忌
評論家・山本健吉の1988(昭和63)年の忌日。
世界エイズ孤児デー
2002年にニューヨークで開催された国連子ども特別総会で制定。
コナモンの日
日本コナモン協会が2003年に制定。
五(こ)七(な)で「こな」の語呂合せ。
たこ焼き・お好み焼き・うどん等、粉を使った食品「コナモン」の魅力をPRする日。
粉の日
五(こ)七(な)で「こな」の語呂合せ。
小麦粉等、食料としての粉の有用な利用方法等をアピールする日。
博士の日
1888年のこの日、植物学者の伊藤圭介・数学者の菊池大麓・物理学者の山川健次郎らに25人に日本初の博士号が授与された。
ただし、論文の提出による博士号ではなく教育への貢献を評価されたもので、名誉博士的なものだった。論文による本格的な博士が生まれたのは、それから3年後のことである。
また、当時は博士の上に大博士の学位があったが、該当者がなく1898年に廃止された。
主な出来事
1251年
品川沖でかかった鮫の腹から出た観音像「鮫頭観音」を安置する海晏寺が創建。後に一帯が鮫洲と呼ばれる。(新暦5月28日)
1615年
大坂夏の陣で大坂城天守閣が炎上。(新暦6月3日)
1824年
ベートーベンの交響曲第9番『合唱附き』が初演。ベートーベン自身が指揮。
1955年
帝銀事件で、最高裁判決に対する異議申立が棄却され、平沢貞通被告の死刑が確定
1969年
東京・北の丸公園に東京国立近代美術館が完成。
1992年
スペースシャトル「エンデバー」が初飛行
2008年
メドヴェージェフがロシア大統領に就任。翌日、前大統領プーチンが首相に就任
誕生日
1730年
本居宣長 (国学者,国学四大人の一人『古事記伝』)
1911年
本多猪四郎 (映画監督)
1941年
萩本欽一 (コメディアント(コント55号),司会者,演出家)
1960年
野沢尚 (脚本家,小説家『破線のマリス』『その男、凶暴につき』)
以下の図書、ホームページを参考、引用しています。
(合本俳句歳時記 第四版 角川学芸出版)
富山いづみ <admin@nnh.to>
(カラー図説 日本大歳時記 講談社)
(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)
( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )
(ウイキペディア)
(575筆まか勢)
(俳句のサロン)
(一般社団法人日本記念日協会)