2019.3.27 

一日一季語 蛍烏賊(ほたるいか)【春―動物―仲春】

 

 

蛍烏賊に種のありしよ夜の酒    進藤一考

 

 

富山湾に春の訪れを告げるホタルイカ漁は、三月一日に解禁となった。

富山湾の蛍烏賊は、まるまると太ったメスのホタルイカだけを定置網で採ることができるのだという。

この句の種というのは、このような新鮮な雌の卵なのではないだろうか。

叙情俳句を基底にしている作者。酒の肴の一品とした、蛍烏賊の食感を、俳句固有のフィクションで、種という表現をしたのであろう。

 

 

 

【傍題季語】

まついか

 

 

 

【季語の説明】

ホタルイカモドキ科の軟体動物。日本近海の深海に棲み、体表に発光器を持つ。晩春の産卵期には、雌が浅海を回遊し、夜浮上して海面に美しい光を明滅させる。富山湾滑川・魚津に多く、魚津の群遊海面は特別天然記念物に指定されている。

 

 

 

【例句】

ほたる烏賊出そめし木々の芽も育ち   鈴木真砂女

一網に火の点綴を螢烏賊        上田五千石

まつくらな海へ見にゆく蛍烏賊     深見けん二

蛍烏賊汐たるゝまゝ食うべけり     高木晴子

父の忌の町に出初めし螢烏賊      澤木欣一 

 

 

 

 

 

【蛍烏賊は何故光る】

その名が示すとおり、発光するイカとしても知られ、生きた状態でホタルイカが大量に入手できる富山湾は、ホタルイカ研究のメッカとして多くの研究者が訪れている。

 

ホタルイカ3種の発光器ホタルイカを始めて報告したのは、当時の東京帝国大学理科大学教授であった渡瀬庄三郎博士で明治38年(1905年)に富山県を訪れて観察を行い「螢烏賊の発光器」と題して3種の発光器を記録している。

 

 

 

【富山湾産ボイルホタルイカの特徴】

その1.そのほとんどが腹に卵をもった雌

富山湾のホタルイカは、産卵のために富山湾にやって来て11月~2月にほぼ交接を済ませます。

ホタルイカ漁が解禁される 3月以降に群れをなして沿岸に押し寄せるのは、そのほとんどが腹に卵をもった雌で、雄はほとんどいません。

 

 

その2.大きく成長し、まるまる太っている

雌は昼は水深 200mの海底付近で生活し、夕方から夜中にかけて浮上し産卵します。

1回に1万~2万個の産卵をおこない、これを4~6回くりかえします。

富山湾産のホタルイカはこの産卵期に漁獲されるため十分に成長し、まるまると太っているのが大きな特徴です。

 

その3.ホタルイカの定置網漁は富山湾だけ!漁場が近いから鮮度抜群!

ホタルイカといえば富山湾産と考えがちですが、実際は日本海を回遊しているホタルイカを底曳網で漁獲した県外産のものも多く市場に出まわっています。

富山湾産のホタルイカは、産卵のために湾内に入ってきたホタルイカを定置網で漁獲しているので他県産にくらべて大きく、また漁場が近いので鮮度も抜群です。

 

 

その4.胴が丸くつやがあり、足が丸まっていて、イカのみみの裏が白い

鮮度の良い状態でゆでた富山湾のホタルイカは胴が丸くつやがあり、足が丸まっています。

さらに俗に「イカのみみ」と言われる部分がくるっと裏返り、裏面が白くなっているのが特徴です。

 

 

 

今日は何の日

京都表千家利休忌

 

 

赤彦忌

歌人・島木赤彦の1926(大正15)年の忌日。

 

 

 

主な出来事

1689

    松尾芭蕉が弟子の曾良とともに、深川六間堀の芭蕉庵を出て『おくのほそ道』の旅に出発。(新暦516)

1854

    吉田松陰が下田に碇泊中のアメリカの黒船に密航を求めるが拒絶され、翌日幕吏に捕えられる。(新暦424)

1945

    米軍が関門海峡に機雷を投下し海峡封鎖を開始。

1968

    人類初の宇宙飛行士ガガーリンが、ジェット機の飛行訓練中に墜落死。

1968

    厚生省が、富山県神通川流域のイタイイタイ病の原因は上流の神岡鉱山から排出されたカドミウムであると発表。

1999

    日産自動車がフランスのルノーと資本提携

 

 

 

誕生日の有名人

1845

    ヴィルヘルム・レントゲン (:物理学者,X線を発見)

1901

    佐藤榮作 (首相(6163)

1923

    遠藤周作 (小説家『白い人』『海と毒薬』)

金子信雄 (俳優,料理研究家)

1924

    高峰秀子 (女優)

1928

    田辺聖子 (小説家『感傷旅行(センチメンタルジャーニー)船路』)

1935

    岸洋子 (シャンソン歌手)

1945

    宮本信子 (女優,伊丹十三の妻)

1971

    キタノカチドキ (競走馬)

1973

    青木さやか (お笑い芸人)

1985

    オグリキャップ (競走馬)

 

 

 

 

以下の図書、ホームページを参考、引用しています。

(合本俳句歳時記  第四版  角川学芸出版)

富山いづみ <admin@nnh.to>

(カラー図説  日本大歳時記  講談社)

(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)

( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )

(ウイキペディア)

575筆まか勢)

(俳句のサロン)

    (一般社団法人日本記念日協会)