2019.3.15
一日一季語 龍天に登る(りゆうてんにのぼる)
【春―時候―仲春】
竜天に登るはなしを二度三度 宇多喜代子
*2018年 三峯神社にて
出典は、山本健吉氏のことに、話は始まるのでしょう。
俳句をする者が集まれば、この季語の歴史などを皆それぞれに語る。
こんな光景が見えてくるようです。
*浅草寺 雷門にて
【季語の説明】
龍は想像上の動物で春分の頃に天に登り雲を起こし雨を降らせる。
中国の古代伝説から季語になった。
ヨーロッパでは、『ヨハネの黙示録』の竜に表されるように、たいていドラゴン自体が悪の象徴とされるイメージだ。かたや中国をはじめ日本では、水を司ることから竜神として火災除けや雨乞いの対象として崇められてきた。漁村でも豊漁祈願の海神として広く信仰され、近年はパワースポットの主役キャラク
ターとして龍が脚光を浴びはじめている。
*上野東照宮にて
【例句】
竜天に昇りしあとの田螺かな 内田百間
竜天に登る前夜の潦 佐藤鬼房
龍天に昇る黄ばみし琴の爪 辻桃子
龍天に東北人の顎かな 奥坂まや
竜天に昇りて耳の穴痒し 辻田克巳
【出典】
中国の『説文解字』には
「龍は鱗虫の長、能く幽、能く明、能く細、能く巨 「中略」 春分にして天に登り、秋分にして淵に潜む」とあります。
季語としての採用は、山本健吉氏が、この春分の頃の「 龍天に昇る」
を独立した季語として認め、それに対して「龍淵に潜む」も独立した秋分の頃の季語となったのだとされています。
*手水舎にて
【龍の足の本数】
中国の想像上の生き物である龍は日本でも十二支の中にあってお馴染みです。ところで、龍の爪の数が違って爪の数に意味があるということを知っている人はどれほどでしょうか。
龍の爪の数は所有者の身分の違いを表します。
5本の龍は皇帝
4本の龍は貴族
3本の龍は庶民
「皇帝の竜のみが、足に5つの鈎爪を持って描かれた。王子クラスでは鈎爪が4つ、宮廷の役人たちは3つの鈎爪しか許されなかった」
(『世界の神話百科 東洋編』)
中国・台湾の建造物や骨董品に描かれている龍を見ると、爪の数によって当時の所有者の身分が判断できるのだそうです。
日本では、位というより時代によって違い、室町時代以降に「妖怪めいたものの指の数」として三本に定まってきたようです。
鬼などの妖怪が三本指のため、妖怪視された近世の龍は三本の指であり、これが一般的となった」
(『図説 日本未確認生物事典』)
【横山大観】
上野駅に程近い、大鳥居が印象的な下谷神社に、縦174センチメートル、横296センチメートルの竜の天井画があります。作者は、日本近代画の巨匠、横山大観です。
湧き立つ雲の中に突如として現れる竜を描いた水墨画で、迫力あふれる作品です。竜の体の輪郭は、強いタッチの墨線で表現され、筆先がかすれていることで猛々しい竜の雄姿が一層際立っています。これに対して、渦巻き状の雲や竜のうろこは、淡い墨で描かれ、竜の後頭部から流れる雲や右腕及び左足の付け根、髭<ひげ>、眼、爪など細かいところに胡粉、金泥をまじえて比較的やわらかく仕上げています。
画面左下に墨で「昭和甲戌之春 大観」と記され、鉦鼓洞主という印章があります。昭和甲戌は、昭和9年の干支をあらわしたもの、鉦鼓洞主とは、台東区池之端の横山大観邸における客間「鉦鼓洞」の主、つまり大観その人を指す画号です。
*台東区ホームページ引用
【加山又造】
日本画の大家加山又造による金の墨龍―身延山久遠寺
天井画の龍の爪の数は、5本のようです。
【今日は何の日】
涅槃会
仏教の祖・釈迦が亡くなったとされる釈迦入滅の日。各寺院で釈迦の遺徳を偲ぶ法会が行われる。
元々は旧暦の2月15日だったが、明治以降は月遅れの3月15日に行う寺院も
ある。
ドメインの日
国内最多の1000種類以上のドメインを提供しているドメイン取得サービスの株式会社インターリンクが制定。まだよく知られていない新しいドメインや世界各国に割り当てられているドメインの認知度の向上が目的。 日付はドメインネーム「symbolics.com」が正式なDNS(Domain Name System)管理手順に沿って世界で初めて登録されたドメイン (インターネット上の住所)となった1985年3月15日から。
眉の日
顔の印象の8割を決めるとも言われる眉は、プロが客観的に見て整えることが大切。そこで化粧品の販売、眉の専門家であるアイブロウスペシャリストのサロン「アナスタシア」の運営などを手がけるクレディアワールドワイド株式会社が、サロンで眉を整える文化を普及させることを目的に制定。日付は新生活を迎えるこの時期に3と15で「さあ(3)行こう(15)」「最高(315)の眉、最高(315)の笑顔」などの意味の語呂合わせから。
靴の記念日
日本靴連盟が1932(昭和7)年に制定。
1870(明治3)年のこの日、西村勝三が、東京・築地入船町に日本初の西洋靴の工場「伊勢勝造靴場」を開設した。
万国博デー
オリーブの日
主な出来事
BC44年
ローマの独裁官ユリウス・カエサルが暗殺される
819年
最澄が、比叡山の大乗戒壇の設立を請う。
1598年
醍醐の花見。豊臣秀吉が近親の者や諸大名1300名を従えて京都・醍醐寺で最後の花見。(新暦4月20日)
1939年
全国の招魂社を「護国神社」に改称。
1947年
東京都の35区を22区に整理統合。麹町・牛込・深川などの区名が消える。8月に練馬区が独立して23区に。
1990年
ゴルバチョフがソ連初代大統領に就任
1997年
ナゴヤドームが開場
誕生日の有名人
1916年
五味川純平 (小説家『人間の条件』)
1932年
平岩弓枝 (小説家『鏨師』『御宿かわせみ』,脚本家)
1969年
武豊 (騎手)
1991年
北乃きい (女優,モデル)
以下の図書、ホームページを参考、引用しています。
(合本俳句歳時記 第四版 角川学芸出版)
富山いづみ <admin@nnh.to>
(カラー図説 日本大歳時記 講談社)
(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)
( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )
(ウイキペディア)
(575筆まか勢)
(俳句のサロン)
(一般社団法人日本記念日協会)