2018.03.07 

一日一季語 啓蟄(けいちつ)  【春―時候―仲春】

 

 

啓蟄の蟇の一歩に風化仏 西村公鳳

 

西村公鳳は戦後に活躍した金沢在住の俳人。

 

 

 

 

【季語の説明】

二十四節気の一つで、新暦三月五日ごろにあたる。暖かくなってきて、冬眠していた蟻・地虫・蛇・蛙などが穴を出るころとされる。

 → 蛇穴を出づ

 → 地虫穴を出づ

 

 

 

【例句】

啓蟄のいとし児ひとりよちよちと   飯田蛇笏

啓蟄や洞然と立つ聖寺        角川源義

啓蟄の日をふり仰ぐ子供かな     大峯あきら

啓蟄や指輪廻せば魔女のごと     鍵和田釉子

啓蟄をかがやきまさるわが三角州   櫂未知子

 

 

 

【啓蟄について】

2018年は3月6日 

春分の日の前日までの2週間ほどの期間を啓蟄という場合もあります。

啓蟄の意味合いは、

「寒い冬を土の中で越した虫たちが、春になって穴から出てくる様子」

冬ごもりの虫などが陽気に誘われて土中から出てくるんですね。

文字の上でも、

『啓』・・・「開く」

 

『蟄』・・・「かくれる。冬に、虫が土の中にこもる」

を表しています。

二つの字が合わさった啓蟄は、

「土中で冬眠していた虫たちが、穴をひらいて地上に出てくる頃」

と字のごとくですね。

ちなみに、啓蟄は驚蟄(けいちつ、きょうちつ)とも表記され、発祥の地の中国では、驚蟄が使われ続けています。

啓蟄の虫とはどんな虫?

昔の人は啓蟄の頃に鳴るカミナリのことを、その音に驚いて虫たちが土からはい出してくると考え、『虫出しのかみなり』と呼んでいました。

啓蟄で言う虫の中には、両生類のカエルや爬虫類のヘビも含まれています。

カエルを漢字で書くと「蛙」、ヘビは「蛇」。

どちらも虫へんが付いていますよね。

これらをまとめると、啓蟄の意味は、

『冬眠していた虫や蛇・蛙などが、春の暖かさに誘われて穴から出てくる頃』

と言えます。

実際に虫が活動を始めるのは、日平均気温が10℃を超えるようになってから。

10℃を超える頃というと鹿児島では2月下旬、東京や大阪で3月下旬、札幌は5月上旬頃に当たります。

虫が冬眠から目覚めると、それを補食する小動物も冬眠から目覚め動き始めます。

啓蟄の俳句で有名なものは?

実際に虫が活動を始めるのはもっと暖かくなってからですが、その意味からも、啓蟄は春を表す季語として俳句でもよく使われます。

明治から昭和にかけて活躍した、俳人であり小説家でもある高浜虚子は、

「犬耳を 立て土を嗅ぐ 啓蟄に」

「啓蟄の 蟻が早引く 地虫かな」

「別荘に 来て啓蟄の 虫を友」

 

と詠んでいます。

いずれも春の息吹を感じさせる句です。

 

 

啓蟄に行われる恒例行事は、「菰(こも)外し」です。冬の間松の木に巻いておいたわらで作った菰を取り外し、害虫駆除をします。

また、雛人形を片付けるのに良い日とも言われています。雛人形はひな祭りの後いつまでも出しておくと嫁に行き遅れると言われており、早く片付けるように言い伝えられています。お嫁さんはともかく、片付けの躾をする意味や、雛人形には子供の穢れを移すことから、早く片付けるのが良いとされる意味があり、迷信とは言い切れません。

啓蟄はお祭りではありませんから、お祝い料理などは決まっていません。ですが、旬の筍を使った料理や、蕨(わらび)、薇(ぜんまい)などの山菜料理を作ってみてはいかがでしょうか。

 

 

 

今日は何の日

三月7

消防記念日 

1948(昭和23)年、「消防組織法」が施行された日です。

明治憲法下では、警察の管轄とされていた消防業務が、この日から市町村長が管理する「自治体消防制度」となりました。

これを記念し、1950(昭和25)年に国家消防庁(総務省)がこの日を制定しました。

 

 

サウナ健康の日日 

日本サウナ協会( 日本サウナ・スパ協会)1984(昭和59)年に制定。

「サ(3)ウナ(7)」の語呂合せ。

 

 

 

主な出来事

1788年 クックがハワイ島発見

1948年 消防組織法制定

1958年 東京都自動車運転免許試験場を府中に開設

1959年 鳩山一郎(政治家)、没(享年76歳)

1980年 山口百恵が三浦友和と婚約、引退を発表

2000年 鶴岡一人(野球)、没(享年84歳)

-322年 アリストテレス(古代ギリシアの哲学者)、没(享年62歳)

 

 

 

 

誕生日

 

1608年 中江藤樹(陽明学)

1872年 ピエト・モンドリアン(画家)

1899年 石川淳(作家)

1924年 安部公房(小説家)

1940年 上條恒彦(歌手・俳優)

1957年 オール阪神(漫才師)

1973年 羽田恵里香(タレント)

 

 

 

 

 

以下の図書、ホームページを参考、引用しています。

(合本俳句歳時記  第四版  角川学芸出版)

 

(カラー図説  日本大歳時記  講談社)

(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)

( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )

(ウイキペディア)

575筆まか勢)

(俳句のサロン)

    (一般社団法人日本記念日協会)