2017.11.1

一日一季語  糸瓜(へちま)   【秋―植物―三秋】

 

 

おのもおのも集ひしごとく糸瓜垂れ    藤田湘子

 

 

藤田 湘子(ふじた しょうし、19261月11日 - 20054月15日)は、神奈川県出身の俳人水原秋桜子に師事。俳誌「」を創刊・主宰。

 

 

」(たか)は、俳誌。19647月に東京から創刊。「馬酔木」で活躍していた相馬遷子堀口星眠千代田葛彦古賀まり子藤田湘子らが集まり、湘子を発起人代表とする同人誌として出発。「馬酔木」の衛星誌として馬酔木俳句の新生面開拓・底辺拡大を目的として創刊されたが、「馬酔木」からは「鷹」の活動は認められず、19682月に湘子は「馬酔木」同人を辞し、他の発起同人は「鷹」を去る。以後は湘子の主宰誌となり、有期定型を基盤としつつ個性重視・実力主義の方針で活動。結社内の賞として鷹俳句賞(1966年開始)、鷹新人賞(1973年開始)などを開催し多数の実力派俳人を輩出する。結社活動の活性化を期し、19964月号で第二次「鷹」を発足、地方の小句会「五人会」制を導入し結社の体質改革を図った。

20054月に湘子が逝去し、小川軽舟が二代目主宰に就任、髙柳克弘25歳の若さで編集長に就いた。20064月号で通巻500号に到達。

 

【傍題季語】

いとうり 糸瓜棚(へちまだな)

布瓜、蛮瓜、いとうり、長瓜

 

 

 

 

【季語の説明】

糸瓜はウリ科の蔓性一年草で秋に実がなる。熱帯アジア原産で十七世紀に渡来した。軒先に棚を作り日陰を得るとともに実をならすことが多い。成熟した実から繊維質を採り、たわしにする。茎の切り口から採った糸瓜水は痰きりや化粧水として用いる。

インド原産のウリ科の一年草。江戸時代に渡来したと言われ、蔓性で巻ひげで他に絡みつきながら生長する。果液は化粧水として用いられ、繊維質が発達した果実は束子となる。

 

【例句】

一大事も糸瓜も糞もあらばこそ   夏目漱石 明

棚作り藁屋の外の糸瓜かな     河東碧梧桐

病よき今日数ふべし青糸瓜     石田波郷

糸瓜の門に立つた今日は子規忌   種田山頭火

杜甫の世も今も糸瓜のへそ曲り   有馬朗人

 

 

 

 

【正岡子規 辞世の句】

糸瓜咲て痰のつまりし佛かな
痰一斗糸瓜の水も間に合はず
をとゝひのへちまの水も取らざりき

 

さて、一句目です。
 「糸瓜」というのは、たいへん庶民的な素材で、江戸時代から秋の季語として使われています。けれどこの一句目では、その「糸瓜」が咲いたということなので、本来は夏の季題ということになります。
 しかし難しいのは、ここでは三つの句が連作のように続いているということです。後の二つは「花」とはいっていませんから、もちろん秋の句です。実際「糸瓜忌」は九月十九日ですし、子規のこの句は九月の十八日に示されたものです。そこでここは連作の中の一つと見て、特別に季を秋とする考えが一般に行なわれています。
 『俳句大観』(明治書院)は、ここを「咲き残った花」と解釈しています。うまく読んだという感じです。が、この解釈にも難はあります。「咲いて」の「て」はどう読んでも咲き始めの感じなのです。今まで咲いていなかった花が咲いたというのが「糸瓜咲いて」の本来の意味でしょう。「残った」というのならむしろ「今まで咲かずに残った最後のつぼみがついに咲いて」と取るべきです。が、それにしてもそこまでこじつけて季を秋に揃える必要があるのでしょうか。

中略

 季の約束に従って素直に読めば、この三句の連作は、一カ月ほどの間の回想ということになります。つまり一句目と二句目の間に時間的な隔たりを置くわけです。糸瓜の咲く季節に既に自分を佛と自覚したことだったが、その後病はますます進行し、秋となると糸瓜の水も間に合わなくなった、という風に読んでいくわけです。連作として、季の約束に従って読めば、そうなります。それが作者の思いであったかどうかは分かりませんが、「痰のつまりし」の「し」が過去(回想)の助動詞であることを考えれば、この読み方には根拠があることになります。   後略
(正岡子規・絶筆三句を読む  秋尾 敏   引用)

 

 

 

糸瓜(へちま)は子規にとって馴染みのある植物。ヘチマの蔓を切って液をとり、飲むと痰が切れる、咳をとめるのにいいとされ、子規の家でも庭にヘチマを育てていました。
糸瓜の水は、とくに十五夜の夜にとるのがいいという俗信があったそうです。子規が亡くなる二日前が十五夜だったそうです。

おとヽひのへちまの水も取らざりき

にはこのような背景を読んでいるという解釈が一般的なようです。

子規晩年の闘病生活の痛ましさを思わせる話です。

 

 

 

 

【名前の由来など】

「へちま」の名の由来

 実(み)が繊維質なところから「糸瓜(いとうり)」と呼ばれています。

 さらに、「糸瓜(いとうり)」の「と」は、”いろはにほへとちりぬる・・・”の 「へ」と「ち」の間にあることから、「へ」と「ち」の間

  →「へ」「ち」間   → へちま   という説もあるようです。

 

 

夏から秋、黄色い花が咲き、その後、筒型の長い実がなる。

 この実がいわゆる「ヘチマ」。 若い実は食用になる。

 また、腐らせてから皮を洗い流して乾燥させ、繊維を取り出したものを「たわし」に使う。

 

 

へちまを使ってタワシを作ってみましょう。作り方は
茹でて皮をとって洗って乾燥させる。の4工程だけです。

私の子供時代のお風呂場では、必ずこれがあったように思います。

 

茎からは化粧、薬用になる、

 「ヘチマ水」を取る。

 (せきどめ、利尿剤にもなる)

 

今日は何の日

十一月一日

 

すしの日

全国すし商環境衛生同業組合連合会が1961(昭和36)年に制定。
新米の季節であり、ネタになる海や山の幸が美味しい時期であることから。

 

 

紅茶の日

ロシア漂流記でおなじみの大黒屋光太夫が1791(寛政3)年11月1日の帰国の際、女帝エカテリーナ2世から紅茶を贈られました。
それにちなんで日本紅茶協会が1983(昭和58)年に制定しました。
なお、紅茶の初輸入は1880年代のことです。

 

計量記念日

通商産業省(現在の経済産業省)1952(昭和27)年に制定。1993(平成5)年の新計量法の施行にともない、それまでの67日から111日に変更されました。

 

 

灯台記念日

海上保安庁が1949(昭和24)年に制定。
1869(明治元)年、神奈川県横須賀市に日本初の洋式灯台である観音埼灯台が起工されました。
制定当初は、洋式灯台の導入が文化の先駆けの意味が強かったことから、113日の文化の日に先駆けて1日を記念日としたとされていました。

 

本格焼酎の日

1987(昭和62)9月、九州で開かれた本格焼酎業者の会議の場で制定。日本酒造組合中央会が実施。
その年に89月ごろから仕込まれた新酒が飲めるようになるのが111日ごろであることから。
焼酎は蒸留法の違いによって酒税法上「甲類」と「乙類」に分けられますが、この表現が等級の違いのようであり紛らわしいため、原料の風味が活かされた乙類を「本格焼酎」と呼ぶようになりました。

 

 

主な出来事

1893年 明治座開場式
1925年 山手線が環状運転開始
1928年 ラジオ体操放送開始
1973年 トイレットペーパー騒動が発生
1973年 読売ジャイアンツがV9達成
1974年 気象庁のアメダスが運用開始
1993年 EUが正式発足
1995年 「東京MXテレビ」開局
1995年 ゆりかもめ(東京臨海新交通臨海線)開業
2000年 世界初のカメラ付き携帯電話(シャープ製)発売

 

 

十一月一日生まれ

1886年 萩原朔太郎(詩人)
1931年 いかりや長介(タレント)
1931年 大村崑(俳優)
1936年 亀井静香(政治家)
1936年 服部克久(作曲家)
1943年 アダモ(シャンソン歌手)
1974年 キティちゃん(ハローキティ)
1988年 田中将大(野球)
1988年 福原愛(卓球)

 

 

 

以下の図書、ホームページを参考、引用しています。

(合本俳句歳時記  第四版  角川学芸出版)

 

(カラー図説  日本大歳時記  講談社)

(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )

(ウイキペディア)

575筆まか勢)

(俳句のサロン)