2017.04.27   

一日一季語 

花水木(はなみずき《はなみづき》)【春―植物―晩春】

 

 

くれなゐの影淡くゆれ花水木   小島花枝

 

 

1923-2000

 

1981年「帆船」 創刊主宰  

  

踏まれ邪鬼 (1984年) (現代俳句女流シリーズ〈V・14〉)

ガラスの馬車 (1978年)

 雪山河 (1989    

鳴動1997 (今日の俳句叢書)

 

 

 

季語の説明

ミズキ科の落葉小高木のアメリカ山法師(アメリカ花水木)の花。四月末、葉の出る前にたくさんの花をつける。白と紅があり、四枚の花びらの先に切り込みがあるのが特徴。街路樹や庭木として植えられる。山地や雑木林に自生する水木とは別種。

 

和名の「花水木(ハナミズキ)」は、ミズキの仲間で花が華やかで目立つことから由来しています。英名の「Dogwood(犬の木)」は、樹皮の煮汁が犬の皮膚病治療に使用されていたということに由来するともいわれています。

 

 

 

例句

花みづき川は疲れて芥溜む     角川源義

あはあはと浄土のみどり花水木   林翔

高き風白く渡りぬ花水木      稲畑汀子

花水木明日なき恋といふに遠し   西村和子

 

米国からのハナミズキ寄贈百周年

百年目の切手になりし花水木    今井充子

 

 

 

アメリカの伝説

ハナミズキの原産地であるアメリカでは、ある有名な伝説が残されています。

昔、ハナミズキの木は今よりももっと太くしっかりしていたため、イエス・キリストの十字架に使われました。ハナミズキの木はそのことをとても深く悲しみ、それを可哀相に思ったキリストは、もう二度とハナミズキの木から十字架が作られがないように、ハナミズキの木をまがった細い木にしてあげようという約束をしました。

しばらくしてキリストがはりつけにされ、後にハナミズキの木はキリストが言っていた通りに幹は曲がり、花は十字架の形となり、花びらの縁は釘の錆と血痕で茶色と赤に染まりました。花の中心はキリストがかぶせられた茨の冠のようになって、人々にキリストの惨劇を思いださせてくれるようになったと言われています。

 

 

花言葉

ハナミズキの花言葉は「華やかな恋」、「私の思いを受けて下さい」、「返礼」

花・実・葉の全てを楽しめる、お礼と感謝の花言葉をもつ花

 

大正時代、日本からアメリカに桜を贈り、そのお礼としてアメリカから贈られたのが白いハナミズキでした。その数年後には赤いハナミズキが贈られ、そこから花言葉の「返礼」がつきました。

ハナミズキの花言葉は、「返礼」のほかにも、「華やかな恋」というものがあります。ハナミズキが「華やかなミズキの木」が由来となっているということもあり、そこから華やかな花を咲かせるミズキの木で「華やかな恋」という花言葉がついたといわれています。

 

ハナミズキは、北米原産でアメリカを代表する花のひとつで、春にたくさんのかわいい花を咲かせ、別名「アメリカヤマボウシ」と呼ばれています。街路樹や家のシンボルツリーとして、庭木としてもよく目にします。

 

 

 

祝! ハナミズキ来日100周年

池田 博(本館准教授/植物分類学)
山口 正(東京大学大学院理学系研究科附属 植物園主任/植物育種学)

 ハナミズキ(別名アメリカヤマボウシ Cornus florida L.)は、アメリカ原産の小高木で、4月から5月にかけて、日本中の公園や街路樹・庭先などで赤や白、ピンク色の愛らしい花をつけているのが見られる。
 ハナミズキが日本に導入されたのは、今からちょうど100年前の1915年(大正4年)のことで、当時東京市長の尾崎行雄がアメリカ・ワシントンD.C. に桜の苗3000本を送ったことに対するお礼として送られたものとされる。その時にはハナミズキの苗40本が東京市に送られ、日比谷公園や新宿御苑など各地に植栽され、小石川植物園(現在の東京大学大学院理学系研究科附属植物園)にも数本が植えられた。
 小石川植物園でどのように栽培されていたか、詳しい資料は残されていないが、1923年(大正12年)発行の「東京帝國大學理學部附屬植物園案内」には、「・・・大正二年此地ニ山草ノ岩石地栽培ヲ企テタルニ始マリ、・・・山地植物栽培地ノ周園ニハ、たうやまぼうし あめりかやまぼうし しろやまもも ・・・多岐ノ外国産ノ樹木ヲ蒐メタリ。」とあることから、現在の山地植物栽培場(ロックガーデン)のあたりに植えられていたと考えられる(山口 2014)。1980年代まではそこに大きなハナミズキの株があったが、1990年代の雪害により太い幹が裂け、そこから入った腐朽菌で枯れ、切り株だけが残された。この株は1915年にアメリカから送られた株のひとつであろうと考えられたことから、ハナミズキを導入した尾崎行雄に敬意を表し、憲政記念館(旧 尾崎行雄記念館)に掘り起こした切り株が展示されている。

 


参考文献
山口 2014. 東大植物園に贈られたアメリカヤマボウシ栽培記録報告.東京大学大学院理学系研究科・理学部技術部報告集2014年度生命科学系植物育成部門: 53-55.

 

 

以下の図書、ホームページを参考、引用しています。

(合本俳句歳時記  第四版  角川学芸出版)

(カラー図説  日本大歳時記  講談社)

(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )

(ウイキペディア)

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