首筋をなでる寒さに体が震えた。
 立冬を迎えたことを改めて実感する。冬着を身に纏ったつもりだったが、マフラーが必要だったことを思い知らされる。それくらいに辺りはもう寒くなっていた。
 この季節になると可愛いものが見られる。
 スズメである。
 冬になるとスズメは体を暖めるために羽を膨らませる。それのなんと丸っこいことか。マリモのような愛くるしさ。丸が飛んでいるかのよう。デブ猫を眺めるが如く、いやそれ以上に和ませてくれる。
 昔、私は文鳥を飼っていた。そういえば、彼も寒い時期になると体を膨らませていた。
 最近はお墓参りもしていないなと思った。
 年を越す前には一度会いに行こうとも思った。
 当時の私と今の私、どれほど変わったのか聞きに行こう。
 私は頭上を飛んでいったスズメを見て、そんなことを思っていた。